結婚後小話 ラブ遺跡、夏の恋人、冬の恋人
空気は鋭い寒さに満ち、息をすれば白い息がひとときの命を得て踊る。枝には霜が降り、辺りは凛とした静けさに包まれた。晴れ渡る日は続けども、空に昇る陽の光はなぜか寒々しくて、あまり着込むのを好まない俺にとっては苦手な季節。でも天理が遺跡から発掘し、学院の魔工技士によってカスタマイズされた遺物のコタツはその冬のあり方を一変させた。ぬくぬくとした暖かさは魅了の術でもかかっているかの様に俺を虜にした。もうずっとこの中で暮らしていたい。
なのに今日の様に澄み渡った夜になると、俺より冷えやすい体を持ちながら、寒空の下へといそいそと天体観測をしに行きたがるのだ俺の可愛い恋人は。
「侯輝、離せ。俺は庭に出たい」
「やだー。寒いよー。コタツで一緒にいよーよー」
なので俺は今その恋人の背中に引っ付き虫として張り付いているのだ。幼少の頃は自分より大きな背中だったのに今では覆えるほどになった。なんて感慨深く思う。折角夏の様にくっついても嫌がらない天理とコタツという素晴らしいコラボレーションが成立しているのにどうして外に出なければならないの?という思いを籠めぎゅうぎゅうと抱きつく力を強める。
「俺一人で見てくるからとにかく離せ」
「やだやだやだ一人やだ!寒いのもやだーっ!!」
「駄々っ子か」
そんな身も心も寂しくなる事言わないでよと更にぎゅっとしがみつく。天理は俺の腕をぐぐぐと引き剥がそうとしたが俺が意地になってしがみついていると抵抗を止め諦めてくれた。……と思ったけどやっぱり行きたいらしく、むぅと唸ると俺の腕に手を添え振り向き困った様な顔をして口を開く。その顔もかわいいな。
「侯輝、今日は絶好の観測日和なんだ。一緒に見に行こう?な?」
「う、で、でも寒いよう……」
危ない危ない、下手に出て無自覚甘え上手攻撃に流される所だった。負けるもんかと意思を固めているとコタツの隣の辺の布団から突然希守がひょっこり顔を出した。その手には天理がよく天体観測をする時に使う星座早見盤を手にしていた。
希守は外の事が知れて嬉しいのか、天理の遺物コレクション部屋でよく遺物を眺めており、大体何があるか把握していて小さなものなら運べるらしい。
まさか希守も星見に行きたいの!?俺はその瞬間敗北を予期した。そして希守が現れると親の様な顔をし出す天理が優しく、そして天理も希守の意思を察したのか少し嬉しそうに語りかける。
「どうした、希守。お前も星見たいのか?」
こくっと頷く希守を見て俺は敗北が確定した事を悟って天を仰ぎ、天理は俺を見るとニヤリと笑った。
「だ、そうだ侯輝」
「分かったよー!俺も行くよー!」
ヤケクソ気味に叫ぶ俺に愛する天理と可愛い希守の二人が揃って笑う。ああもう、そんな楽しみな顔されたら俺が動かない訳にはいかないでしょ!
俺と天理はモコモコの上着に帽子、マフラー、手袋を身に着ける。希守は妖精なので寒さは関係無い様だったけど俺たちが防寒着を着ると魔法でポンッと暖かい格好にしていた。いつも纏っている着物の上にドテラと言う厚手の上着を纏い、手にはキルトのミトン、足は足袋の上に藁でできた深靴を履いてワクワクとした顔で待っている姿が愛らしい。俺は天理の遺物コレクション部屋にある天体望遠鏡を担ぎ上げ庭の開けた場所へと持ち出した。この辺りは平屋が多く落葉樹が多いので敷地内でもそれなりに観測できるのが強みだ。何より家から離れられないブラウニーこと座敷童の希守と一緒に居られるのが良いよね。
外に出るとキンと冷えた空気が肌を刺す。空は雲一つなく澄み渡り満天の星が瞬いていた。希守が小さなランタン型魔光灯で照らしてくれる中、俺は持ってきた天体望遠鏡を設置し、天理が方角の調整やレンズを覗き込みピントを合わせた。天理が細かな調整をしている間、俺が寒そうにしていると希守が可愛らしく抱っこのポーズで手を広げていたので懐に入れてみた。不思議と暖かーい。
「よし、調整できたぞ……って何だよお前らばっかぬくぬくしやがって」
「えへへーじぇらしー?」
「ねーよ」
俺がからかう様に言い天理がむぅと表情を変えていると、腕の中の希守が天理にも腕を伸ばそうとしていた。天理はそんな希守を苦笑しながら頭を撫でる。
「はは、俺はいいよ希守、そのまま侯輝を暖めてやってくれ」
「そうだ!希守、天理も暖めてあげて?」
