闇はまだ暗がりの中(初夜設定変更。唐突な影をどうするか、ラストを足すか)

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残業が減ってきた頃の夕方、侯輝は机上の書簡を手に取りつつ俺に視線を向ける。
「俺はそろそろあがるが、今日はもう帰りか?」
「はい、お疲れ様でした。この後は帰宅いたします」
「あぁ、そうかご苦労だった」
と侯輝は手元の鈴を慣らし衛兵を呼ぶ。
「今日はもう上がる。下がれ」
衛兵はこちらをチラリと見ると心得た様に頭を下げ退室した。気配が無くなった事を確認すると侯輝は王としての顔を緩め素の顔を見せる。
「天理ー久しぶりにちゃんと話せるよー!晩御飯久しぶりに一緒に食べよう!料理準備させておくから来てよね!」
「分かった分かった。片付けたらすぐ行くから。また裏口でいいんだな?」
「うん!手引きさせておくから!残業しないでね!ね!」
「はいはい」
「じゃあ、後でね!」
侯輝は嬉しそうに執務室を出て行った。俺は内務省の執務室に戻ると少し調べものをと残業していた小早川に「は~いお疲れ様です♪」と言われながら部屋を出た。
城の裏口にいくと既にお付きの女官が待っており、先導されて侯輝の待つ部屋に向かおうとすると、待ちきれなかったのか廊下で待っていた。
「遅いよ!もう用意させてあるから!」
「割とまっすぐ来たんだぞ」
侯輝は苦笑する俺の手を取り部屋へと歩き出す。おいこらお友達とは手を繋ぐもんなのか?だがあまりにも嬉しそうにしているのでまあいいかとそのままにしておいた。ここに来るのも久しぶりだ。王と臣下として人目をはばかり学生の様なメモ書きの応酬ではなくこうして直接会ってはばかりなく言葉を交わせるのは楽しいものだ。
「天理、少しは食が太くなった?まだ忙しいだろうけど以前よりは残業減ったでしょ?」
俺の腰回りを触りながら聞いてくる。
「お陰さまで標準体型になったよ。てかセクハラで訴えるぞ…ってお前王様かよ」
「今は王様じゃないからセクハラじゃないですー」
「上司じゃなくてもハラスメントだ!そうか、上司じゃないなら殴っていいよな」
「酷いっ暴行罪で訴えてやるからっ!」
ベシッとはたけば大袈裟な程痛がる。こけんなじゃれ合いも何時ぶりだろうか。
「さぁ、座って」
俺達はテーブルに向かい合わせで席に着く。今日も城付きのシェフが腕を振るった料理が並ぶ。流石に前回よりは少なかったがまだ多い。
「で、どう?忙しいのは」
「いや、仕事は順調だよ。廻先生…新省長のおかげでだいぶ楽になった。招聘してくれてありがとな」
「ううん、俺の方も助かったからね。廻さんが来てくれて、王としての仕事も捗るし」
「それは良かった」
俺もこいつも良かったならこれ以上の事はない。微笑むと侯輝も嬉しそうに微笑んだ。
「天理ってさ、やっぱりこっちの方に住んで居たい?」
「ん?ああまぁそうだな住み慣れてるのもあるし。それがどうかしたか?」
「俺は今は占領直後だからここにいるんだけど、その内、豫の都に帰らないとならないんだよね。」
「……俺に着いてきて欲しいってか?」
「うん、正直に言うとそうなんだけど」
元々俺の夢はこの都で考古学の研究をしたかった為である。すっかり道が外れてお役人になってしまったが。この都に未練はある様で無いような。
「なぁそういえば聞いて無かったな。豫の都、夏凌ってどんなとこだ?こっちじゃ蛮族蛮族言われていたがそんな事無いんだろ?」
お前や小早川を見てたらそんな事無いのは想像できる。
「えっとね丘陵に出来た都市で、周囲は城壁に囲まれていて、街はがんばって綺麗にしたよ!夏は暑くて冬寒いけど、空気が澄んでいるから凄く星が見えるんだよ!夜になると満天の星空が見れるんだ!」
侯輝は興味を持たれたのが嬉しいのか嬉々として大袈裟な程の手振りを加えながら説明した。
「へぇ…良さそうな所だな。」
