空想と太陽の物語1(未確定)
二人は改めてデートしよう!と街に出た。侯輝ははじめての恋人繋ぎに恥ずかしそうにする天理を終始ニコニコと嬉しそうにレストランに市場にと連れ回した。
辺りがオレンジ色に染まり帰巣を促す。
「楽しかったね!」
侯輝が笑いながら天理の手を引いて歩く。侯輝がはしゃぐのが面白くてつい年甲斐もなく一緒にはしゃいでしまったのを少しだけ反省していた天理は、それでも嬉しげな侯輝を見て、ふっと笑った。
「ああ、そうだな」
「!えへへ。ねえ、今晩はうちに来ない?前食べさせ損なった料理も振る舞いたいしさ!」
「ぉ、おう。じゃあ馳走になる。楽しみだな」
侯輝が天理の笑顔に一瞬見とれつつ、すぐに嬉々として天理を誘うと天理はその夕飯の後の事を想像してしまい恥ずかしくなってしまった事を誤魔化す様に少しぶっきらぼうになりつつ答えた。
エレリウスとの魔術契約により強制的に発情させられ、侯輝とはやむを得ず体の関係から先に始まってしまった天理にとって、今日の昼のデートも初めてだったが夜の導入も初めてなのだった。いつもはなし崩し的にSEXさせられていた天理にとって、営みの為の雰囲気作り等想定した事がなかったのである。
「あ、酒はあるか?」
侯輝の家へと向かいながら、天理はどうしていいか分からず咄嗟に酒の力に頼る事を思いついて口にしたものの、心中で自分で安易すぎる自分に突っ込みを入れた。
「あるよ!合うのがあるから任せて!」
侯輝は天理の様子が少しおかしい事に気が付きつつも、天理の願いを叶えるべく張り切って応えた。
「ぁ、ああ。頼んだ」
「俺んちにいらっしゃーい!」
「おじゃまする……」
(天理、いつもより緊張してる!?可愛い!)
天理は侯輝に促され内心緊張しながら侯輝の住むアパートに入った。キッチンを横目にしながら通路を通り、部屋に入ると一人暮らしにはやや余裕のある広さの部屋には小さなソファにテーブル、本棚、壁際にはギターが立て掛けられており、天理は時折耳にする侯輝の歌がここで作られているのかと感慨深く思いながら部屋を見渡す。奥のベッドは意識してしまいそうなのでひとまず見なかった事にした。
「適当に座ってて!今日は俺に任せてね!美味しいご飯振る舞っちゃうよ!」
「ああ……ありがとう」
侯輝が鼻歌を歌いながらエプロンを着けて台所に立つと、天理も上着を脱いでハンガーにかけ、座って待つことにした。
「ふぅ……」
天理は料理を手伝うつもりが有無を言わさぬ笑顔で先手を打たれ手持ち無沙汰になってしまった。ふとあまり意識しないようにしていたベッドのヘッドボードに、本棚から出されたらしい本が数冊置かれていた。
何気なく、一見地味に見えた一冊を手に取ってみると、それは所謂B.Lと呼ばれるジャンルのもので、成人指定らしく慌てて元の場所に戻そうとすると、表紙の帯の小さな文字が目に入った
『年下攻め』
(なっ!)
つい魔が差して中表紙を見れば大型犬を彷彿させるような金髪大柄の青年が堅そうな印象の黒髪の美青年を嬉しそうに後ろから抱き締めていた。
(な、んか俺達に近いな……)
どうせならセックスの導入の参考にならないだろうかとぱらぱらと捲る。が表紙では堅そうに見えたどうやら学者らしい黒髪の方は意外とSEXに抵抗がなく生物的欲求として積極的に誘っており、奉仕なども行い年下の金髪がたじろぎつつも喜んでいた。
(うわ……あまり参考にならなかった。俺にはハードルが高すぎる……だが侯輝がこういうのが好きだとしたらどうする……)
そう思いながらページをめくると、今度は黒髪が金髪をベッドに押し倒して騎乗位で腰を振っていた。
(えぇ……こっちはもっと無理だろ……?!)