俺はふと思い付いて腕の中の希守を天理に託す。すると俺の意図を察したのか希守は頷くと天理の腕の中にぽすっと抱きついた。
「え、俺はいいぞ?……なんだか暖かいな」
「そしてー……えい!」
「おわっ!」
そして俺はそんな天理の背中に抱き付く。天理が希守を抱き締めて、そんな天理を俺が抱き締める。俺は腕の中に俺の愛しい人達が全部抱え込まれている幸せを噛み締めていると心の中がポカポカと暖まるのを感じた。ニコニコと嬉しそうな希守と照れ臭そうな天理が可愛くて堪らない。
「はは、身動きとれないな。これ俺ばっか温かくないか?」
「いーの、俺今凄く暖かいよ!ほら星を見ようよ、とっても綺麗だよ!」
指差した先には満天の星が広がっていた。天理が淡い光を灯す魔光灯で希守が持つ星座早見盤を照らすのを見ながら星座を探す。あれかな、あれかな?と探し示していると天理がポソリと呟いた。
「詳しくなったな?侯輝」
「え、だって、天理と星を見るのは初めてじゃないじゃない」
「そりゃそうだが……」
なんとなく、積み重なった日々を感じて嬉しく思う。幼少の頃、「動き辛いぞ、寒いならついてくるな風邪ひくぞ?」と言う天理の背中に引っ付いて、それでも追い払わずに一緒に居てくれた事を思い出す。あの頃から天理は優しかった。あの頃からずっと好きだけどもっと好きになって互いに愛する人となり今は俺の腕の中だ。
「冒険でもこの知識で助かってるんだよ?天理のおかげだね」
腰に回した腕をぎゅうとすると天理は照れた様に下を向く。
「そうか……まぁ、良かった」
「ふふ、照れてる。赤くなった天理あったかーい」
「俺を照れさせて暖をとるなっ!あっ希守までっ」
俺が擦り寄る様に天理に抱きつくと希守にまで楽しそうに抱きつかれた天理はあわあわと慌てつつもやっぱり振りほどく事はせずされるがままだった。
そんな二人をまとめて抱き締めて、俺はとても幸せな気分を感じていた。
しばらく星も見ずキャッキャとしていたら、ハッとした天理が照れ隠すように星見るぞ星!と声を上げたので俺達は天体観測に戻った。
天理がセッティングした天体望遠鏡を覗けば緑がかった青色の美しい星が見えた。どことなく、天理を思い出す星だった。どうやら希守は始めての体験らしく目を輝かせているのを見て俺は思わず笑みが溢れた。そんな俺達を見て嬉しそうに微笑んだ後また空を見上げた天理の横顔は先程見た星よりもとても綺麗で俺は見惚れてしまったんだ。
「ねぇ、天理って星見る時目キラキラさせてるの知ってる?」
「は?いや、そんなこと無いだろ?」
「凄く楽しそうに子供みたいに清んだ目で見てるんだよ?凄く星好きなんだろなって。ちょっと妬けちゃうくらい」
「そんなにガキっぽいか……?まあ、好きだけど、」
天理は子供の頃お母さんに貰ったという、なんと1000年前に作られたらしい朽ちぬ金属でできた遺物の星座早見盤を大事していた。きっとその頃から星に魅入られていて、今もその少年の様な心のままで見ているのだろうと思うと、微笑ましいと思うと同時になぜだか少し悔しい気持ちになるのだ。天理はしばし星座早見盤をぼぅ……と眺めた後少し頬を緩ませてポツリと洩らした。
「お前の、瞳みたいだから」
「っ……」
普段照れ屋の癖にそんな不意打ちは卑怯だ。自分で顔が火照るのが分かる。思わず黙り込んでしまった俺を振り向くと天理が珍しいものを見たような顔をしたあとクスクスと笑った。
「ふふっ、赤くなった侯輝もあったかいぞ」
「もぅ」
さっきのお返しだなと笑う天理をちょっときつく抱き締めると「苦しいぞ」と言いながらも笑っていて俺はなんだか胸がいっぱいになったんだ。
「俺も天理が好きだよ。今も、昔からもずっと」
「うん、俺も……好きだぞ」
そう言って二人で笑い合い、そんな俺たちを嬉しそうに見ていた希守を撫でた後俺達はまた星空を見上げたのだった。
満足するまで星を見たあと屋内に戻る。冷えきっていた体は、ほんのりとしか暖かさを残していなかった室内の空気でさえ暖かく感じた。
「楽しかった?希守」
玄関から入り希守が玄関の上がり框にトンッと上るとまたいつもの着物姿にパッと戻り満面の笑みで頷いた。最初はなかなか俺には慣れてくれなかった希守も大分慣れてきてくれて嬉しい限りだ。
「ふふ良かった。お前のお陰で侯輝を外に連れ出せたし。また見ような希守」