「来てみたくならない?ね?ね?」
侯輝はキラキラした目を向けてくる。もう小早川も廻先生もいるし内務の方は安定するだろう。そうなれば俺がいなくても大丈夫そうだし。ってお友達の為についていくのか俺は。
「…まあ一度見ても良いかなくらいには」
「ほんと!?じゃあ今度夏凌に帰る時に連れていくから!いい所案内するからね!」
侯輝はおっしとガッツポーズをし嬉しそうに笑う。
「まぁ命令されればついてくくらいするけどな臣下だし」
「もちろん王としてそれはできちゃうけど、天理についていきたいって思って欲しかったの!あのっほらっ友達だしねっ!」
はいはい友達な。こいつとのこの関係は実の所悪くはないと思っている。最初こそこの勘違いクソ野郎だったが今では良い友人だ。この関係を壊したくないと思う程には。俺はずっと友人でいちゃダメなのかと思っているが、こいつは俺の事が好きだと言って焦れずにせっせと俺にアプローチしてくる。
「はいはい。配慮してくれてありがとな」
「うん!で、どう?来てくれる?来てくれたら嬉しい!ね?ね?」
侯輝は立ち上がり、俺の手を握りぶん回しながら懇願してきた。仮にも王族だろ落ち着いて飯を食え。
「分かったから!ついてくから!興味はあるし」
「ホント!やったー!ありがとう天理!大好き!愛してる!」
侯輝は俺を抱きしめてきた。
「おいこら離せ。って、どさくさに紛れて匂いを嗅ぐな」
くっそホント力強いなこいつ剥がれねぇ。
「だっていい香りなんだもんっ!はぁ~幸せ!」
いい香りって。侯輝は満足するとやっと離れた。
俺と侯輝は食事を終える。
「そうだ、今日は泊まっていって欲しいんだよね」
「あ?なんでだよ」
「明日は休みでしょ?だから一緒に寝ようよ。パジャマパーティしよ?お風呂入ろ?」
「断る」
「手は出さないから!それに…手出しても天理が俺を好きじゃないなら意味無いから……」
寂しそうな顔をしてそんな事を言われては仕方がない。
「分かったよ。夜着は貸せよ?泊まるつもり無かったんだから」
「うん!お風呂の支度させるね!おっきいお風呂なんだよー。あ、お酒飲む?」
「酒は少しなら」
「うん!じゃあ準備させてくるね!あ、着替えも!」
そう言い残し部屋を出ていった。はあ、ほんとエネルギーの塊だな。つきあっているとつられて羽目を外しがちになる。
しばらくして戻ってくると俺達は城の大浴場へと案内された。普の時代に宮仕えしていた頃はよもや王家の風呂に入れる日が来るとは思わなかったが。そういえばここの城も一応歴史的建造物には違い無かった。考古学的に見学できるチャンスと言えなくもない。脱衣所で服を脱いで浴室に入ると、そこは広々とした大理石造りの空間だった。巨大な浴槽は軽く泳げそうなくらい広い。
「うぉ、すげぇな」
俺は思わず声を上げた。
「でしょでしょ!王家だけで独り占めするの勿体ないから庶民に開放しちゃおうかなとか思ってるんだよね。でもその前に二人で入ってみたかったんだ」
侯輝はそう言うと俺の手を取り、洗い場へと向かった。
「さ、座って!」
また子供の様に急かされ俺は言われるまま椅子に腰掛けた。侯輝が俺の背後に回り、俺の髪を洗う。人に頭を触られるのは久々だ。
「おー、気持ちいい」
「でっしょう!でっしょう!もっと褒めていいよ!」
侯輝は嬉しそうな声でそう言った後、俺の頭にお湯をかけ流していく。
「はい終わり!ね、ね、俺の頭もやって?」
「はいはい」
俺は侯輝の後ろへ回る。侯輝の金色の髪の毛はさらりとしていて、指通りが良い。指の腹で丁寧に洗ってやると気持ち良さそうにしている。
「お前ちゃんと手入れしてるんだな。」
「うん、まぁね。俺の自慢の金毛だから。王様だし見た目大事だよね!手入れはばっちりだよ!」
お湯をかけて流してやるとセットされていた髪が垂れ少しだけ幼く見えた。
「確かに綺麗な金色だな」
「でしょでしょ!えへへ。天理の黒髪も綺麗だよね」