儀式として処理的に、もしくは支配的にバックか正常位しかやった事が無かった天理は頭を抱えた。
(でもこれを愛読してるって事は期待してるよな?あいつの事は喜ばせてやりたいし……やるしかないか……)
「お待たせー!できたよ!」
天理が悶々と悩んでいると声がしてキッチンから山盛りの大皿と小皿を器用に持って侯輝が現れる。天理は深刻に悩みすぎていたのか、いい匂いが部屋中に漂っていたことに今頃気づくと慌てて本を元に戻した。
「お、おう!いい匂いだな」
「でしょー?前一緒に食べたやつのアレンジ版だよ!天理の好みだと思うんだ♪」
「凄いな…うまそうだ」
侯輝がテーブルの上に大皿を置くと天理が感嘆の声を挙げた。茄子と味噌の炒め物、大根と豚の生姜焼き、ほうれん草のおひたし、豆腐とワカメのスープなどが並ぶ。
「あとお酒ももってくるね」
極東の血を濃く引いていたらしい天理はその見た目通り和食が好きらしく、嬉しそうに頬を緩ませた。侯輝がキッチンから戻ってくると手にはグラスと日本ワインが握られていた。
「天理に食べて貰いたくて奮発しちゃった!さぁ食べてみて!」
天理が小皿によそわれた食事を頂きますと言いながら口に運ぶのを侯輝はどうかな?と期待を込めた眼差しで見つめる。
「うまい……!この間の料理屋のよりお前が作ってくれたのが好みだ、ありがとな」
「やった!このお酒もこの料理に合うんだよ」
嬉しそうに箸を進める天理に侯輝は笑みを深くしながら今度は日本酒の入った瓶を取り出すと天理のグラスに注いだ。
「お……これいいな……美味しい」
「でしょ♪でしょ♪俺も頂きまーす!」
それから二人は他愛のない話をしながら楽しく食事をした。
天理は飲みやすい酒と肴のずっと楽しそうな侯輝のお陰で杯が進む。普段はさほど飲まないものの実は酒豪レベルで滅多に酔わない天理だったが、まだどこか緊張していたからか少しだけほろ酔いになりつつ、腹を満たしていた。
「えへへー幸せー」
「ははっ、ごちそうさん。美味しかった。お前、いー嫁になるぞー」
「俺はお嫁さんになるより、天理にお嫁さんになって欲しいな」
天理は酒が混ざり先程までの緊張をすっかり忘れて楽しげに笑う。天理の冗談めかした言葉に侯輝はにこにことしながらも目だけは真剣な瞳で返した。
「っ……ふはっ!何だよそれ。俺料理こんなにできないし、お嫁さんって柄でも無いだろ……」
「料理は俺が教えてあげられるし、それより俺は優しくてかっこよくて綺麗で可愛い天理みたいなお嫁さんが欲しいな」
一瞬間をおきながらも吹き出し、笑いながら否定する天理に、侯輝はじっと見つめてふわふわと微笑みながらも真剣味を更に増した瞳で見つめ続けた。
「お、前なぁ……俺見てどうやったら可愛いとか……」
「ほら、可愛い」
そんな侯輝に天理はもう笑って返す事ができず、恥ずかしそうにたじろぐと困った様に目を逸らした。
「しょ、食器洗うなっ」
「あ、俺もやるー……」
天理はにこにこと嬉しそうな侯輝から逃れるように空になった皿を素早く重ねてキッチンに持っていく。
侯輝は慌てて立ち上がり天理を追うが、既に皿を流しに置いた天理がこちらを睨んでいた。
「食事の礼だっこれくらいやらせろ!」
「はぁい。お願いするね」(照れ隠しも可愛いな)
ぴしゃりと叱られ大人しく任せる事にした侯輝だったが、照れ隠す様にカチャカチャと丁寧に食器を洗う天理が可愛らしくて後ろに回り込み後ろから抱き締めた。
「おいこら」
「えへへ。邪魔はしないからさ。……ね、泊まってくよね?」
「っ……あぁ。着替え、貸してくれ」
侯輝に耳元で囁かれ、ガシャッと音を立てて洗いかけの皿を落としそうになった天理は顔を赤くしながら小さく返事をする。
