ご奉仕と真心は突然に
翌朝。俺が起きると侯輝の姿はもう無く、美味しそうな匂いが漂っていた。
「おはよ天理。体大丈夫?無理させてごめんね」
「おはよう。……体はだるいけどまあ動けるかな。朝食作ってくれてるのか?」
「うん、できたから食べよ」
侯輝は俺を起き上がらせるついでにおはようのキスをしてきた。
顔を洗って朝食を頂く。なんだか新婚生活って感じでこそばゆい。
食事を終えて片付けを済ませる。
「ねぇねぇ天理買い物行かない?昨日の今日で悪いんだけどさ」
「んー……まあ良いよ。じゃ支度する」
俺達は身支度を整えて家を出た。
「で、何か買うもんあるのか?」「んー……そうだなぁ、痛くない手錠とか。目隠しとか」
「お、お前。本当に昨日の今日だな。昨日言ってたギルドで買うのか?」
「うん。ねー一緒に見よ?恥ずかしいなら後ろ向いてても構わないよ」
「はーー。どうせ俺に使うんだろ。監視しててやる」
「わーい」
俺達は連れ立ってギルドの売店へやってきた。安全な流通が自力で確保できるので商業ギルドと提携してギルドの一角に売店を構えている。
「えっと……目隠し、手錠、猿ぐつわか……」
うう。他にも結構えぐいのもあるな。何に使うのかさっぱり分からんのもあるし。
「あ、これ可愛い」「何だそれ?」「猫耳カチューシャ!天理似合う似合う」と商品を勝手に俺の頭に装着して遊んでいる。おいやめろ。俺はこんな趣味はないぞ。
外して棚に戻すと残念がられてしまった。買ってやっても良かったか…何も装着してないのにお前の頭の犬耳が垂れているのが見えた。
「あ、これなんかどう?」
そう言って手に取ったのは革製の目隠しだった。
「いいけどお前、俺が見てないと拗ねる癖に俺に目隠しなんぞさせられるのか?」昨日最中に俺がお前の方見てなくて、見たらやっと見てくれたって喜んでたのお前だろ。
「そ、そうなんだけどね。最初だけなら良いかなーと思って。最後にはちゃんと俺見て貰うから!」
「はいはい。まあいいよ」なんとなく、お前の方が耐えられなくて俺にした目隠し外してくる未来が見えたぞ。
「ロウソクも色々あるねーアロマ入りとか媚薬効果入りとか。天理の白い肌に垂らしたら綺麗だろうなぁ」
「ここで妄想に花咲かせるな。…まあアロマ入りなら最悪ロウソク代わりにはなるか…?」
「本当?!じゃあこれにしよ!」
そう言って真っ赤なアロマ入りを籠に入れる。
「あとこれ使わない?ブジー」
なんだか細長い棒のような物が入っている箱を取り出した。
「それは何に使うんだ?」尻に入れるには細すぎる。
「尿道開発する時に使うらしいよ」
「…え?…え?感じるのかそこ」
「キモチいーらしいよ。試してみようよ」
「お前に試していいなら買ってもいいぞ。別に俺にばかり使う必要もないよな?」にっこり笑って言うと、あわわと慌てる。
「そ、そうだね!じゃあ俺がやるね!」
買うのか。俺に使われそうな気もするが一度はお前にマジで試すからな。
「じゃ、じやあ次これ!ピンクローター!」
振動して刺激を与える玩具だ。魔畜石を動力にしているようだ。
「…どこに使うんだそれ」女子じゃないだろ?
「え?ここだよ?」
そう言って股間を指差す。
……マジかよ。まあいいか。黙って籠に入れる。
「ディルドのサイズはどうしよっかなー。俺達より大きいとなんか嫌だし」
「それいやだ」
「ダメ?」
「お前の以外突っ込まれたくないんだよ分かれよ」プイと横を向く。
「天理……」後ろから抱き締められた。「ごめんね?あ、でも俺と同じサイズの買って俺が留守の晩に慰めてくれても俺は嬉しいけどなー」
「お前な」
…後でこっそり買おう。
「じゃこれ、クリップ。使ってみない?」
クリップの先端に鈴が付いている。普通のクリップよりはバネが弱い様だが…痛そう。
「…乳首にだよな?楽しいか?」付けられて鈴が鳴るのは滑稽ではないか?
「可愛いと思う。試してみる価値はあると思うんだけど」
う~ん……そうか?