俺の濡れた髪に手を伸ばしつつついでに俺の耳を撫でてくる。
「っ、おいこら、耳に触るな。髪なんて別にハゲなきゃどうでもいい」
「あははっ!そうかもね!でも綺麗だよ。」
そう言って俺を見つめてくる。男相手に綺麗って。こいつなりに必死なんだろうが、こうストレートに伝えてくるとさすがに照れる。
「っ……そうかよ」
俺は目を逸らすが、またじっと見てくる気配がする。こいつ本当によく見てくるよな。碌に好意を返す気が無い男なんか見て何が楽しいんだか。
「あー照れてる。もう可愛いなー」
「やめろって」
俺は侯輝の手を払いのけて体を洗う。
「えへへ。ごめんね?もうしないからさ」
侯輝は懲りずに俺の手をのばそうとしたのでぺしっと叩いてやった。それでも尚、懲りている様子もなく隣で体を洗い始めた。
「……お前さ、俺の事好きなんだよな?男同士だぞ。お前は王で世継ぎを作らなきゃならないんじゃないのか?」
俺は侯輝を軽く睨むが怯む様子もない。
「うーん……まあそうだけどさ、国を継ぐのが俺の子じゃなきゃいけないって事ないでしょ。俺は俺のやりたい事やってしたいように生きるよ。」
俺はため息をつく。こいつはいつもそうだ。自分がやりたい事を全力でやるし、それが正しいと信じて疑わないのだ。だからこいつの周りは人が寄ってきてしまう。こいつは人を集めるカリスマ性がある。俺はこいつのそんな所に反感を覚えつつも惹かれてもいる。
「そういえばお前は世襲制を嫌ってたな。お前自身は前王の子なんじゃないのか?」
侯輝はこの地にきてから身分血統ではなく徹底した実力主義を貫いている。それは本国でも同様らしい。身分の低いものには支持を得られるだろうが侯輝自身の王家一族からは反発がありそうだ。何かあったのだろうか。
「前王は俺の爺さんなんだけどね。俺の父さんは前王の爺さんの反対押しきって巫女だった母さんと駆け落ち同然に結婚したんだけど、父さんは俺が物心つく前に死んじゃってさ、俺しか跡継ぎいなかったんだよね。一応姉ちゃんもいるんだけどもう巫女さんになっちゃっててさ。俺も父さんみたいに血筋とか家とか関係なく自由に結婚したかったから最初は王様になるのやだったんだけど、俺が継がないと王家筋なだけでそれこそ蛮族って感じのやつが王様になりそうだったから仕方なくなったんだよね。」
「なるほど、世襲を嫌がるのはその辺りか。」
「うん、で、どうせなるなら俺が住みやすい国にしちゃえって思ってさ、人もいろんな所から集めて安定したと思うよ。国王も皆で決めようって変えようとしてる」
それまでに相当反発があったと思うんだが。
「まあまあ大変だったけど俺の事はみんな認めてくれてるし、むしろ俺のわがまま聞いてくれるしね。」
まあまあ。ね。初対面の事を思い出しながらあまり血塗られてなければいいんだがと思う。
「……お前、世襲制を自分の代でやめさせる為に子供作らないとか思ってないよな?」
俺は体を洗い終わると湯船に浸かりながらそう尋ねた。まさかその為に男と…俺と結婚したがってるなんて事はないだろうか?嫌がってはいても世襲で王位についてしまった侯輝は男と結婚する事で明確に子を残さないと示せる事になる。
「え?違うよ?俺、別に子供が欲しくないわけじゃ無いよ?たださ……」
そう言うと、隣に並んで湯船に浸かると俺の肩に頭を預けてきた。
「おい…」
「……俺はさ、俺の好きな人としか結婚したくない。ただそれだけなんだよね」
「……そうか。ならいい」
その好きな人が俺って言うのがまだ理解できないところだが…。お前にはお前なりの苦労があって無理してんじゃないかと思ったが杞憂だった様だ。俺はそこでやっと湯殿に風雅に浮かぶ花弁を眺めながら湯を掬って顔を洗った。ふぅと一息ついて顔を上げると侯輝が何やらにんまりとして横から俺を覗き込んでいた。なんだよ。
「ねぇねぇ天理、もしかして俺の事心配してくれたの?」
「え?」
「だって俺が無理してると思ってくれたんでしょ?」