「やった!じゃあお風呂沸かしてくる!着替えも用意しとくね!」
嬉しそうにそう言って離れていく侯輝に天理はほっと一息ついた。抱かれる事自体は同じなずなのに、初めて抱かれる様な感覚が天理を覆う。儀式としてのセックスしかした事がなかった天理に恋人同士の性交は未知の体験だった。
「お待たせ!お風呂セットしたよ!お先どーぞ!着替えは出るまでに置いておくね」
天理が食器を片付け終わり、内心落ち着かないまま無意味に携帯機をいじりながら部屋で待っていると、そう言って浴室から戻ってきた侯輝が風呂へと促してきた。
「お、おう。ありがとう」
鼻歌を歌いながらタンスから着替えを選び出している侯輝を横目に、天理は促されるまま風呂へ入った。
天理は服を脱ぐと浴槽に浸かる前にシャワーを浴びる。これから抱かれるであろう体をオシャレなボトルに入ったソープで丁寧に洗い、恥ずかしく思いながら後ろを解しておく。
洗いながら天理はこれまでの儀式の前を思い出す。何も考えず諦めたように事務的に洗い、受け入れる為に解しておくだけだった。儀式をして自分の意思に反して勝手に発情状態にされ、ベッドに連れられると後は魔力供給儀式として様々な男達に抱かれた。時折嘲笑されながら勝手に上がりそうになる声を歯を食い縛り必死に堪え、早く終われと願うだけの時間だった。
それが今は違う。
侯輝に抱かれると思うだけで鼓動が速くなり、熱くなる。セックスがこんな思いをするものだなんて知らなかった。
身体を洗い終えると湯船に入る。肩まで浸かり目を閉じて息を吐く。
(もっと早くに侯輝に出会えてたら……いや、過ぎた事を考えても仕方ないな。今、俺は幸せだ。侯輝とこうして一緒に居られて、愛されて、抱き合えるんだから。これから頑張ってあいつに喜んで貰えるようにしないとな)
そう思い、ふっと笑みを浮かべた。
風呂から上がると脱衣所に置いてあるバスタオルで水滴を拭き取り、用意された着替えに袖を通す。それは侯輝が普段着ているTシャツとハーフパンツだった。丈はさほど問題無かったが肩が余っている。
(体格いいもんなお前……)
そう思って苦笑いした。
「待たせたな、出たぞ」
「うん、じゃ、俺も入ってくるね」
Tシャツとハーフパンツを着て出てきた天理を見て侯輝は嬉しそうに笑う。少し肩布を余らせ自分の衣服を身に纏い、すれ違い際には普段使っているソープの香りがほのかに漂う。湯上がりで火照りしっとりとした雰囲気もあいまって侯輝の胸は高鳴らざるをえなかった。
(うわぁエロい……わ、落ち着けまだ早いまだ早い!)
侯輝はシャワーを浴びながら起ち上がりそうになる自身に冷水を足しながら言い聞かせる。が、湯船に浸かり先程まで天理が浸かっていたと意識してしまうとどうにもならなかった。
(ぅぅ……そうだ!ジャイアントラットが一匹……ジャイアントスパイダーが二匹……そういえば天理ホントは昆虫苦手だけど強がってるの可愛いんだよね……えへへ……違う違う!イルミナコープスが三匹……)
侯輝はなんとか自身を抑え風呂から出、着替える。落ち着かせようと風呂上がりの水分補給に冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出し一気に飲み干した。そのままペットボトルを持ったまま部屋に戻ると、天理はベッドで脚を組み腰掛け携帯機を何やら真剣に眺めていた。
天理は男同士のセックス前雰囲気作りを必死で検索していたのだが今役に立たない既知の挿入の解説ばかりで焦っていた。
(あ、そういえば、なんて声かけよう。天理マッサージしてあげるね♪?……なんか違う気がする!)
