千の始まりの葉

novelnovel

天理が遺跡調査の護衛依頼を冒険者ギルドに出す事が分かると俺はスケジュール調整をして俺が担当できるようにした。他の冒険者から「また天理の護衛依頼を侯輝が独り占めしてるー!」とブーイングが聞こえたが気にせず引き受けた。何がなんでも付いて行きたかった。俺の担当なら一緒にいれるから。「あんまり他の連中の顰蹙買うなよ?まあお前が護衛してくれた方が俺も気楽だけどな」天理に苦笑気味に言われたが、俺を心配してくれてありがとなと付け加えられると、分かって貰えてくれている事が嬉しくて抱き付こうとしたら流石に止めろと拒否られたけど。
今回は学院からの依頼ではなく、とある貴族が古代語に精通した人物に遺跡調査を依頼したいと学院への依頼があり、それを天理が担当する事になった為で、その為の護衛の調整も依頼に含まれていたらしい。
遺跡はその貴族の領地で最近発見され、先遣調査隊によりモンスターはおおよそ駆逐されていたが、古代語による扉や遺物が進路を阻み調査が進んでいない場所が多くあるのだという。
遺跡に辿り着き調査を開始する。情報通り特に大きな障害もなく天理と調査済みのマップを片手に進めなかったと問題とされている古代語の書かれた扉にたどり着いた。押しても引いても開かず鍵穴もなくカラクリの類いでもなさそうだ。
「で、何て書いてあるの天理、合言葉を言えとか?」
「『統治者選定の間』とあるな。ここはかつて治めるものを議論なり儀式なりして決定する場所だったのかもな。しかしこれだけだと入り方は分からんな」
手がかりがないか他の部屋を探索する事にする。先遣隊の調査では書庫らしきものがあるがあると記されていたのでそちらを目指した。扉を開けるとそこには確かに古びた書物があった。この遺跡が棄てられてから想定される年月の割に保存状態が良く、情報が集められそうだ。
「おおっ!これはなかなか……」
「嬉しそうだね天理」
書物を見て少しだけテンションが上がった天理にクスクスと指摘するとハッとした表情で恥ずかしそうに一つ咳払いすると早速天理はこの施設に関する資料を探し始めた。
「じゃあ俺は周囲の警戒をしておくね」
「頼んだ侯輝」
古代語が読めない俺はこういった時、手持ち無沙汰になる。先遣隊の調査で粗方片付いている事は分かっているが未調査区域から何か出てくるかもしれない。万一の事があれば天理を守る事ができるのは自分だけなのだから警戒は厳重にする。天理が棚から資料をいくつか集めると机に広げ、ぱらぱらと読み進めていく。ブツブツと独り言を言っている間は集中しているので俺は邪魔しないようにしつつ無防備な天理を守るべく集中して警戒する。
しばらくすると天理は調査の結果を唐突に話し始めた。
「この遺跡はここいらの土地の神の神殿だったらしい。少し特殊なのは統治者との契約儀式が行われていて、人間側が幾人か候補者を推挙しこの遺跡で土地の神に選定して貰い統治者を決定していたんだと。『統治者選定の間』はその為の部屋だな。土地の神に選ばれた統治者が治めている間は豊作になったり災害が少なくなったりしたんだとさ」
「へぇ~いい事なんじゃない?そういうの見返りに生贄捧げさせる神様とかもいるってのにさ」
「ああ。祭りで作物を供えたりはしてたみたいだがな。だが大規模な戦争を境に記録は途絶え、土地の神の事も選定の儀式の事も忘れられ今に至る訳だ。ちなみに土地神が守護していたのは現在ここの領主である貴族の領地より内側だな」
「じゃあさ、ここに領主連れてきて儀式して選定されたらここの土地潤っちゃう?」
「土地神がまだ居れば可能性はあるが、信仰するものもいないだろうし存在できているか怪しいな。残滓でも残っていれば今から信仰しますって誓ったら復活するかもしれんが」