「別に心配したって程じゃないと思うが……」
まぁホッとはしてたか?あれ?なんとなく恥ずかしくて横を向いていると、横から抱きしめられた。
「なんだよ」
「えへへ、嬉しいなって」
首元に頭をすり寄せてくる。
「おいこら、ちょーし乗んな」
「あはは、ごめんごめん」
へらりと笑うと侯輝は俺から離れ湯船にざぶんと浸かった。本当にスキンシップ以上には手を出してこないらしい。こいつ俺の事好きなんだよな?よく裸で抱きついて平気だな。辛抱強いというかなんと言うか…もっとこうガンガン来るかと思ったら律儀に俺が惚れるのを待っているらしい。俺がこいつに惚れる事ってあんのかね。ていうか待て…俺誰かに惚れた事、あったか?惚れるって
何だ?あれ?……そう考えると今までの恋愛って何だったんだろうな。例えば俺がこいつに惚れたとして惚れたと誰が判断できるんだ?俺か?あれ?頭ぐるぐる回ってきた。あ…れ…?
「え?!ちょっ!天理!天理ー!」

目が覚めると俺はベッドに寝かされていた。
「……ぅ……ぁ……?」
「あ!良かった!起きた!大丈夫?」
「あー……ああ」
俺は起き上がろうとするが頭がくらりとする。
「まだあまり動かない方がいいよ。お水飲める?」
「ああ。すまん、くれ」
侯輝は俺の体をゆっくり起こし水を飲ませてくれた後またゆっくりと俺を横にさせた。気づけば侯輝と揃いの上物の夜着を着させられていた。
「悪いな……世話かけた。今、何時だ?」
見上げた部屋には一度、少しだけ見覚えがある。侯輝の寝室か。あの時は緊張していたし、最後は俺がブチ切れて帰ってしまったからほとんど記憶は無いけれど。
「いいよ気にしないで。もうすぐ零時かな」
「ありがとな、ここ、お前のベッドだろ?横、空ける…」
横にずれてスペースを空ける。そうは言ってもキングサイズだからもう十分に余裕はあったが。
「じゃお邪魔しまーす」
「お邪魔してるの俺だけどな」
「えへへ、一応ね」
「あー…うまい酒飲みそびれたな」
逆上せた後に飲むのはまずいだろう。
「また今度飲もーね。へへ天理、パジャマパーティしよう」
いい歳した仮にも国王が枕抱えてそんな事を言うなよ。俺が呆れて苦笑していたがそれでも諦めずに引き出しからおやつを引っ張り出してきて俺に食べさせようとする。俺は侯輝にされるがままになりながら、こいつのこの無邪気さが周りを惹きつけるんだなと改めて思う。
「あの…さ…天理、一人の時ってどうやってるの?」
他愛のない話をしていると侯輝が少しだけ照れた様にしながらも興味深々という風に尋ねられた。
「は?何を?」
「ナニを♡」
「寝る」
「わーん。待って待って男子トークだよーねっねっ」
下ネタに走り始めた様なので無視しようと布団を引っ張ると慌てて止められた。ねっねっじゃねーよ。思春期か。
「学生かお前は」
「いいじゃーん。で、どうなの?一人でしてるの?」
「……まあ、そりゃあ、な」
仕事で疲れていた時期はそれどころじゃなかったが。今は少し余裕ができた。枯れる歳でも無いし。
「じゃあどんなの想像してるの?俺の事は考えてくれてたりする?︎」
「するかっ!別に特に何も…普通に処理してるだけだ。……お前はどうなんだよ。まさか女が寄ってくるから自慰した事ないとか言わないよな?」
「以前はそうだったんだけどね。最近覚えたかな」
といいながらじっと俺を見つめてくる。ああ、俺で想像してるってか。寄ってくる女で抜いとけよ俺なんかじゃなくて。少し熱い視線から逃げる様に視線を逸らす。
「そーかよ」
「ね、どうやってるの?座って?寝て?乳首とか弄ってる?後ろとかも使うの?ねえ、教えて?俺、全部知りたい」
侯輝は少し前のめりに興奮気味に聞いてくる。
「近いっあーもう、普通にっ座ってっだよ」
「どんな風に?どこから触るの?ねぇねぇ」
「うるさいっ。普通にだ、普通」
「俺あんまりやった事ないから普通が分かんないし…ねぇやり方見せて?俺のも見せるからさ」