「…まぁいいよ。痛かったら即止めな。他は…これは?」
穴の空いたボールにバンドが付いている商品を手にする。
「ギャグボールだね。強制的に声出させたり、涎出させたり。それはいいや」
「なんで」
「だって天理もう声出してくれるし、好きだって言葉聞きたいし、口閉じれないくらい喘いで涎垂らしてる時多いし」
「ちょっと黙れ」軽くはたいてやる。一応店の中なんだよ!事実だけに腹が立つな。
「ここ貞操帯もあるね!天理に付けたい!」
ペニスにカバーを付けて鍵をかけられる様にするものだ。
「ええ…?俺浮気しないぞ?」
「そうじゃないよ!これはオナニーさせない為に付けるやつだよ!?付けてたら一人でできないでしょ?そしたら欲求不満になった天理が早く抱いて♡って迫ってくれるかなって!」
「……別に?付けたきゃ付けりゃいいだろ」
「何で余裕なの?!俺は毎日天理を抱きたいのに!」
もう一度はたく「声がでかい!……あのな?俺が後ろでないとほとんどイケないようにしてくださったのはどこの俺の旦那様でしたっけな?ん?」にっこり。貞操帯なんざ余裕なんだよ。
「はぁい…天理の旦那様の俺でぇす……」
「そうだな。よく分かってるじゃないか。買ってもいいが俺には不要だしお前に付けとくべきだよな?どちらかといえば」
「うわーん!ごめんなさいぃいいいい!!」
まあ実際侯輝に付けたら冒険から帰ってきて欲求不満な侯輝に目茶苦茶に抱かれそうだから止めとこう。俺がもたん。
「はい、じゃあ次行こうか」
「うん。あ、コスプレあるよ!天理どれ似合うかなー♪これ、ナース服どうかな!エッチなお注射しちゃうよ!お注射するの俺だけどね♡」
キャッキャッしながら言ってるけどお前おっさんっぽいぞ。
「その服着て俺がお前にお注射してやろうか♡」にこ
「うわーんまだ怒ってる?」
「冗談だ」
「あーでも一回やって貰ってもいいかも♡」
「冗談だろ…?」
「ねぇねぇ試着できるって!」落ち着かないやつだな。
「無いだろ流石に俺が入るナース服は」
「え?!このサイズなら入ると思うけど?!ちょっと待って!」
店員さんに確認してくる!と侯輝が行ってしまった……アクティブモンスターめ。
「マジで言ってんのか……?」
しばらくして戻ってきた。手に何か持っている。
「はい!持ってきた!大丈夫だってさ!」
「あんのかよ男子用…」
「ナース服試着して天理♡」
「こんなとこでいやだ」
「俺しか見ないし誰にも絶対に見させないから!ね?ね?」
目ウルウルさせんな。あーもう。「……わかったから」
「やったー!大好き天理」また軽くはたいておく「静かに待ってろ」
試着室で着替えた。ニーハイソックスは長いがスカート短く無いか?落ち着かない…コスプレ衣裳なんてそんなもんか?
「侯輝着替えたぞ、入ってこい」
「おー!可愛いよ天理!似合ってる!やっぱり俺の目に狂いはなかった!絶対領域最高だよ!!︎」
キラキラした目で褒められる。
うわぁ…褒められたのはいいがなんかフェチ入ってんぞ。
「あのね!これも着て!見たい!似合うの買う!」と待ってる間静かだと思ってたら選んでいたらしい服を渡された。もうヤケクソで順に着ていく。
「チャイナ着たぞ」裾は長いがスリットがえぐい。
「わぁ天理の美脚!綺麗!エロティック!素晴らしい!素敵!お持ち帰りしたい!」
「テイクアウトはやってねぇんだよ」
次メイド服。「おら着たぞご主人様」
「可愛いぃ!俺にエッチなご奉仕して!俺のお嫁さんになって!」
「残念ですがわたくしはご主人様と既婚なんだよ」「あ!それだ!」と今度はウェディングドレスを持ってきた。ワクワクする目で見るなもう全部着てやるから。
「はい着たぞ旦那様」
簡易っぽいが純白のウェディングドレスだ。
「お嫁さんだ…もう死んでもいい……俺モーニングコートもう一回借りてくる。式挙げ直していい?」
「はったおすぞ」
しばらくぎゅうぎゅうと抱き締められ撫でまわされたあとやっと満足したのかやっと解放された。私服に着替え直しながら聞く
「で、どの服買うんだ?普段使いできないもの流石に全部は買えないぞ」
「ええと、玩具は手錠とアロマロウソクとブジーとピンクローターとエネマグラと鈴付きクリップかな服はレンタルしようと思って」
なんか増えてんぞ。
「お前、俺にあれだけ試着させといて服は買わないのか…」
「買いたいけど…こんだけ買っちゃったからお金が…」だからウルウルすんな。
「服は買ってやるから選べ」
「天理…俺がんばって出世するから!」
結局ナース服を買った。レンタルだとサプライズで着ておくとかできないだろ。
会計をしようとレジに行くとギルドマスターがいた。最近学院から護衛依頼を出してないので俺は久々に会う。ギルドの酒場を貸しきって式を挙げた時、司会をして貰って以来か。