俺も天理も神官じゃないし信仰心ともあまり縁がないから神の力は感じ取れない。天理によれば大地の精霊は少しだけ強いらしい。少しは可能性があるのかもしれない。
「でも試したら面白そうだよね。それであの扉の開け方は?」
「なんでもこの土地で栽培されたコメからできた酒を掲げて統治者の選定を受けに来た事を宣言すれば開くらしい」
「領主に相談かな?ダメ元だけど、もし土地の神様から恩恵受けられるならラッキーだよね」
俺達は一通り調査を終え依頼主である領主の館に戻ると、天理から調査結果レポートを渡し土地神の件を従者に伝え、更に遺跡で得た資料をいくつか渡した。従者は一旦領主の元に報告に行きしばらくすると戻ってきた。
「お待たせしました。主は興味を持たれてぜひその遺跡に伺いたいとの事です。儀式に必要なコメの酒はこちらで用意致しますので、また後日ご同行して頂く事を追加の依頼とさせてください」
天理は今日の調査分の達成報酬と完了証を貰うと学院に戻り追加依頼の件を報告、冒険者ギルドへも俺への報酬と追加依頼の手続きをした。そして後日改めて出発することになった。

従者から連絡があった日に再び領主の館を訪れると、従者の横に男が立っていた。身なりからすると依頼主である領主だろうか。随分と若い。そして何よりも外見が稀に見る程の美しさで、華やかな顔立ち、整えられたプラチナの髪、優美な所作がさぞやモテる事だろうと思わせた。俺の好みじゃないけど。
「はじめまして、私はこの領地を治める[[rb:公金 > きみがね]]と申します。先日は遺跡の調査ありがとうございました。件の儀式の件について興味が沸き是非とも試してみたくなりまたご足労いただきました。本日はよろしくお願いいたします」
丁寧すぎる挨拶だったが貴族の儀礼的なものだろうと納得し、俺達は軽く自己紹介を済ませるとすぐに出発した。今回は領主が向かう事もあり現地までは馬車で向かった。てっきりこの公金に似合う派手な馬車でも出てくるのかと思ったが、割と簡素な普通の馬車だった。造りや乗り心地が良く天理が歓心していた。
「普通の馬車なんだね!てっきり派手派手なのが出てくるのかと思ったんだけど」
「おいこら、侯輝っ」
天理は俺を窘めつつも少しだけ笑っていた所を見ると案外似たようなことを思っていたのだろう。だが公金は気にも留めず笑顔で返した。
「あはははそう思っていたんだね。私の好みじゃないから地味なんだ。馬はいい子達だけどね?」
そう言いながら馬を操る姿も様になっていた。どうやら公金は天理よりも一つ年上でしか無いらしく実際に若い様だ。代々短命な家系らしく先代も老齢となる前に亡くなり、領地を継いだらしい。話好きらしく興味深そうに俺達に様々な事を聞いてきて会話を楽しんだ。
「ところで君たち結婚しているのかい?それとも恋人?」
「結婚してるよ!」
「俺達男同士なのによくいきなり気づけましたね」
天理は少し照れた様子で公金の観察眼に少し驚きながらも答えていた。
「君たちの仲の良さとお互いへの想いの強さを感じたからかな?」
「まあ俺と天理を見てたら当然そう思うよね!」
ふふんと胸を張ると「俺のどこを見てたらそうなんだよ」呆れ気味に言う天理。
「天理君は言葉はちょっと乱暴そうにしていても侯輝君に向ける目線がとても暖かい。侯輝君はフレンドリーにお話してくれるけど私に凄く警戒して天理君に近づけまいとさりげなく牽制しているよね?だからかな」
「悪いけどこればっかりはね。牽制だって分かって貰えた方がいいし」と不敵に笑うと「肝に銘じておくよ」とやはり手強そうに笑って返された。実際控えてくれてるみたいだけど、少ーしだけ天理に向ける視線に嗜好的な好意が混じってるんだよね。天理はその辺意外とガードが緩い、緩いっていうかノーガードだ。ノーガードの癖に気づくと相手の懐に突っ込んでKOさせてる時がある。油断はしないよ。
「侯輝……俺ってそんなにわかりやすいか?」