天理がしゃがんで希守を撫でると天理にぎゅっと抱きついて頬に擦り擦りと少し甘えていた。天理も照れ臭そうにしつつも嬉しそうに抱き返し応えているのを見ていると、本当の親子の様に仲が良いなと思うと同時に嫉妬してしまう自分に苦笑するしかないけれど。そんな思いが漏れてしまっていたのか希守がおいでおいでと仕草したので近づくと頬に軽くキスをされた。ぶああっと震える程嬉しさに感動していると希守は満足したような笑みを残し廊下をトトトと奥に進みながらすぅ…と消えていった。
「おやすみ希守ー。えへへ、俺パパになった気分~」
「……俺がママかよ」
天理は自分でポソリと呟いてじわじわと赤くなりつつ恥ずかしげに俯いたので俺はたまらずその肩を抱き寄せた。
「楽しかったー!また来年も一緒に星見ようね」
「ああ、良かった……ってお前今年はもう見ないつもりか!」
「やーん!寒いんだよぅ」
甘える様に勘弁してー泣き付くと天理は俺の頭を苦笑しながら礼を言いつつぽんぽんと撫でてくれた。
「はいはい今日は付き合ってくれてありがとな」
それから冷えきっていた体を暖めるべくお風呂に入り軽くお酒を飲んだりしながらのんびり過ごした。
「やっぱりコタツはいいよねえ……」
返す返すもコタツは素晴らしい。天理が見つけてきた遺物ベスト3に入ると思う。そのぬくぬくとした温もりは俺を虜にするんだよね……と思いながら肩まで入っていると、食器の片付けやらを済ませ戻ってきた天理がややむっすりとした顔でミカンを入れたトレイを持って見下ろしていた。
「こら、肩まで入るな。俺も入れろ」
トレイをコタツの上に置き場所を開けろと額をぺちぺち叩いてくるので俺はいそいそとコタツから半身抜け出して起き上がる。ちょっと寒い。
「じゃあこっちきてー」
「はいよ」
天理の細腰を引き寄せ俺の懐に招き入れる。仕方ないなと言う風にしながらも素直に入ってきてくれた天理を背中から抱き締めた。まだ石鹸の香りが混じる天理のうなじの匂いを吸い込む様に鼻を擦り付けると「やーめーろ」とくすぐったそうに身を捩る。がっしり抱え込んだ俺の腕からは逃れられなさそうだけど嫌がる事は無く小さく笑っていて可愛いなあと思う。天理はミカンを一つ手に取り剥くと一房差し出してきた。
「ほれ、食うか?」
「わーい♪食べる!あーん」
あーっと口を開ければ放り込まれる柑橘系の爽やかな香りと共に甘酸っぱい果汁が口に広がる。うん美味しい!もぐもぐ咀嚼していると天理が微笑んでいた。俺もミカンを手に取り剥くと天理に一房差し出して食べさせっこをしてみる。
「はい、天理もあーん♪」
「ん、ぁ、あーん」
外だとまずやってくれないけど、今日は甘々モードに入っているのか恥ずかしそうにしながらも素直に口を開けてくれた。可愛いなあ。
「んむっ」
「ふふ、今日は天理素直♪」
「うっせ、家ん中でくらい……っ、これ酸っぱ」
それでもまだ恥ずかしさがあるのか顔を背けながらミカンを食べる姿は本当に可愛くて仕方ない。と思っていたら天理が酸っぱい顔をした。俺のは甘かったんだけど酸っぱいのをあげてしまったらしい。
「ありゃ?こっちのハズレだったかな」
「むぅ。じゃ……さっき俺がやったやつ返せ……」
天理は少し頭を後ろに傾け振り向きつつ恨めしそうにじぃっと見上げてきた。でもその瞳の奥は全然怒ってなどおらず、むしろ俺が食べたみかんよりもずっと甘さを孕み、珍しく天理がお誘いをかけていると分かると俺は嬉しくて顔がにやけるのを止められず照れてしまった。ちょっとびっくりしたけど天理のお誘いは大歓迎だ。天理の頬に手を添え唇を近づけながら最終確認してみる。
「んー?じゃあ返しちゃおうかな?」
「ん…寄越せ……」
天理は目を細めると近づけた俺の唇を少しだけ顔を後ろに傾けて受け入れた。唇を重ねどちらからともなく舌を絡めその味を堪能する。天理が食べたミカンは本当に酸っぱかったのかなと思えるほどその口付けは甘く夢中になってしまった。
俺はもうそれだけじゃ足らなくなって天理の細腰を抱え込んでいた腕を解き天理のシャツの下に手を潜り込ませる。一瞬冷たかったのかビクりとされたが天理は腕を上げ俺の頭に手を添えて口付けに夢中になっていた。もっと深く触れ合いたくて天理の滑らかで引き締まった腹部を堪能する様に撫で回す。擽ったがりの天理はそれに身を捩らせるも、時折口の端から漏れる吐息は徐々に熱を帯びていた。