「はぁ?いやだ。絶対いやだ。断る。やめろ」
俺は布団を被って拒絶するが、侯輝は俺の肩を掴んで揺さぶる。
「おねーがーいー!俺も見せたげるから!ね?むしろ見て?」
「い、や、だ」
まったく…何が楽しくて男同士で抜き合いなんてせにゃならんのだ。お前は良くても俺は…背中を向けて拒否すると、侯輝は俺を仰向けにして覆い被さり懇願するような瞳で見下ろした。
「お願い。天理……」
「な、に……」
侯輝は焦る俺の手を握り指を絡めてくる。そしてそのままゆっくりと俺の股間に持っていく。侯輝のそこはもう緩やかに勃ち上がっていて、俺の手に熱を伝えてくる。俺はその感触と、目の前の侯輝の色っぽい姿に思わず息を呑んだ。侯輝は俺の手ごと握って上下に擦るように動かし始める。
「おま、え……」
言いたい事が頭の中をぐるぐると回る。けれど何一つ言葉にできず成り行きを眺めてしまう。拒否しないのかよ俺。と頭の片隅で自分が言った。
「ごめん…天理…俺毎日天理を想ってシてる」
毎日ってお前。俺と笑顔でまた明日なんて言ってた日も、軽く喧嘩した日もか?
「本当に本当に好きなんだ…天理を待つって言ったけどホントはちょっとだけ辛くて…お願い助けて天理」
そんな縋る目で見るなよ馬鹿。断れなくなるだろ。
「……分かったよ。仕方ないな」
「え!?いいの?」
「ああ…一回、だけだぞ?」
そう言うと侯輝が嬉しそうにうん!と答えた後ちゅっと頬にキスしてきたが、俺はそれを咎める事もなく無視して体を起こした。
ベッドの上に胡座を組んで座り直すと、侯輝にも向かい合うように促した。
侯輝は俺の前にぺたりと座る。
さっさとやって満足させてしまえと俺は自分のモノを取り出して手に取るとさっそく扱き始めた。既にほんの少し堅くなっていたのは見なかったことにする。
「あっ待って一緒にやるっ」
慌てたように侯輝も自分の立派に経ちあがったモノを取り出す。ちゃんと勃起時のモノを見るのは始めてだ。あんなモノ俺入れてたのか、よく入ったな…
「んっ……ふぅ……っ」「はっ……はっ……」
吐息を漏らす声だけが部屋に響く。しかしすぐに俺をじっと見つめる侯輝の視線を感じて落ち着かなくなった。
「そんなに見んなよ……」
俺が抗議の声を上げると侯輝は自身のモノに手を添えながらじっと見つめた目をそらさない。そういえば最初のあの日はバックだったから顔はほとんど見られて無かったのか。
「ヤダ。一瞬たりとも見逃したくない。全部みたい」
侯輝のその真剣な眼差しが恥ずかしさを煽る。自分のモノがピクリと反応したのも考えない事にする。
「……っ」
視線から逃れる様に自分のモノへ集中させると侯輝は更に顔を近づけてきた。
「ね、先っぽ、どんな感じ?」
「どうって……」
「こう?」
侯輝は少し掠れた声で聞きながら俺の亀頭に親指の腹を当ててぐりぐりしてくる。
「うぁっ……ばっ触んなっ自分のだけに集中しろっ」
その手を払いのけようとすると侯輝はその手を掴んで自身のモノに触れさせた。
「ちょっ」
「可愛い天理。ね、俺のも触って?」
侯輝が俺の手を掴んだまま、俺の指を使って自分のものを扱いていく。
「やめ、ろっ」「あっ…キモチぃ…天理」
俺が慌てて手を引こうとするが、侯輝はしっかりと掴んで離さなかった。更に少しにじり寄って脚を絡めさせてくると逆の手で俺のもまた弄り始めた。
「うっぁだから、やめ、ろって」
お互いの吐息が届きそうな距離で互いのモノをすき合っていく。何やってんだ俺と思ってるはずなのに抵抗を忘れてしまう。快楽に流されてるだけだ、仕方ないんだと自分に情けない言い訳をする。侯輝はそんな俺を記憶に焼き付ける勢いでガン見しながら手を動かしていた。
「あ、ぁ……っ」「はは、気持ちいい?俺も、はっ、は、は、は、」
俺が声を漏らすと侯輝は嬉しそうに笑う。その笑い方が犬っぽくてちょっと可愛かった。ああもう、なんだよこの俺の感想は。もうどうにでもなれ!