「うん。天理のはすぐわかるよ」
二人して笑うと天理はしょっぱい顔をした。うんうん、肝に命じてね。難しそうだけど。
「実は天理君は以前学院で見た事があってね。私も生徒だったんだ。学科は違うけどね」
「え、10年も前でよく覚えてますね」
「当時有名だったんだよ。精霊適性4つのレアスキル持ちにもかかわらず精霊科ではなく古代史科に入った変わり者がいるってね。面白そうだったから見に行ったんだ。声は聴けなかったけど外見や雰囲気は今でも覚えているよ」
「流石に10年前と同じではないのでは」
天理は物好きな人も居るものだと呆れていたけど、もし俺も学院に居たら見に行っちゃうけどね。天理はもうちょっとその辺自覚して欲しいな。
「確かに外見は大人になっていたんだけどね。それでも明らかに雰囲気が違っていたから。一見薄氷の様な瞳の君に春告げ鳥が現れて溶かしていったんだとね」
ずいぶんと詩的な表現をするものだと思ったが、この美しい男の口から出てくると違和感がない。
「それは…また…なんというか」
天理は困ったように笑っているが靡く気配はない。うんうん。
「つまり俺は天理の運命の相手ってことだよね!」
その薄氷を溶かすのに随分時間がかかったけれども。
「はいはい」
天理が恥ずかしそうに目線を明後日に向けながら手をひらひらさせるのを見て俺は勝ち誇った気分になった。
「お熱い事で何よりだね」
馬車は同中トラブルも無く再び遺跡に辿り着いた。公金自身は型通りの剣術や精霊魔法は学び鍛練もしていても実践はほぼ無いとの事だったが、いる気配を感じさせない程の従者がその点をカバーする為、護衛は基本は考える必要は無く案内に専念して欲しいとの事だった。
『統治者選定の間』の扉の前に辿り着く。従者が儀式に必要なコメの酒が入った徳利とおちょこが入った盆に乗せ、公金に渡す。先ほどまで朗らかに話していた公金が領主の顔に戻りそれを受け取ると扉の前で恭しく捧げもちながら宣言した。
「私は現在この地を治める者、土地の神よ貴方にそれを認めて貰う為にここに参上した。どうかこの扉を開けて私を招き入れて欲しい」
公金がそう言うと重厚な音を立てて重々しい観音開きの扉がゆっくりと開かれ二人くらいは通れそうな通路が見えた。何かが飛び出てくる事もない。おおと一同から小さな歓声が上がる。
「やったね天理。調査通りだ」
念のため警戒しつつも小さな声で天理に声をかける。
「これで何も無かったら茶番だったからヒヤヒヤしてたけどな。さてここから先は未調査区域だ」
天理もほっとしつつ嬉しそうだったがすぐに引き締めた。
「了解」
前に立ち万一の戦闘に備えると従者も横についた。
「まあ伝承の通りなら神の領域にモンスターの類がいるとも思えないが…」
「その辺りは私が土地の神に認められるかどうかにもかかっているだろうね。さ、先に進もう」
俺、従者、公金、天理が扉に入ると扉はまた静かに閉じる。天理がランタンを持ち照らしながら通路を進むと10畳ほどの広い部屋に辿りついた。そこは部屋を仕切る様な大きな薄紙の戸が閉まる部屋の中に日が薄っすらと差し込む程度なれど不思議と暗さを感じない部屋だった。板張りの部屋の中央には草を編んだ絨毯…畳が敷いてあり、そこに2畳近い足の短い卓があった。
「これうちと同じワ式ってやつかな?靴脱いだ方がいい?」
「君たちも知っているんだね。マナーに従いそうする事にしよう」
一同は靴を脱ぎ畳に上がる。公金が卓にコメの酒の徳利を置き座ると後ろに控える様に座った。公金が姿勢を正す。
「土地の神よ、我が名、公金の名の元に貴方にこの地の統治者たることを認めて頂きたい」