「ぁ、出たか。えっとお疲れ?」
天理は侯輝の風呂上がりの音に気付き顔を上げ携帯機を置くと、部屋の入り口でペットボトルを持ち微妙に落ち着かない雰囲気の侯輝にやや混乱したまま声を掛ける。しかし内心その自身の微妙な声掛けに呆れていた。
「うん。飲む?」
「ああ、少し、貰う」
侯輝はハッとするとその瞬間もう考えることをやめた。えへへと苦笑いしながら天理にペットボトルを渡しベッドに近づく。一口飲み込む天理の隣にそっと座りペットボトルを置いた天理の手を握る。ピクリと反応する天理だったが、侯輝の手を握りそっと返した。
「えへへ、なんか初めてみたいだね」
「ん…ま、実際最初からやるのは初めてだしな」
「やった。天理のはじめてだ」
にこと笑う侯輝に天理は少し目を伏せて寂しげに呟くように言う。
「どうせなら体の初めても…お前にくれてやりたかったけどな」
「その気持ちだけで嬉しいよ天理。それにこれからは全部俺が独り占めしちゃうからね」
「ん……」
二人は見つめ合うとどちらからともなく唇を寄せ合いキスをした。最初は触れ合うだけの。そして腕を伸ばし引き寄せ合うと深く口づけを交わす。舌が絡みあい互いの唾液が混じりあう。
「ふ……ぅ……ん……」
「はぁ……天理……好き……愛してる……」
(大好き大好き天理)
「俺……も……」
ただただ好意をぶつける侯輝の心地好さに天理は難しく考えていた己を嗤う。くちゅくちゅと音を立てて絡めていれば互いの体に熱が籠っていく。抱き締め合う中、侯輝の興奮がどんどん膨れ上がり文字通り下腹部が今にも爆発しそうな事に気づいた天理はそっと侯輝を押し離す。そして侯輝の前に膝をつき侯輝のハーフパンツに手を掛けようとしたところで侯輝は驚くと慌てて制止した。
「え?ちょ、ちょっとまって!何するの?」
「何って……舐めるんだが」
「え、えええ!」
「何だ……俺にされるのは嫌だったか?」
天理は先程の本に描いてあったので期待しているのかと思い、初めての行為に覚悟を決めて挑んだが、早とちりしたのかと少し気落ちしてしまう天理に侯輝は慌てて否定する。
「や!そうじゃなくて、やって貰えると思わなかったからびっくりしちゃって。嬉しい……お願いしまぁす」
「そうか!はじめてだから下手クソだと思うが…じゃあ頑張るな」
顔を赤らめてお願いする侯輝に否定された訳では無いと分かると天理はパッと表情を明るくして微笑した。
(天理可愛い……)
天理はよしと気合いを入れると侯輝のハーフパンツに手を掛け下着ごとずり下ろし、侯輝の剛直を取り出した。
「うーん、全部含むのは無理か……?あー……あむっ」
天理は侯輝の剛直の大きさに改めて感心しながら顎に指を当て、口を開けてみても入りきらないと判断しつつ、とりあえず先端を口に含んだ。
「うわっ!」
「ん?どうした?おかしかったか?」
「な、なんでもないよ!俺もはじめてだからびっくりしただけ」
「ああ、そうか。おかしかったら遠慮なく言ってくれ、イイ所も。覚えたいからな」
「う、うん」
慌てる侯輝に天理は口を離し見上げるとふーふーと息を整えながら答える侯輝に納得したように呟く。そして
侯輝が落ち着いた事を確認するとはんむと先端を口に含み、とりあえず自分の気持ちいい所を思い浮かべつつ舌先で探ってみる事にした。
(うわぁ……気持ちいい……!ヤバイよぉ……)
初めて感じる快楽に侯輝は思わず腰を引きそうになる。目を瞑り懸命に奉仕してくれる天理というだけでもう爆発しそうだったが、もっと見ていたくてなんとか堪えた。
「はぁっ……ふっ……ぅ……っ」
天理は漏れ聞こえる侯輝の吐息から悪くは無いのだろうとは思いつつ、様子を伺おうと口に含んだまま目を明けチラリと侯輝を見上げてみた。そこには顔を真っ赤にして歯を食い縛りながら必死に耐えている侯輝がいた。
「ん……痛かったか?」
「ち、違うよ!とっても気持ちいいよ!」
天理が心配になって口を離すと侯輝は慌てて否定した。
「そうなのか?よかった」