「あ、ギルマスだ。売店の方になんでいるの?」
「やっぱりお前らか馬鹿っぷる夫婦め。店員からヘルプが来たからこっち来たんだよ」
馬鹿っぷる夫婦…
「俺らが何か…?」
「イケメン二人がSMコーナーとコスプレコーナーで仲良くイチャ付きオーラ全開にしてて他の客が入れないから注意してくれって店員から連絡があったんだよ。お前ら新婚だろ、少しは自重しろ」
「えー普通にしてただけなのにー」
「お前の普通は一般人からしたら異常だ」
それは俺も思うが、
「俺は自重してたつもりですが…?」
「お前さんはそのつもりだろうが天然でちょいちょい漏れてんだよ自覚してくれ」
えぇ…
「そうそう可愛いよねー」
「お前は黙ってろ」
「はーい」
「で、お前ら何買ったんだ?……おい」
カウンターに置いた籠一杯のアダルトグッズとナース服。突っ込みたい気持ちはまあ分かる。俺は感情を無にすることにした。素じゃ恥ずかしくて買えない。
「………お前さん達、もうちょっとこう……恥じらいというか……」
「俺はこいつとグッズ買いについてく時点で捨てましたよ」
「えー?何がダメなの?」
「……いや……まあ……うん……」
「俺達はラブラブなんですぅー」
「はいはいそーだな」腕に抱きついてくる侯輝をひっぺがす。
「……もういい……好きにしやがれ」
「ギルマス!ギルド会員割引は?」
「アダルトグッズは対象外だ冒険に必要ないだろ」
「えー?必要だよー?俺達の夜の生活に」
「……お前ら夜はそんななのか?」
「ノーコメントで」明後日を見ておく。
「……若いなお前さんら」
「俺達が仲良しなのはいいことでしょ?ね?ね?」
「はいはいわかったわかった」
侯輝が抱きついてきた。もう面倒なのでされるがままにしておく。外じゃやめろっつってんだろ。会計を済ませた。
「ほら、そろそろ行くぞ」
「はぁーい。ギルマス、また買いにくるねー」
「もう来るな」
「では」ぺこりと頭を下げて店を出る。ついでに酒場で昼飯を食べた。
「次はどこ行こうかー」
「買い終わったならもう帰るぞ」
「ええええ天理の下着とか服とか見たかったなー」
「お前金ないだろ」
「見るだけ!あ!バニー服着て貰うの忘れてた!」
「着ねぇよ?」
「えー?着てくれるまで帰らない」
「もう疲れたから帰りたい」
「お願い!ね?ね?」
「…………はぁ……着るだけだぞ」
「天理大好きー!」
レンタル衣裳屋に向かう。男性用バニーもあるらしく着替えさせてもらう。バニー服を着るには一端全裸にならないとならないらしく世のバニーさんの苦労を伺い知る。全裸になりまずは男の場合Cストリングというのを履くと言うより装着する感じらしい。着け方を教えて貰う。
次に黒のストッキングを履き上からニーハイの網タイツを履く。これでやっとバニースーツを装着。燕尾服を羽織り、あとはカフスと襟と尻尾、バニー耳と蝶ネクタイをつける。最後にウサギを模したピンヒールを履いて完成。
着替え終わり鏡を見る。うわ……これ尻丸出しだし、胸はギリギリだ。なんかスースーして心許ない、恥ずかしい。しばし逡巡し意を決して侯輝を呼ぶ。が、入ってきた侯輝を見てくれた絶句する。恥ずかしさどうでもよくなった。
「わぁ可愛いやっぱ天理似合う!可愛い♡エロ可愛い♡」
嘗めるように俺を見る侯輝。
「その前に一ついいか?なんで…お前も着てんだ?」
俺のと色違いだが同じバニー服を着ていた。可愛いと言えなくもないが、なんでだ。雄っぱいが強調され侯輝の逞しい筋肉がさらに強調されている。あれかな?俺が恥ずかしいがらないよう一緒に着てくれたとかかな?そうだよな?
「なんか楽しいかなーって一緒に写真撮ろう!」
ああ、うん。特に考えてなかったかな……
「ああもう好きにしろ…」
セクシーなポーズにさせるか可愛いポーズにするか散々悩んだ末、二人で絡んだポーズを両方撮らされた。お前が楽しいならまあいいや…ヤケクソで撮った後はひたすら俺を鑑賞していた。イケメンバニーがひたすら野郎のバニーを嘗め回す様に見ている絵面はどうなのか。ストッキングの上からスルッと触れられた時思わずビクっとしてしまった。
「ちょっ変な触りかたすんな!」
「えー?だってこんなに薄い布一枚なんだから仕方ないじゃん?」
「だからって……」
「あーもしかして感じちゃった?」
「違う!これは驚いただけだ!」
「ふーんじゃあ今度はもっとエロい感じでいくね?」「ふざけるな!」すぱんと叩くと侯輝のバニー耳が飛んだ。
「ひどーいバニーの命なのにー」
「知るか!もういいな!着替えるぞ!」
「えーもうちょっと見てたいなー」
「着替える!」
結局着替えて店を出た。侯輝がこっそりストッキングを買っていたのを見たがちょっとだけあの感触に好奇心が沸いてしまったので突っ込まずにいた。