「っ……は……んっ……」
キスをしながら腹から胸に手を滑らせそこにある可愛い突起を指先で押し潰すように弄るとビクりビクりと体を震わせ堪える様なくぐもった声を上げたので一度口を離す事にした。
「……ぁ……はぁ……」
ほんのり頬を染めながら漏らす吐息は甘く、離れた口から銀糸が伸びプツリと切れる様は扇情的で、ついもう一度食らい付きたくなる衝動に駆られたがなんとか堪え、その手を下へと滑らせる。ズボンの上から触れたそこは既に熱を持ち硬くなっていたのだが、敢えてそこにはスルーし太腿を撫で回し焦らすことにした。冬の厚手のズボンは感触が伝わりにくいが内股を指を立てカリカリと引っ掻くようにしてやると面白いくらいに体を跳ねさせる姿が可愛くて仕方ない。
「可愛いよ天理」
耳元で思うまま囁くと小さく震え熱い吐息を漏らす。そのまま耳の中に舌を入れわざと水音を立て舐ってやると堪らないのか小さな悲鳴の様な声を上げながら敏感に反応してくれるのだから堪らない。焦れた様に俺の手を取り恥ずかしそうにしながらも、自ら股間へと導く姿は本当にいじらしくて愛らしい。布越しに優しく撫でるだけでももどかしい快感に襲われているようで小さく声を漏らす。身悶えている姿をもっと見たくて自らの衝動を堪えて撫で続ける。漏らす吐息はどんどん深くなり腰がもっとくれと揺れていた。その揺れはやがて後ろから押し付けている俺の固い雄に淫らに押し付けられる様に揺らされ、俺は溜まらず吐息を零してしまった。
俺ももう我慢の限界と焦るように天理のジッパーを下げ下着毎ずり下げようとする。が。
ガァンッ!
「痛っ!て」
「大丈夫?」
察した天理が腰を浮かそうとしてくれたが狭いコタツの中では動きにくく、天理もまた焦ったように動こうとするとコタツの天板に思い切りぶつけていた。
「っー、大丈夫だ。……狭い……くっそ、ロケーション悪いな」
「ふふっ……だね」
天理はコタツに向かって悪態をついていたが、お互いに呟き合うとどちらともなく笑い出す。互いの体は互いを求め確かに興奮している最中だというのにこの間抜けな会話のせいでなんだか可笑しくなってしまったんだ。そしてそんなやり取りもまた愛おしく思えてくるのだから不思議だ。俺は改めて仕切り直しとばかりにゆっくりと天理の下肢から衣服を全て取り去り、俺も邪魔だと脱いでしまった。お互い下半身丸出しという何とも情けない格好だったがそれすらも今は興奮する材料にしかならない。俺は改めてコタツに足だけ入り天理をもう一度引き寄せ俺を背に膝立ちで俺の上に乗せた。素足に当たるコタツ布団や、シャツの下から覗く天理の素足がチラリと見え、常に無い感覚が少しだけ特別な感じがしてドキドキしてしまう。
天理のお尻を愛でる為、ミカンをどかし天理はコタツのテーブルに突っ伏し腰を浮かせて後孔を俺の目の前に晒す体勢になるよう位置を調整する。
「……ん……っ……ぁっ……」
お風呂で綺麗にしてくれてあったらしいソコを俺が丹念に指で慣らすとそれだけで感じるのかくぐもった声が漏れる。奥へと指を進めるとなぜかソコはぬるりと濡れていた。
「ねぇ天……」
「し、仕込んどいた……」
テーブルに突っ伏したままの天理は耳まで真っ赤にしながら俺が聞くよりも早く、絞り出すような声量で答えてくれた。嬉しい!!その衝撃に俺が固まり喉を慣らすと目の前の後孔までもが恥ずかしそうにヒクりと動いた。その大胆ながらも健気な姿に俺は脳が焼ききれるかと思った。
「ぅわっ!やっ!」
衝動的に後孔にむしゃぶりついてしまうと、それをされるのは苦手な天理は慌てたように声を上げたが、構わず舌で舐ると、羞恥からか体を震わせながらも懸命に耐えている様子だった。その反応に気を良くしながらも俺は更に舌をねじ込み中へと侵入させる。舌を動かす度にビクビクと震える姿が可愛くてつい苛めてしまう。
「も……勘弁してくれ……」
「ごめんね、こっち、来て……」
やがてそんな俺の行動に耐えかねたのか涙声で訴えてくるのでこれ以上はまずいと顔を離す。天理の上体を起き上がらせると、背面座位の体制になるようにそびえ立っていた俺の雄にゆっくりと腰を下ろさせた。俺のモノがずぶずふと飲み込まれていく様子はとても淫猥で思わず凝視してしまう。そして全てを収めきったところで天理が大きく息を吐くと同時に俺に寄りかかってきた。後ろから細腰をぎゅっと抱き締めるとお互いの体温が混じり合いとても心地良い。