ほっと安堵して愛おしそうに微笑し、再び侯輝の剛直を口に含み目を瞑り奉仕を再開する天理に侯輝は体の芯からぞくぞくと悦びが込み上げるのを感じる。
(うわ……もう、たまんないよ)
侯輝が嬉しさを伝える様に天理の頭を撫でると天理は嬉しそうに頬を緩めた。
「あっ……そこ……」
「む?」
「うっ……あ……気持ち、いい……はぁっ……」
侯輝の反応を見て、天理は先端を舌で舐めながら竿部分を手で擦る。剛直から漏れ出る先走り液と天理の唾液が混ざりぐちゅりと卑猥な音が響いた。
はじめての行為に不安があった天理だったが悦んでくれている侯輝の様子に安堵し嬉しく思う。喉の奥に絡みつく様な感覚と独特の匂いに戸惑うものの、それでも嫌悪感はなく、むしろもっと味わいたいとさえ思う程恍惚とした気分になっていた。
「くっ……はぁ……天理……も、イッ、ク、天理、離してっ……あ"ああっ!」
天理は侯輝の限界を感じ、ラストスパートをかけるとどくっと天理の口の中に精が吐き出された。侯輝はぎゅっと目を瞑り苦味に耐える天理の口から自分のモノを引き離させティッシュを乱雑に引き抜き渡す。
「はぁっ、はぁっ、ごめん!早く出して!」
「っ……ん"っ!ゲホッゲホッ」
天理はその苦味に少し涙目になりながら意を決して飲み込んだが、喉に絡みつく様な感覚に思わず咳き込む。
「だ、大丈夫!?無理に飲まないでっ」
侯輝は慌てて天理にミネラルウォーターを渡す。天理はごくごくと水を飲むと落ち着いたのか、大きく息を吐いた。
「ふぅーー……はは、頑張ればいけると思ったんだけどな」
「頑張ったよ!もう、無茶しちゃダメだよ」
苦笑する天理に侯輝は胸がいっぱいになると引き寄せて優しく抱きしめた。
「ん……わかった。」
「でも、すっごく気持ちよかったよ。ありがと」
「そうか、それならよかった」
ほっとした様に微笑む天理に侯輝は胸が締め付けられるような愛しさを感じた。
(ああもう、なんでこんなに可愛いんだろう……好きだよ天理……大好き……)
「ん…どうした?」
愛おしすぎてただぎゅうぎゅうと抱き締めていると天理が不思議そうな顔をする。
「ううん、なんでもないよ。そうだ!俺もやってあげるね」
「えっ!お、俺はいいって!」
「気持ちよくしてもらったお礼。ね?」
やる方ばかり考えていた天理は想定外の申し出にたじろぎ遠慮しようとするも、口調は優しくも絶対やるんだという侯輝の強い意思の元、天理は侯輝の願いを叶えてやりたいという気持ちに逆らう事ができずされるがままになった。
「ぅ……じゃ…頼む……」
天理がまた初めての行為に羞恥で死にそうになりながら大人しくなると、侯輝は嬉しそうに鼻歌交じりながら天理のハーフパンツと下着を下ろし、天理の立ち上がりかけているモノを取り出すと楽しそうに笑みを見せた。
「えへへ、綺麗だし天理のも結構大きいよね、がんばる。じゃ、いただきまーす」
天理がはじめて自分のモノを褒められてどう返そうかとまごまごしている内に侯輝は天理のモノを口に含み舌を這わせながら手で扱く。後ろでの経験は多く自慰も無いわけでは無かった天理だったが、初めての感覚と刺激に必死で堪える。
「くっ!……はっ……ぁ……」
「ひもちいー?(気持ちいい?)」
「んっ!喋らない、でくれっ」
「ん、ぼめんん(ん、ごめんね)」(可愛い♪)
「だっ……っ……」
天理は突っ込みを入れたところで変える気が無い侯輝を諦め堪える事に専念した。侯輝は悪くは無さそうな反応を示す天理に気を良くしながら口を離すと、今度は裏筋を下から上に舐め上げる。
「んっ!っ……」
「ここ、弱いんだね」
天理の反応を鋭く感じ取り侯輝は先端を口に含むと舌先で尿道口を刺激するようにちろりと嘗めた。
「んん……!ん……!」
「気持ちいい?」
「ん……き、気持ち、い……」
「よかった」
恥ずかしそうにしながらも感想を告げる天理に侯輝は嬉しく思いながら微笑むと再び口に含んで舌を這わせる。天理は未知の感覚に戸惑いながらも、気持ちよさに腰が揺れてしまった。段々と気持ちよさが増してきて、思わず声が出そうになるも、なんとか堪えた。
「ん……ふぅ……んっ」
「ん……ん……」