「っ……もう、ちょいこっち」
「!こう?」
自分のイイ所に導いてやると嬉しそうに擦り付けてくる。俺はそれが何だかおかしくて、つい笑ってしまった。
「お前、ホント、に、ワンコだな」
「なにっそれ」
「褒めてんだ、から喜べよ」
野性味がある癖に素直で可愛いようなとこがさ。
「嬉しいけど、俺はわんわんじゃなくて狼だよ」
「知ってるよ」
全く人の言う事聞かないわんわんだよお前は。
「じゃあさ、名前呼んで?」
「……」
名前なんて読んだらまるで…必要ないだろう?無いはずだ。
「っねえ天理」
そんなしおらしく縋る様な目で見てくる癖に手ぇしっかり動かしてんじゃねぇっ
「……っ侯輝」
「もっと、もっと呼んで」
侯輝は嬉しそうに俺の手を握り上下に動かす。俺はされるがままにされるしかない。
「俺も呼ぶ。天理の名前呼びたい」
「好きに、しろよ」
侯輝は俺の耳元に口を寄せると、低い声で囁いた。
「愛してる、天理……」「っ」
ぞくりと背中に何か走る。そんな事言われたって俺は応えられないって言ってるだろ。なのに。侯輝は息を荒らげながら少し嬉しそうな顔をする。ああ、クソ。
「はぁっ……はぁ……天理、今、ココ、ピクってしたよね。もっと呼ぶね?…天理、愛してる、天理」
「んっ…う、ぁっ…」
もう一度耳元で囁かれるとまたゾクゾクと全身が粟立つ。誤魔化すように侯輝のソレを握る手を早めると、侯輝も俺の名を呼びながら、俺のソレをすく速度を上げた。ああ、ダメだ気持ちいい。どんどん流されていく、次第に俺を見つめる侯輝の金色の視線にすら体が疼きはじめた。
「はぁっ、はぁっああ、キモチいいよ、天理、もっと、呼んで天理」
「んぅ、ぁっ、は……ぅ侯、輝」
侯輝は更に近づくと俺の腰を引き寄せ、自分のモノと俺のモノを束ねるとそのまま扱き始めた。
「天理、はあっ、はあっ、あっ」
「うっ、ぁっ、侯、んっ、ああっ」
俺の肩に顔を埋めて侯輝が息を乱していく。熱い吐息と汗ばんできた体から香ってくる侯輝の匂いが俺の思考を奪っていった。一人でシている時とは明らかに異なる熱量が俺の中に渦巻いて暑くて堪らない。侯輝は俺の首筋に顔を寄せると荒れる吐息の合間に大きく息を吸い込んだ。段々早くなる手の動きに俺も翻弄されていく。お互いのモノから溢れる先走りが混ざり合い、更に滑りをよくしていった。俺のモノも限界まで張り詰め、ビクビクと脈打っている。
「うぁっ……も、出そっだ」
「うんっ、俺もっ、ねぇっ天理…」
手の動きはそのままに、俺の首筋に埋めていた顔を上げると侯輝は潤んだ目で俺を見た。その目は情欲に濡れていて、その目に映る俺も同じ顔をしているのに気づくと恥ずかしさが込み上げて目を反らす。
「キスっ、キスしたい……!」
侯輝は甘える様に言うと俺に顔を近づける。
「っ!」
俺はそれを拒否する事が出来ずに目を閉じた。
「んん…っ!!」「っあ!」
侯輝が俺の唇に唇を重ねると互いに握る爆発寸前だったモノがドクンと脈打ち勢い良く白濁が手の中に吐き出された。
「はー……はぁ……はっ」「はっ……ん…は…」
唇が離れただ荒い呼吸を繰り返す。少し落ち着くと思い出したかのように侯輝がちり紙に手を伸ばし互いの手の白濁を拭った。