「動く、ぞ……」
このままずっとこうしていても良いくらいだった。だがしばらくすると天理がテーブルの上に手を置き戸惑い気味ではあったが積極的に動こうとしていたのでちょっと待ってと抱き締めた腕に力を込めて引き留めると耳元で囁いてみる。
「ゆっくり楽しも?……っ!」
するとそれだけで天理はゾクリと震え俺の雄を締め付けてきたので俺は息を詰めた。その反応が愛おしくて衝動で動きたくなる気持ちを抑える。それにしても今日の天理は本当に積極的だなと思う。いつもは恥ずかしがってなかなか自分から求めてくれない事の方が多いというのに。そのまま耳を甘噛みし、耳の中をぴちゃぴちゃと音を立てて舐める。
「ぅ、わ、ぁ……」
天理は身体を震わせ逃げるように身体を動かそうとするが肩を掴みそれを阻む。もっとも俺の雄に貫かれている天理が今更本気で逃げる訳はないのだけれど。それでも逃れようと身を捩る姿は余計に煽情的に見えた。
「ね、天理。今度山の方にある温泉行こうよ」
普段の会話の様にそう言いながらも最中なのだと忘れさせない様に前を開けたシャツの合間からさわさわと腹をなぞる。
「ん…?ん。いい、な……山中なら、星も綺れっ!っ、こらっ……っ」
震えながら掠れ声でも頑張って返事を返そうとしている姿を見ると、つい悪戯したくなってしまう。話す途中で胸の可愛い突起を探りキュッと摘まむと、ビクッと震え高く声が響く。非難するように悪戯した腕をぱしぱしと叩かれたが可愛いばかりで仕方がない。俺も弄る度にきゅうきゅう締め付けられて堪えるのに必死なのだけれど。
優しく突起を弄び小さく震えるのを感じながら話を続ける。
「天理と星見るのもいいけど……雪見ながらお風呂でイチャイチャしたいな……」
「……ぁっ……ぃいけど、他の、客に迷惑っ、だろ……」
不満そうに言う声に少し笑ってしまう。そうは言うものの俺がお願いすれば大抵聞いてくれるのだ。そしてそういう所が好きなんだと言ったらどんな顔をするかな?想像して思わず笑みが浮かぶ。そして同時に興奮してしまい無意識に腰を揺らしてしまうとまたビクりと震えた。
「んー?イチャイチャお話するだけ、だよ?ナニを想像したのかな?天理のえっち♡」
「なっ!こんっの馬鹿っ、あっ!クソ、さっきから、お前ばっか、も、動くって、」
もちろん状況が許せばナニもしたいんだけど。状況もなんなら作るし。
背面座位なのを良いことに俺が天理を一方的に身体中撫で弄り倒し、その首筋に吸い付いて小さく震え堪える姿を堪能していると、焦れてきたのか動き出そうとするので腰をホールドして動きを止める。
いつもなら恥ずかしがって限界まで我慢しているのに。別に積極的じゃなくてもどっちでもこうして交わってくれるだけで既に嬉しいんだけど。
「えへへ、今日は積極的だね。嬉しいな」
にやけながら少し覗きこむ。そうするとまた照れちゃうんだろうなと思っていたらやっぱり顔を赤くしながらも視線を逸らすとポツりと洩らした。
「星……見るの付き合ってくれたろ。嫌がってたのに。だから、喜ばせたかった……」
「!」
もう……可愛いなぁ……嬉しいなぁ……思わずギューっと抱き締めるとピクッと震えて硬直してしまったけど気にせず頬擦りをする。
「ありがと。俺の我が儘だったんだから気にしなくていいのに。俺も楽しかったしね」
「ん、そ、か……良かった、それに……ぃ、いや何でもない……」
天理は嬉しそうにしながら目線をコタツの方へ向け言葉を続ける。いつもより積極的な理由がまだありそうだったけど、また恥ずかしそうにゴニョゴニョと口籠ってしまった。そんな時こうやってぎゅーっと抱き締めていると照れ屋で隠し事が苦手な天理は正直にポロっと溢してしまうのだ。大抵それは天理にとって恥ずかしい事でも俺にとっては嬉しい事なので是非とも聞きたい。
「それに?ねぇねぇ教えて?」
問う様に緩く揺すり上げるようにするとビクリと震えながら小さく声を漏らす。そのまま優しく耳元へ囁き問えばきっと言ってくれるはずと思ったんだけど。
「っ……ぁ、……ひ、秘密、だ……」
頑なまでに話さない。そんなに言いたくない事?気になる!