公金がそう言うと部屋の中の雰囲気が変わる。天理は精霊達が静かにざわめいているのを感じている様だ。精霊達にとってこの場所は居心地が良いらく敵意は感じられないらしい。公金の後ろにいた従者が何かを感じ取り剣に手をかけるが公金の制止により抜く事はなかった。公金の正面の卓が朧気に揺れると次第に真っ白な髭を蓄えた老人の姿が浮かび上がってくる。服は希守が着ている着物に近い。その姿は薄っすらと透き通っており向こう側が見えた。
「わしを呼んだか人の子よ。わしはこの地を守護する神。よもや再び人と交える機会が訪れようとはな。礼もわきまえておる。感心じゃ。折角じゃ、一つ頂こうか」
土地神は手を招く様に動かすと公金が用意したコメの酒を引き寄せるとおちょこに注ぎ飲み干す。
「ふむ大分味が変わったの。しかし美味い酒じゃ。さすがはこの地の酒よ。さて、公金、お主がこの土地を治めるというのか?」
土地神はコメの酒に満足しながら公金を見つめる。
「はい、貴方様に認めて頂きたく参上致しました」
「ふむ、では早速だがわしの問いに答えよ。この地を治める者よ。この地に何を望む」
「この地を治めるものとして、貴方にこの地の繁栄を望みます」
「ならばわしに何を捧げる」
「貴方様にこの土地に住まう者達の、安寧よりもたらされたこの酒を、実りの時期に捧げましょう」
「ほっほっほっそれは豊かにせねばならぬな」
「どうかこの土地を私と共に守って下さい」
「良いだろう。その願い聞き届けよう。そなたをこの地を統べる者として認めよう」
土地神と公金の契約の儀式は、穏やかに、謡うように、流れ、結ばれた。土地神の認める言葉で天理は部屋の中の精霊達が喜びの声を上げているのを感じ取っている様だった。

「それにしても、公金、そなた、神の力が借りたいならわしに頼まんでもそっちの二人に頼めばよかろうに。わしは下っ端じゃからどちらの御方かはわからんが」
土地神が俺と天理を交互にみやる。
「え?」
「は?」
その言葉に判然としない風に驚く公金と天理をよそに、俺の心臓がドキリと跳ねる。忘れていた。神であるならば俺の魂に神の力が継がれている事もわかるのかもしれない。どうやら闇の半身である事までは分からないようだけれど。災いをもたらす闇の半身を継いでいる事など知られたくない。特に……天理には。この場に通用するか分からないがしらばっくれるしかない。
「えっ…何のこと?」
「ふむ……見間違えかの。しばらく神として扱われとらんかったから鈍ったかのう」
ほっほっほっと笑いながら酒をあおる。一瞬俺の方を意味ありげに見ていたがすぐに視線を外した。気づかれていたかもしれないが、流してくれた様だ。土地神に心の隅で感謝しておく。ただ一点気になったの土地神が『二人に』と言った事だ。俺はともかく天理にも。もしかして天理も何か神の魂を継いでいる?天理の反応を見た感じ本人はそう思っていない様だけども。俺も神としての記憶は最近思い出したばかりだし断片的にしか無いから、天理も思い出してないのかもしれない。一体どの神の魂を継いでいるのか…万一太陽神の生まれ変わりなら俺を消しにくるかもしれない。天理に殺されるのはいいけど、天理に憎しみの目で見られるのは嫌だ。忘れもしない、太陽神が半身である俺を忌み嫌い箱に閉じ込めた時の表情を、殺そうとした時のあの表情を。
「侯輝?どうした?」
気づくと土地神と公金の儀式は終わり、天理が心配そうに覗き込んでいた。
「ん?なんでも無いよ神様とかはじめて見るしいろいろびっくりしてただけ」
慌てて取り繕う俺を天理は少しだけ怪訝にしながらも「そうだな」と一応納得してくれた。
「では、私はこれで失礼します。ではまた実りの時期に」
土地神と挨拶を交わし、公金が立ち上がると従者も立ち上がり公金についていく。
「すまない、公金さん、もう少し残っていいだろうか。少し土地神に聞きたい事があるんだ」