俺に好意がある侯輝はともかく”お友達”にオナニー見せるばかりに留まらず兜合わせしてキスまでするか?普通。こいつは真剣に俺の事好きで、俺はその想いに応える事もできない癖にただ流されるばっかりで。俺はただの快楽主義かよ。俺は相も変わらず侯輝が俺に送り続ける熱い視線に、恥ずかしさと気まずさで目を反らしていると不意に声をかけられた。
「……ねえ、天理」
俺はその声の方に目を向けると侯輝が真剣な眼差しを向けてきた。俺はそれに戸惑いながらも応える。
「何、だ……」
「俺、これからも天理の事想い続けるからね」
「……お前はいいのかよ、こんな好きでも無いのに流されて、その、平気で抜き合いするような奴でも」
ホントに平気かどうかは俺自身よく分からない…というか俺がお前をどう思ってるか分からないんだよ。いい歳してとんだポンコツだ。俺の言葉を聞いた侯輝は少し考える様な仕草をして答えた。
「俺も……確かに最初は興味本意だったけど、今は違うよ。俺は天理が好きだよ」
「っ」
まっすぐに届けられる言葉に俺は思わず顔を赤らめる。何度も何度も届けられるその言葉。そんな事を言われても俺はどうしたら良いんだろうな。俺はお前に何も返せないって分かってるのに。そんな事を考えながら黙って俯いていると突然抱きしめられてしまった。
「なっ!?ちょっ!侯輝!離れろって」
お前の言葉と態度に高鳴る心臓の音が聞かれたくなくて焦る様に突き放そうと腕に力を入れるが侯輝はびくともしない。俺が諦めて大人しくすると、俺の音を確かめる様にぎゅっと抱き締めた。
「……例えばそんな事にはなって欲しくないけどさ、天理に誰か好きな人ができるまで俺の側にいてよ?今はそれだけでいいから。ね?」
「……分かったよ。こんな俺でもいいって言うなら」
俺はそう呟きながら、この胸のモヤモヤがなんなのか分からず、誤魔化すように侯輝の背中に手を回していた。
「……ありがとう、天理。大好き、愛してる。俺だけの、天理……」
侯輝はそう言うと、やっぱりどうしていいか困惑する俺の頬に手を添え、俺の額にキスをした。
「ぅぅ……」
「ふふっ可愛いなぁ俺の事好きになーれ♪」
「馬鹿、も、寝るぞ」
俺が呆れて横になると、侯輝は俺の頭を撫でながら言った。
「おやすみ、天理」
「……お休み、侯輝」
お前の事、好きになれたら楽しいのかな。そんな事を考えながらそのまま眠りについた。

翌朝、バタバタと慌ただしい気配で目が覚めると火急の報せと伝え来た女官により旧普の貴族の反抗勢力が反乱を起こしたとの報せが入る。せっかく天理と二人きりの休みだったのにといじけそうになりながらも素早く支度を進める侯輝に「これからも側にいるから、きっちり仕事してこい王様」と言うと「うん!」と嬉しそうに侯輝は笑うと王の顔に戻り反乱鎮圧対応の為に部屋から出ていった。
そろそろ顔なじみになってきた女官に手引きされ裏口から下城すると、表から登城し直し、その日は俺も支援の為に休日返上で内務省で対応にあたった。侯輝の指示の元、鎮圧に向かった葉金により、反乱はほどなくして収まった。

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