(腰揺れてる、可愛い……)
侯輝はそんな天理を見て、もっと気持ちよくしてあげたいと、強く吸い上げたり、舌を動かしたりしてみる。繰り返す内に侯輝は天理の絶頂を察知し速度を上げ更に強く吸い上げた。
「んっ!くっ!侯、輝、も、離、」
(いって天理)
「んんっ!く、ぁっ!!……」
「んっ……ゴクリ……ふふ、ごちそうさま♡」
侯輝は喉の奥へと放たれたものを飲み込む。そう言って微笑む侯輝に、達したばかりで息の荒い天理は顔を赤くしながら非難した。
「はぁっ、はぁっ、馬鹿、飲み込むな、そんなの」
「えー天理のだし。あ、ポイントはね、舌に乗せずに一気に飲み込んじゃう事かも」
「なっ……!そ、そうか、じゃあ次は俺もそうする……」
レーと舌を出し説明する侯輝に一瞬呆れた天理だったが、顔を少し赤らめつつも頷いて次の機会に向けて決意をする。侯輝は何事にも勤勉な姿勢を見せる天理にらしさを感じ、されどそれが自分に向けてのみである事に喜びを感じる。
「俺が好きでやってるんだからね、天理は無茶しちゃダメだよ」
「む……だったら俺がお前を喜ばせたいと思うのだって好きにやらせてくれてもいいじゃないか……」
少し唇を尖らせながらポソリと呟くように言う天理の言葉を聞いて、侯輝は胸がまた高鳴る。
「ありがと、でも気持ちだけで嬉しいからね♡」
(ほんと可愛いな♡)
「む、ん……」
まだ文句を言い足りなさそうな天理の口を塞ぐようにキスをして、そのまま味わう様に絡めるとほどなくして大人しくなっていく。吐息を漏らしながら熱がまた籠り互いにじっくり味わい、ゆっくりと離れていくと、二人の間に銀の糸がかかった。頬を染めすったり呆けた顔を見せる天理に侯輝はゴクリと喉を鳴らした。
「続き……いいかな?天理」
「ん……」
侯輝は恥ずかしそうに目を反らしながらもコクリとうなずく天理をそっとベッドに仰向きに横たえ、その上に覆いかぶさるようにして抱きしめる。
天理はこれから愛する男との交愛にどうしても鼓動が早鳴るのを納める事ができず羞恥で頭が一杯になるとまたぎこちなく身動ぎすることしかできなくなっていた。
(緊張してる天理も可愛いけどリラックスさせてあげたいな……そうだ、もっと安心させてあげなきゃ……!)
侯輝は天理のドクドクと脈打つ首筋に唇を寄せ、舌を這わせると、じんわりと香る天理自身を味わいつつ想う。そして所在なげに手をシーツの上で彷徨わせて戸惑う天理の手を取り優しく笑いながらキスをした。
乙女を相手取る王子かの様にキザっぽくも優しく微笑む侯輝に天理は一瞬目を見開くと、少しだけ落ち着いたのか恥ずかしげに苦笑する。
「……ふふっお前ってホント、そういうとこあるよな」
「ん?おかしかったかな?」(笑ってくれた!でもちょっと違うような?)
侯輝が考えた、天理をカッコ良く優しくエスコートして夢見心地の中で気持ち良くしてあげるんだ作戦はその思惑を少し外れ天理の心を酔わせるというより擽る結果となっていたが、天理を想い行動に映す侯輝の姿は天理の心を解きほぐし、すっかり天理は愛おしそうな顔になるとクスリと笑った。
「まぁいいから」
首を傾げる侯輝を他所に、天理は侯輝の頬を撫でながらキスをする。
「抱いてくれ」
(わ……あ……!)
侯輝の想いに触れ緊張が解かれた天理はそれでもまだ恥ずかしさで頬を染めつつも、ふわりと笑い誘う。天理の瞳に映るのは愛しい男の姿のみ。侯輝は一瞬その姿に見惚れたのち、微笑み返した。
「うん。俺の全部をあげるよ」
天理はこんな自分にそう言ってくれる男を、自分もただ捧げ愛すればいいのだとようやく彷徨う想いを一つにすることができた。
「俺の好きなとこ触ってていいからね」
「ん。じゃあ……脱げ」
天理は侯輝の肌に触れたくて何と言っていいか分からず、情緒無く言ってしまってから、自分が恥ずかしい事を言った事に気が付き、真っ赤になった。
「あはは!うん、いっぱい触ってね」