そう思っていると熱くなってきたのか天理はコタツを少しだけズッと遠退けた。膝折で座る天理はもう完全にコタツから出てしまっていて、猛り前走りを滲ませる雄と素足が露になっていた。交わりの中で大分体は暖まっていそうだったけれどその魅惑の脚は少し寒そうに見えた。
「侯輝、その、寒いから早く暖めてくれ……」
そして俺に背を預け[[rb:辿々 > たどたど]]しくも甘えるように擦り寄られるともう俺は何もかも吹き飛んで腰を突き上げていた。
「ああッ!んっ……!」
いきなりの動きに大きく声を上げてしまい慌てて口を手で塞ぐ仕草をして必死に堪えている様が可愛いくてもっと聞きたくてつい意地悪をしたくなる。腰をグリっと押し付けるようにしながら耳元で囁く。
「……さっきの続きだけど教えてよ」
「……ぁぅ……いゃ……だ」
勘弁してくれとばかりにふるふると小さく首を振る。だけどそんな可愛い反応をされると寧ろいじめたくなるし甘やかしたくもなるんだよねと思いながらゆるゆるとした動きに変える。すると今度は物足りなさそうにもじもじとする姿が可愛くてしょうがない。このままずっと焦らしても良いかなと思ったけど、積極的モードが入りっぱなしらしい天理は「ぅぅ……」と小さく唸った後コタツの天板角に手をつき自分で腰を動かし始めた。
「ぁっ……んっ……!」
「っ、あ"ぁ……気持ちいい……天理……」
俺もギリギリで焦らしていたからその刺激に思わず呻くような声が漏れる。それに気を良くしたのかどんどん大胆になっていく天理は本当に堪らなくて嬉しくて、俺も気持ち良くさせてあげたくて天理のイイ所を突いてあげるとあられもなく嬌声を上げた。
「あぁっ……!」
愛する天理と律動を合わせながら共に絶頂へと近づいていくのはこの上ない快感だ。嬌声と交わりの水音と荒い呼吸が広い居間の空気を満たしていく。やがて俺の雄がきゅうきゅうと締め付けられ天理の絶頂が近い事を感じる、俺ももう限界だ。いつもと少し違うのは、天理が快楽を堪える様に縋っているのが俺ではなくコタツテーブルで、快楽と色香にまみれながら何よりも俺を愛していると訴えるその顔が見えないのはやっぱり寂しい。
そう思いながら絶頂が近づいていた時だった。
「侯、輝っ……!!」
「っ!!!天理っ!」
「……っ!!!」
名を、呼ばれた。でもその声音はいつもより焦がれる様な甘く、それでいてほんの少しだけ寂しさを孕んでいた。きっと俺と同じ気持ちでいてくれたと思い感極まった瞬間、俺は一際強く抱き締め突き上げると愛するその名を呼びながら精を放っていた。すると天理は声もなくビクビクと俺の精を搾り取る様に震え達するとくたりと脱力した。俺はその身体を抱き寄せるとそのまま倒れて共に横になった。
「はぁっ……はぁっ……、あっ…………」
横になりまだ余韻にびくびくと震え息を整えている天理からズルリと抜け出すとまた天理から甘い声が漏れた。俺もまだ息が整えきってなかったけど、すぐに起き上がる。まだ力入らぬ天理は、横になったまま火照った顔だけを傾け俺を見上げた。少しの驚きと寂しさと。もう終わりか?って書いてあるって思っていいよね?天理の手がその推測を肯定するかの様に弱々しくだが俺の置いていた手に触れてきた。俺は頬が緩むのが止められず天理に覆い被さる。
「えへへ、やっぱり前からシよ。天理♡」
「……!ふふっ、ん……いいぞ」
天理は一瞬目を見開くと嬉しそうに微笑んで両の手を俺の首の後ろに回してきた。やっぱり抱き締め合いながらするのが好きだ。そして天理もそう思ってくれているのが嬉しい。きっとすごくだらしのない顔をしている自覚はあったけれどその感情のままに天理に抱きついた。
コタツ邪魔だなと足で部屋の端にぞんざいに追いやると天理がなんだか嬉しそうに笑っていた。なぁに?と聞いてもなんでもないと苦笑気味に笑って俺を引き寄せる。視界にはまだ少し火照った天理の愛おしそうな顔だけが映った。視線が絡み合えばどちらからともなく口付けを交わし、その味を堪能していると、未だに脱いでいない俺のシャツを脱がそうと裾から手を差し入れられた。俺より冷たいその手にビクッ震えてしまい、緩くその手を止める。
「やーん♡寒くて脱ぐの嫌だよぅ♡」
「お前な……」
天理が俺の肌に触れたがってくれるのは知っているしとても嬉しい。天理はもう前を開いたシャツ一枚だけでほぼ全裸だし俺だって全身で触れあいたい。だけどこうしてわざと嫌がっておねだりしていると天理は仕方がないなという顔をしながら甘やかしてくれたりするだ。我ながら甘えすぎなのは自覚がある。