古代史に興味のある天理の事だ、おそらく過去を知る土地神の話を聞きたいのだろう。だが天理が何の神の魂を継いでいるか分からないが、天理に記憶を取り戻して欲しくない俺は表面上また始まったよと言う体で帰りたい意思を示してみるが、「少しだけだから、な?」と天理に請われてしまうと了承するしかなかった。
「それは興味深い話が聞けそうだね、私も是非同席させて…」「公金様、本日の公務のご予定に無理やりこの儀式を入れております。御用が住んだのでしたら速やかに館にお帰り頂きたいのですが」
公金が残って天理と土地神の話を聞きたがるも従者にすかさず引き戻された。従者は帰りの護衛は一人でも問題無いと続け、天理は帰りは俺達が徒歩になるのは問題ないと告げる。公金は残念そうにしていたが従者に促され帰っていった。帰りがけに今回の依頼の完了証を従者より天理が預かる。思いがけない収穫があったと報酬は2倍にもはずんでくれた上、公金は何か力になれる事があればいつでも頼って欲しいと言ってくれて、天理は嬉しそうだった。公金が帰った後、天理は早速土地神と話を始めた。

「さて、何用かの。用があるならコメの酒の一つも貰いたい所じゃが、そなたは久しぶりにこの地を治める者をここに導いてくれた上にコメの酒も飲む事ができた。その感謝として今回はタダにしてやろうぞ。ふぉっほっほ!」
神らしくこれまでのあらましは見ていたらしい。土地神は大分機嫌が良く天理に話を促す、俺は土地神と接触を持つ事で天理が神の記憶を思い出さないかヒヤヒヤしていたが、天理はいつも通り研究対象である古代の事を目をキラキラさせながら聞いている。なんでもこの辺りは元々狩猟が主体の生活がなされていたが、東より伝わったコメと優れた統治者の出現により安定した農業が盛んとなり土地神の好きな酒の原料であるコメの名産地だったらしい。人間の文明の事は良く分からないらしくその辺りの話は聞き出せないようだったが、酒の話だけは饒舌に語った。戦乱により交流が途絶えてしまった事を本当に残念そうにしていた。一通り聞き終わると最後は土地神から天理に質問した。
「天理よ、お前さん本当に何も覚えてらんのかの?わしにはお前さんが土地神や大地に属する神では無い事くらいしか分からんが」
天理はやはり判然としない風にして首を傾げている。俺も分からないフリをしていたが、内心がっかりしていた。土地神の話から、天理が大地の神の分体である下位神である線は消えた。天理が太陽の神だけはあって欲しくない。太陽の神でなくとも闇の半身は忌むべき対象ではあろうが、太陽の神以外である事が確定すれば少しはマシだったのに。
「?先ほども俺と侯輝を見て何か言っていましたがどういう意味ですか?俺は俺自身ただの人間としか認識してませんが」
まるで別の何者かみたいじゃないか、なあ?と天理はちらりと俺も見ながら土地神にそう返した。お願い天理、思い出さないで。できるだけ興味がないフリをして頷いておく。
「俺は俺だよ、天理。神とか言われても困っちゃうよね」
天理はどうやら自分の事が神だとか言われたところで実感がないらしく、特に気にもしていないようだ。俺は少しほっとした。しかし土地神の方は何か考え込んでいる様子だ。
「ふぉっほっほ、そうじゃな。すまんかったのう。ただの人間という割には精霊には大分好かれとるようじゃがの。そうか、覚えておらんか。久しぶりに他のと話せると思ったがまぁ良いじゃろう。公金やお前さんの話も面白かったしな」
土地神は残念そうな顔を一瞬チラリとこちらを見つつ少し笑って言った。俺が黙っているのを黙認してくれるらしい。
「ま、知らんでもええ事なんじゃろうよ。お前さん達はこれからも仲良く暮らすと良かろうて」
