空想と太陽の物語3
ーーずっと迎えに行ってやれなくてすまなかった。……きっとお前の方が辛かっただろうに。俺は堪えられそうにない。
地下4階へと昇ると今度は典型的な中世ヨーロッパRPG風で王様からドラゴンに拐われた姫を救い出せという依頼を受けた冒険者という設定で、魔王城の地下に囚われた姫を救出すべく城に向かう事になった。道中現れるモンスターを倒しながら進み、内部に入ると首無し鎧やら悪の魔道士やらがうようよいて、城内を探索していく。
再奥の部屋にたどり着くと牢に捕らえられた姫と玉座に座りどこかトカゲを彷彿とさせる男がいた。
姫:「勇者様!さぁ早くその魔王を倒して下さいまし!」
侯輝:「うーん困ってる人は助けてあげたいけど、なんか違うなぁ。魔王って倒さないとならないの?まあ天理がお姫様なら有無を言わさず魔王やっつけちゃうけどね!」
天理:「お前な、それじゃ話が進まないだろ。でも一理あるか一応交渉してみよう。……魔王、姫さん返してくれ」
問われたトカゲっぽい魔王は天理をじーっと見つめるとニヤリと笑った。
魔王:「ふむ、貴様が我が寵姫となるならこの女を返してやっても良いぞ?」
天理:「は?」
姫:「は?」
侯輝:「はぁ?!!あいつ殺す!」
天理:「待て侯輝どうどう。俺が捕らえられるフリして逃げてくるから……」
侯輝:「やだやだやだ!そうだ!それなら俺が身代わりに!」
魔王:「褐色ムキムキマッチョは好かん。しっしっ」
侯輝:「なんだとー!」
天理:「健康的な小麦肌のムキムキの何が嫌なんだよ、しかも金髪イケメンだぞ……?」
侯輝:「天理♡」
魔王:「うるさい黙れ色ボケ勇者共」
姫:「もおおお!早くそいつ倒して助けなさいよーー!」
侯輝:「あっごめん姫さん」
天理:「なあ魔王あんた細身な色白好きか?」
魔王:「……うむ。種族雌雄は問わぬ」
姫:「え?」
天理:「それなら当てがあるぞ」
侯輝:「あっ!ひょっとして!あの娘?」
ここに来る前に魔族の街に変身して侵入した際、心優しい白い蜥蜴族の娘を思い出していた。
天理:「じゃちょっと待ってろ」
侯輝:「ごめんね姫さんすぐもどるからー」
姫:「ちょっとおお!」
魔族の街に戻り白い蜥蜴族の娘に頼み込んで連れてくると魔王は出会った瞬間どこからか指輪を取り出し娘に差し出し求婚した。幸い娘は戸惑ってはいたが魔王が真剣なのは伝わったのか悪く思う様子は無い様だ。
白い蜥蜴族の娘:「あの……お友達から……」
魔王:「構わぬ!……あ、色ボケ勇者共よくやった姫は返すぞ」
魔王は牢の鍵を投げて寄越すともうこちらは見ていなかった。牢の鍵を開け姫を連れ出す。
姫:「助かりましたけど……納得いかないですわー!!」
姫は牢を出た瞬間飛び蹴りを綺麗に魔王にかますと、魔王はあっさりと吹っ飛んだ。
魔王:「ぐへぇ!?」
姫:「さっ帰りますわよ!」
魔王を白い蜥蜴族の娘が介抱しているのを尻目に、姫を連れて城に戻った。
王は姫の帰還に喜び、姫の無事を祝う宴を開いた。
姫:「私は魔王を倒してきます!必ずや世界を救って見せます!」
王:「なんと!姫よ!そなたがそこまで決意しておるなら止めん!魔王を倒し世界を救うのだ!」
侯輝:「あのー俺達に何かご褒美とかはー?」
姫:「ありません!……とはいえ、まあ出してくれたお礼はしましょう」
姫は上のフロアに行く為の塔の入り口の鍵を寄越すと打倒魔王に向けて気勢を上げながら去って行った。
やはり魔王を倒した方が褒美を貰えたんだろうかと話ながら塔を登っていく。
侯輝:「なんか……姫さん、テンションおかしくない?」
天理:「長いこと閉じ込められてストレス貯まってたんだろ。暴れたい場合もあるんじゃないか?あれなら自力で出てこれた気もするけど」
侯輝:「お姫様的にはやっぱり助けに来て欲しかったんじゃないかなぁ。もしムキムキ好きの魔王に俺が捕らわれたら助けに来てね天理♡」
天理:「ばぁか、自力で出てこい。……助けに行くけど。もし……俺が捕らわれたら……」
侯輝:「うん。絶対迎えにいくよ。たとえこの身が滅んでも」
天理:「馬鹿、死ぬなよ……でも、待ってる」
天理はまだ捉えられてもいないのに堪える様な微笑みで侯輝を見つめていた。