そして天理はやっぱり俺の期待に応えてくれるのだ。視線をさ迷わせ眉をひそめ、恥ずかしくて仕方が無さしか見当たらない表情でソロソロと脚を開いて両脚を抱えると秘部を晒して見せた。
「……ほ、ほら、寒くても俺で暖を取る方法は知ってるだろ?脱げ……」
その強気な言葉とは裏腹に、その晒された秘部は俺がその痴態に凝視してしまうとヒクリと動き、俺が先ほど放った白濁を流れ落とそうとしていた。俺はごくりと唾を飲み込むと、秒でシャツを床に叩き付ける様に脱ぎ捨てた。俺を脱がしたかったら北風よりも太陽よりも天理なのだ。
「あっためて♡大好き、天理♡」
えへへと天理にのし掛かり開く脚をがっしと掴むと復活どころかむしろ先程より元気になった雄を後孔に押し付ける。すると天理の後孔が待っていたとばかりにまたヒクりと疼くのを感じた。天理は苦笑しつつも頬を染めながら満足そうに微笑んだ。
「好きなだけ、暖めてやる。俺も好きだ……侯輝」
もう幾度身体を重ねても抱き尽くせない。俺の体と心を暖めてくれる俺の唯一。天理はその掌を慈しむ様に俺の腹から胸、そして肩へと天理を護り負った傷痕を撫でるように滑らせ、俺をゾワリと震わせると首に腕を絡めてきたのでそのまま引き寄せた。視線が絡み合えば自然と唇が重なる。甘い吐息と共に舌を絡め合い深く求め合い、そのまま腰を押し進めればすんなりと挿入できた。ぐちゅんと水音を立てて飲み込まれていく感覚に背筋を震わせつつ奥まで到達すれば、全身を震わせながらきゅぅうと締め付けてくる肉壁の感触に思わず身震いしてしまう程だ。
「……ん、はぁ……♡気持ちいいね♡」
「ん……♡」
ちゅっと音を立てて唇を離すと額を合わせてそう問いかける。天理は愛おしそうに目を細め微笑むと小さく頷いた。自ら腰を揺らし始めたので応えるようにゆっくりと抽挿を開始する。
俺の全てが天理で満たされる。ああ、好きだ。本当に大好きだ。この想いだけはずっと変わらないのだろうと思う程に愛おしい。だから今日も俺は君を求めるんだ。
愛してるよ。天理。
幾度と果て、色香を漂わせくったりと横になりながらも愛おしそうな表情を向けてくるその姿は、お前のものだぞと言外に伝えてくれているようで嬉しくなる。かくいう俺も天理のものだ。その想いが伝わっているのか力無く横たわりつつも嬉しそうに微笑まれると俺は懲りもせずキスを降らせた。天理はくすぐったそうに笑った後くしゅんとくしゃみをしたので、俺は急いで抱き上げると風呂に連れて行き身体を清め温めた。
うっかり再盛り上がりしそうになるのを抑えながら風呂を済まし二人の寝室へと戻ると天理を横たえて俺も隣に寝転んだ。二人で布団に入っているとじんわりと暖かさを感じられて心地良い。交わりの後はいつも嬉しそうにしている天理だが今日はどこかいつもより機嫌が良かった。思えば今日は成り行きとも思えたが天理からお誘いしてくれたのだ。嬉しい事この上ないなと思いつつふと先ほどの天理を思いだしたのでもう一度聞いてみる事にした。勿論逃げられない様にしっかりと抱き締めておく事は忘れない。
「ねぇねぇ、さっき言ってた秘密ってなあに?」
天理が今日積極的だった理由はそこだった様に思う。一緒に星を見て嬉しかった以外のもう一つの理由。頑なに言わなかった秘密。
「ぅ……!ああクソ、流せたと思ってたのに……」
すると天理はまた少し顔を赤くすると腕の中でモゾモゾゴニョゴニョとし始めた。可愛い。そして秘密は絶対可愛いやつだと俺は確信し、聞かねば眠れないとばかりにじーっと見つめたまま待ち続けたのだった。
「……嫉妬、してたんだよ」
暫くして観念したのかぼそりと話し出した声は小さかったけれど俺の耳にはきちんと届いた。天理が嫉妬?珍しい。いつも嫉妬するのは俺の方なのだ。俺がモテている事に、一見クールそうに見えて実は嫉妬というより自信無げにしょんぼりしている事は知っていたけれど。でも誰にだろう。そういえばさっき希守がホッペちゅーしてくれたけど、俺と希守が仲良くなった事は、完全親目線になっている天理にはその対象としてなりそうにない。さっきだって微笑ましく笑っていたのだ。あと俺最近誰かと仲良くなってたっけ?首を捻っていると察したのか続けて話してくれた。
「……わ、笑うなよ?…………コっ、コタツ、に……」
「コタツ?!」
念を押す天理に神妙にコクりと頷いて待つことしばし、思いもよらない単語が出てきたので思わず聞き返してしまった。すると天理はちょっと拗ねた様にしながら説明した。
「……冬になったら寒い寒いってくっついてくるお前を暖めてやるのは俺のはずなのに……俺より夢中にさせてんなよってな……」
っーーー!もう一回結婚しよ!?