土地神はそう言って俺達を送り出そうとしたが、俺はどうしても聞きたい事があった。天理程ではないとしても、俺の神としての記憶もほとんどないから、神の情報が欲しい。闇の半身としての俺は自分を封じた太陽の神がその後どうなったのか知らないのだ。神として存在しているなら、とうの昔に自分を再封印なり殺しに来そうなのにまだ来ていない。太陽の神は神官達の伝承にかつて存在していたと残される程度で詳細が分からなかった。太陽自体は存在しているから神の力自体は機能しているようだが、祈っても力を貸してくれない為、神としては存在しておらず自分と同じように人に魂を移してどこかに存在しているのでは?と思うのだ。できれば天理がそうでない確証が欲しい。
「ねぇ、土地神様、ここっていつでも土地神様に会えるの?」
「そうさのう、そうそう会う事は出来ぬが、呼べば来るぞ」
実のところ神としての力が弱く実体化できる時間が少ないから力を付ける為にコメの酒を持ってきて欲しいと付け加えられる。ただ単にお酒が好きだからという訳ではない様だ。
「そっかありがとう」
「なんだお前、神に興味が無いんじゃ無かったのか?」
「え、ほら天理がまた何か教えて欲しい時にいつでも聞けるかなと思ってさ」
もちろん自分一人で聞きに来る為だ。天理には聞かれたくない。
「ああ、そうだな、ありがとな」
天理は気を使ってくれたのかと純粋に嬉しそうに笑った。嘘ではないが騙しているかと思うと心がチクりと痛む。
「ほっほっほ、仲良きことは良いことじゃな」
土地神は俺達を微笑ましそうに見つめながら言った。
「ではな、コメの酒楽しみにしておるでの」
土地神はそう言って俺達を送り出した。

俺達は来た道を戻り、都の自宅に戻る。道中、天理が少し興奮しながら「下級と言ったって神官でもないのに神と会話できるなんて貴重な機会を得られてとても有意義だった。コネもできたしな」と喜んでいた。俺はいっそ知らなきゃ良かったとも思いつつも貴重な情報源が得られた事はありがたかったので「良かったね天理」と返しておいた。
自宅に戻り、風呂に入って汗を流してから二人で夕食を取る。食事中、天理は終始上機嫌で、俺が「天理、いつもよりご機嫌だね。そんなに嬉しかった?」と聞くと「いや、お前とこうやって一緒に生活できて幸せだなってふと思ってさ」と微笑んだ。俺はその笑顔が眩しくて思わず目を逸らしてしまった。俺は天理と一緒ならそれでいい。だからどうか、この日常が続きますようにと願わずにはいられなかった。

俺達はベッドに入り、寝間着姿になって就寝の準備をする。俺は天理を抱き寄せてキスをすると、いつも通り愛おしそうに見つめ返してくれる事に安堵する。絶対に離れたくない、そう思いながら自分でも気付かない内に少し強引気味に強く口付けをし、性急に服を脱がすと天理の素肌をろくに観賞することもなく手を進めてしまう。
「侯、輝?」
愛おしそうな瞳はそのままにでも戸惑い気味な声を小さく上げる天理を尻目に、自分の欲望のままに体をまさぐりながら耳元で囁く。
「好きだよ天理」
「ぁ……っ!」
俺の言葉にビクリと反応して、そして少し恥ずかしそうに「ああ、俺もだ」と言ってくれた。そのまま首筋に舌を這わせて胸の突起を摘んで弄ると、小さな吐息が漏れて、もっと聞きたくて、夢中で責め立てる。
「可愛いよ、天理」
「ぁっ!ふぅ……、ん」
次第に大きくなる喘ぎに煽られ、更に強く刺激を与えていくと、その度に恥ずかしそうに可愛い声で鳴いて、俺の理性を奪っていく。
「っ、あ、侯輝っ侯輝」
天理を突き上げていると、ただ切なげに俺の名を呼ぶその表情にたまらなく愛おしくなって、いつもより激しく求めると天理は一層大きく鳴いた。それでも強く抱き締められナカに受け入れて貰えると、抱いているのに包まれている様な感覚になり、なんだか自分が赦されたような気がしてしまった。
俺が俺である為に、天理を愛し続ける為に、俺は、俺自身を封じなければならない。そうしないと俺は、天理に酷いことをしてしまうかもしれないから。
だから、俺は天理を傷付けないように、 闇の力を完全に制御しなければならない。