侯輝はそんな天理を可愛いと思いつつ、Tシャツとハーフパンツを一気に脱ぎ捨てる。下は先程達した事など無かったかの様にまた隆々と起ち上がっており、そして逞しい胸には天理との魔術契約の証である契約陣が刻まれているのが見えた。天理がその印を見て嬉しそうなされど辛そうな想いを混ぜた複雑な表情を浮かべる。
「天理の肌も見たいな。脱がさせてね」
「あ、ああ……」
侯輝はその表情から天理の思いを察しつつも敢えて触れずに天理のTシャツに手をかけ脱がし、ついでパンツもハーフパンツ毎脱がして、お互い一糸纏わぬ姿になった。天理の胸ににも侯輝と揃いの契約陣が刻まれている。ただうっすらとだがエレリウスとの契約印も見えた。
侯輝はそれが悔しかったが、言えば天理が一番辛いであろう事を思い、それには触れずに自分達の身に刻まれた互いを結ぶ契約陣だけを思う。侯輝は天理の上に覆い被さるとその裸体を抱き締め、うっとりと呟いた。
「やっぱり天理の肌は綺麗だね……凄くドキドキする」
「んっ……俺は……お前の方が綺麗だと思うが……」
侯輝が天理の首筋に吸い込まれるように唇を寄せ軽く吸い付いくと、天理はぴくりと震えながら侯輝を抱き締め返す。羞恥で褒められた事を素直に受け取れ無い天理は手を侯輝の肩に滑らせ撫でながら言葉を返した。
「えへへ、ありがと♡」
侯輝が褒められた事が嬉しくて素直に笑みを溢し礼を言うと、天理は素直に返せぬ己に羞恥を覚えまた恥ずかしそうに顔を赤く染めた。
唇で首筋から鎖骨を辿り、胸の突起を口に含む。舌先で転がし優しく吸うと、天理は小さく吐息を漏らし、感じているのか身を捩った。
「ここ、感じる?」
「ん。」
「良かった」
小さく頷く天理に侯輝はもう片方の乳首を指で摘まみ、くりっと捻る。天理は体にゾクゾクと走る今だ慣れぬその感覚に戸惑い、小さく声を上げながら侯輝の肩の上に置いた手をその戸惑いを示すかの様にぎゅうと握り締めた。
侯輝はそのまま暫く両方の乳首を交互に愛撫し、天理の徐々に高まっていく反応を窺う。ふと、その乳首の間の心臓の上に描かれた二人の契約陣を舌でなぞってみた。
(俺と天理の繋がりの証……)
「あっ!……!?」
すると天理は想定外に強く反応を示した為侯輝は驚いた。何より当の本人が一番驚いていた。
侯輝はもしやと思い再度契約陣に舌を這わす。
「あぁ!えっ、待っ……!や、あっ!」
侯輝が天理の体の契約陣を舌でなぞる度に天理の体に性感帯を刺激された様なゾクッとした震えが走り、堪らず天理は侯輝の頭を押し退けようとするが、侯輝はその繋がりの証が天理を悦ばせているのが嬉しくなり、そのまま執拗に舐め続けた。
「ぁ!も!馬鹿、ぁっ!やめっ!」
涙目になってきた天理が可愛くてもっと苛めたくなる侯輝だったが、これ以上は嫌われかねないと名残惜しげにじゃあ最後にと強く吸い上げてキスマークを残す。
「ああっ!!」
「天理……可愛いっ痛ぁ」
「馬鹿!」
侯輝が天理のその姿にうっとりとしていると、涙目のまま天理に頭を叩かれた。
「ごめんなさぁい」
「ほんとしつこい……自分で触ってもなんとも無いのに……」
弁明する侯輝に呆れた様に天理はじっと見つめた後、胸の契約陣を手で押さえつつ呟いた。
「俺が触れたからだといいな♪」
「な、」
天理は顔を真っ赤にさせると、そっぽを向いてしまった。
(可愛いなぁホントにそうだったらいいなぁ)
「……しつこくしてごめんね。続きしちゃダメかなぁ?」
天理はしょぼんとしてお願いする侯輝がでっかいゴールデンレトリバーみたいで可愛く見えてしまい、苦笑しつつ「いいよ、やってくれ」と許してしまった。
そう思っていたら、侯輝の顔がパァッと輝くと同時に尻尾を振る幻覚まで見える気がした。
「じゃあ次は下ね!」
と容赦なく脚を割りローションを手に取り後孔へと手を伸ばす。
(でも忠犬ってタイプじゃないよな……嫌じゃないが)
天理は少しだけ和んでいた気分を急いで切り替えた。
「わ……と、その、大丈夫だと思うが、その優しくしてくれ……」
「うん!任せて!」
侯輝は嬉々として返事をすると、指を一本ずつ入れじっくりと慣らしていく。二本、三本と増やし前立腺を捉え、まだ戸惑いぎみに声を漏らし呼吸が乱れていく天理に侯輝はつられたように興奮し、嬉しそうに見つめながら、丁寧に丹念に解していった。