天理は遺物が大好きだ。けれど嫉妬対象まで遺物になるとは思わなかった、天理らしい。思い返せば天理は俺が所構わず抱きつくと照れるのに、俺がコタツに入っていると、積極的に俺の懐に入ってくれようとしてた。俺と、コタツの間を割る様に。先程の交わりでもさりげにコタツを遠ざけたり、俺がコタツをぞんざいに遠ざけたら嬉しそうに笑ってた。などと冷静に分析していく事で今にも衝動で再爆発しそうになる体をなんとか押し留めることに成功した俺は偉いと思う。だってこんなに嬉しい嫉妬があるだろうか?今日の天理の一連の行為が、お前を一番暖めて、夢中にさせる事ができるのは俺だろ?ってアピールなのだとしたらもう嬉しくてたまらない!!
しかしここで我慢出来ずに再爆発させようものなら、頑なに黙っていようとしていた秘密を明かしてしまったことを後悔させてしまうかもしれないと思いぐっと堪える。今後の天理の可愛いを味わう為にも我慢だ。だが天理はそんな想いを無下にするかの様にポツポツと続けた。
「……昔からお前の方が体温高いし、実質暖めて貰ってるのは俺の方だったけど、それでもお前が寒いって言うから……それを口実にだな…………ぁ、今のは忘れろ……」
忘れられるはずない!!
俺は昔から冬は苦手だと思っていた、そう思い込んでいた。確かに冬の太陽はどこかよそよそしくて苦手だったけど、本当の所そうでもなかった。俺はガキの頃から天理の事が好きで、冬の真っ白で冷たい雪は、色が白く俺より体温が低い天理を思い起こして割と好きだった。冷え性の癖に星空を眺めるのを好み、でも寒そうにしている天理を暖めてあげたくて、ガキの俺はそうだ!と思いつき寒い寒いと言いながら天理にくっついた。天理が仕方ないなと言いながらもくっつかせてくれて、どこかホッと暖まった様な表情になると俺の心はポカポカと暖かくなった。優しい天理にかこつけてくっつき、天理の体を暖めてあげる代わりに俺は一方的なほのかな思いを暖めて貰っていたと、ずっと思っていた。それに味をしめた俺は冬になるとクセになって寒い寒いと言い続けていたのだ。でも本当は天理も一緒に居たいと思っていてくれていて、その心も暖められていたのだとしたら?こんなに嬉しい事はない!
俺が散々纏わりついて天理が俺に恋心をもってくれる様になったのは俺が天理の背を追い抜いた頃だとは言っていたけれど、正確な所は本人すらも曖昧なのだとしたら?そう思うと尚更嬉しかった。
ああ駄目だ顔がニヤけてしまう。
「ねえねえ、冬俺が寒いって言うから仕方なくくっつかせていたっていう体で、本音は素直にくっつきたいって思ってたのいつから?ねえねえ」
「んなっ!知るかっ!忘れろって言ってるだろ、黙って寝ろ!」
ああやっぱり可愛いなあ……!!余程恥ずかしかったのかちょっと涙目だ。腕の中でジタバタと暴れそうになる天理をきゅっと抱き締めると途端におとなしくなるのだから本当に愛しいと思う。
いつからだろう。俺が告白した時から?やっぱり俺が天理の背を抜き始めた時から?もしかしてガキの頃?最初から?どこからでもいいや。今も、そして片思いだと思っていた過去の自分全てが幸せだと今なら思えるのだからそれでいいんだ。ああもう本当に大好きだ!!
「うん、ありがと♡おやすみ天理♡」
「…おやすみ…侯輝」
俺はそっと抱き締め返してくれる腕の中の温もりを大切に抱きしめながらそっと目を閉じた。凍てつくような冬でもきっと、俺の心はこの温もりに包まれているのだ。