「侯輝?大丈夫か?」
俺はハッとなって天理の顔を見る。天理はまだ余韻に浸りながらも、いつの間にか出ていた俺の涙を拭ってくれた様だ。
「ごめんね、なんかちょっと幸せ過ぎて逆に不安になっちゃったかな」
えへへと俺は慌てて目元を擦って誤魔化す。
「……俺はずっとお前の傍にいるからな?」
そう言って優しく抱きしめてくれた。
「うん、ありがと」
俺は天理に礼を言いながら、心の中で自分に言い聞かせる。俺は、闇の半身を抑え込み、天理を愛する事ができる強い自分になるんだ。ギュッと天理を抱き締め、抱き締め返されると、俺達はそのまま眠りについた。

目覚める前に夢を見た。でもしばらくしてそれはすぐに夢ではなく、自らに宿る闇の半身の記憶だと気づく。そこは光輝く世界だった。闇の半身としての記憶は太陽の神から切り離された後、すぐに封じられたから、視界的な記憶のほとんどが闇だ。だからこの記憶は太陽の神から切り離される前、一つだった頃の太陽の神としての記憶だろう。
空を飛んでいた。どこまでも無限に続く空。その世界を自分が照らしていた。大地には母である大地の神が、空では父である空の神がそれぞれ温かく見守ってくれていた。空を駆け巡るのは大好きだった。皆を照らせば世界が活気に満ちて二人が喜んでくれたから。でも強い光の影でできた深い闇が争いを招くと、他の神々から疎まれるようになった。自分のおかげで活気に満ちた世界でいられるのに!自分の闇の部分は嫌だったけど、それでも空の神と大地の神は困った様な顔をしながらもそれでも好きでいてくれた。他の神に何と言われようと二人にだけ認めて貰えればそれでいいのだ。
だが少しずつ争いが増えてきて文句が聞こえてくる様になると、ある日、空の神と大地の神は困った顔をしながらそっと告げてきた。
「太陽の神よ、ほんの少しだけでいい、お前の光を弱めてくれないか?そうすれば闇が少し薄くなるだろうから」
視界が真っ黒になった。二人に否定されてしまった!闇が、自分に闇の部分さえ無ければ!二人の前から逃げ出す様に駆け出す。遠くで空の神が何か言っていたけど聞こえなかった。十分に離れた所に来ると箱を作り出す。
「俺に闇の力さえなければ!」
そこで意識が途切れた。

「うわあああ!!」
目を覚ます。夢の中の俺は泣きながら叫んでいた。隣に愛している人の温もりを感じてほっと息をつく。少し無理させてしまった天理を起こしてしまわないか心配になったが疲れて起きる事は無さそうだ。起こさない様にもう少し眠ろうとすると天理が何やら寝言を言い始めた。
「ま……だ……太…陽……神………はお前が………らわ…………まう…だから…」
悲しそうに呟いている。太陽の神?もしかして天理も神の頃の記憶を夢見ている?!悲しそうな夢から早く覚めさせてあげたかったけど、もう少し聞いていれば天理が何の神の魂を継いでいるのか分かるかもしれない。
「ごめ…んな……」
涙が一筋流れた。誰に対して泣いているのか分からないけれど、思わず抱きしめて頭を撫でて慰めてあげると、少しだけ安心したように落ち着くとまた眠りについた。太陽の神で何か悲しい思いをした神だったんだろうか。呼びかけているなら天理が太陽の神では無いと思いたいけれど…
翌朝寝言についてそれとなく聞いてみるも、天理はさっぱり覚えておらず記憶が戻る様子もなかった。

数日後、俺は天理には仕事に出かけると言いながら一人でまた土地神のところへ赴いた。情報をできるだけ引き出せるよう、少しだけ奮発したコメの酒を持ち土地神を尋ねる。前回と同じ様に俺の来訪を歓迎してくれた。
「おお、これは良い物を持って来たのう」
持ってきた[[rb:コメの酒 > マルメカヤ]]を差し出すと嬉しそうに笑って早速開けて飲んでいる。
「いろいろ聞きたい事があって」
「お前さん一人で来たという事はお前さんの伴侶に聞かれたくない事かの?」