天理はじりじりじりじりとと昂られていく己の体に困惑していた。
(何だ、これ……)
今までの強制的な快楽では感じられなかった、じっくりと山を上らされている感覚。もっとずっと深くて、熱くて、蕩けてしまいそうで。自分の意思で止められないのは同じでも体の奥底が求めているのが自覚できると恥ずかしくて堪らない。ちらりと見れば自分の乱れていく様を呼吸を荒くしながら凝視する侯輝と目が合い、恥ずかしさで更に感度が増し侯輝の指を締め付けてしまい、余計に羞恥を煽られてしまう。
「もう、いいかな……?」
「ん。きて、くれ」
真っ赤になりながらこくりと頷くと、侯輝は「入れる、ね」と天理の脚を抱えゆっくりと挿入する。
痛みはない。ただ圧迫されて苦しい。けれどそれ以上に満ち足りた気分だった。
「全部、入ったよ。大丈夫?」
「ん……侯輝……」
天理は頷き、両の手を伸ばし侯輝の首に腕を回すと嬉しそうに笑う侯輝を引き寄せキスをした。
「えへ……幸せ」
「俺もだ」
二人は微笑み。もう一度深くキスをした。
「じゃあ、動くね」
そう言うと侯輝は腰を動かし始めた。
最初はゆっくり、次第に早く。
「んっ!……くっあ!……ふっ!」
「はぁっ、天理、無理にとは、言わないけど、声、聞きたい、な」
やはりまだ食い縛りがちな天理に侯輝は息を乱しながらお願いする。
「あ、ぅ、ん!ぁ!あ!あ!」
「ああっ、うん、そう、はっ、我慢しなくて、いいんだから、ね」
天理が段々と声を漏らし始め、嬉しそうに微笑む侯輝。恥ずかしさはあったが侯輝が喜んでくれるのが嬉しくて天理は声を少しずつ上げていく。侯輝がそれに応える様に腰の動きを早め、侯輝もまた感じている事を伝える様に喘ぐ。二人の声が入り混じり、結合の水音が響き、互いの吐く熱い呼吸が混じり合う。
「侯、侯輝、侯輝」
絶頂が近づき、天理が侯輝に回した腕に力が籠り、うわ言の様に名前を呼ぶと侯輝は嬉しそうに応える。天理はそれが嬉しかった。
「天理、好き、好きだよ、愛してる」
「俺、も、、だ、侯輝」
侯輝が獣の様に声を上げ果て、天理が声なき声を上げ果てた。
二人を繋ぐ見えない契約の糸から互いを想い合う意識が微かに流れ込み、互いの心を満たしていく。目を瞑り荒い息を吐き抱き合いながら幸福感に浸り合った。
「侯輝……ありがと、な」
「こちらこそ、だよ」
優しく微笑む侯輝に天理は顔を赤くしながら目を逸らす。
「あ、あのな、侯輝」
「ん?」
首を傾げる侯輝に天理は口を開きかけては閉じるを繰り返す。天理は永きに渡り凍りついていた心から侯輝によって溶け出し、まだきちんと口にできていない侯輝へ想いを言葉にしようと試みるが、何かが喉の奥に絡み付いた様に上手くいかない。徐々に辛そうにする天理に侯輝は優しい笑みを浮かべる。
「天理、ゆっくり待ってるから、伝わってるから、ね」
侯輝は天理が単に恋愛に不慣れなだけではなく言葉にしきれない理由を契約の糸から伝え来る想いから察していた。まだ天理の心をエレリウスとの契約が絡め取っており、侯輝への謝意からまっすぐに伝えられない事を。
「っ……ぅ」
「天理、天理は俺が救ってくれたって思ってるかもしれないけど、それは俺も同じだからね?何より俺は天理が大好きで、天理が俺の傍にいるだけで、それだけでいいから」
「侯輝……っ」
天理は胸が締め付けられる様な感覚にまた歯を食い縛り泣きそうになる。
「泣かないで。ね、キスしよう、天理」
侯輝はそっと指先で天理の目尻に溜まった涙を拭い、優しく微笑む。
慰めのキスをして、それからまた深く愛のキスをして、二人はまた混じり合った。
侯輝は大丈夫だよと自分の愛情を受け取って貰おうとただただ愛し、天理はそんな侯輝の優しさに甘え、せめて応えようと必死に愛し、愛され、愛を深めた。
気を失うように眠りについた天理の寝顔を眺め、侯輝はこの愛する人が幸せになれる様、まずは何がなんでも天理とエレリウスとの契約解除を成功させようと心に誓った。