前回も俺がしらばっくれていた事を黙認してくれた様に今回も察しが良いようだ。話が早くて助かる。
「うん天理には知られたくない。だから、教えて欲しい」
俺が真剣に頼んでいるのが伝わったのかお猪口を卓に置いて聞いてくれた。
「お前さんは自分が何の神なのかは分かっておるのかの?」
「うん、でもごめん、それはちょっと言えない。でも危害は加えないから」
少なくとも自分の意思ではそう思っている。闇の半身の力を制御できる自信はまだないけど、できるようにならなければならない。
「天理の方は分かっとらんようじゃの」
「そうみたい。天理は俺の前で嘘ついたりしないから。天理が何の神かを知りたかったけど、できれば、そのまま神としての記憶は思い出さずにいて欲しいかな」
そうすれば俺だけの問題で済むから。
「ワシより上位の神が見れば誰だか分かりそうじゃがの。それにしても二人ともワシより力の強い神の魂を宿しておりそうなのに、何やら複雑な事情がありそうじゃのう。それで何を聞きたいんじゃ?」
「俺は人として天理とずっと一緒に居られる方法を探しているんだ。その…万一、万一神の力が暴走とかして天理を傷つける事になるのは嫌だから何か制御できそうな方法がないか聞きたくて」
この気のいい土地神に自分が闇の半身である事を隠しているのは気が引けたが、それを伝えてもきっと迷惑だろし、拒絶されるのも辛かったので、伏せたまま藁をもすがる思いで尋ねてしまった。
土地神はそんな俺の心情を汲んでくれたのか真剣に考え答えてくれた。
「そうさのワシも人の身に宿した神の力をどう制御するのかは分からんが、まずは己の力と向き合う事かの。ワシら神は大自然の中から生まれ出でたる存在、自然と同一視される事が多いが、その力の行使は心より出でたるものじゃ。ワシら土地神であれば豊穣を願い大地を潤わせ、戒めが必要であれば地を揺らす事もある。単に機嫌が良かったり悪かったりもするがの。己が何の神か分かっておるのなら、何を司っておるか見直しその心を制御できるようになれば、自ずと力の暴走も無くなろう」
随分と難しい事を言われた。闇の半身の力は太陽の神が忌み嫌い棄てた部分の集合体だ。自分だって棄てたい位だ。そんな心とどうやって向き合えばいいんだ?俺は途方に暮れてしまい逃げ出したくなった。土地神は俺が考え込んでいる間にちょっとすまんのと言いながら狐の様な大地の精霊?を呼び出し何か用事を頼んでいた。
「……神の力って捨てられないのかな」
かつての太陽の神と同じ事を考えてしまっていて思わず口にしてしまった俺に土地神は呆れた顔をした。
「こりゃまた随分早く逃げ出したもんじゃの。お前さんが何の神か知らんが悪い所ばかり見えておるのかの。何にでも裏表はある。例えば火の神は破壊をつかさどるが、凍える人に暖かさを与える事もできるようにの。もう少し向き直って見るのじゃ。お前さんポジティブに見えて意外と自分の事が嫌いかの?もうお前さんを好いてくれる者がおるんじゃろ?」
そう言って笑った。
「うん…」
確かに天理は俺の事を心から愛してくれている。でも俺の本当の、闇の半身の事を知らないだけだからじゃないのか?知ったら…もしかしたら…と思うと心が張り裂けそうだ。以前おかしくなって天理を襲ってしまった時の恐怖の泣き顔と拒絶の言葉は忘れられない。
「いい返事じゃないのう。お前さん今、神の力を隠しとるから振るってないから、自分は今そうじゃない、天理は知らないだけとか思っとるかの。神の魂はお前さんが生まれてからずっと共にあり一部じゃ。切り離す事はできん。怒ったり喧嘩することもそれなりにあるんじゃろ?それでも天理は一緒に居って受け入れてくれとるなら、そんな自分を受け入れてやったらどうじゃ?」
「俺は、俺は、天理に嫌われたくない……」
「そんな事じゃあ、いつまでたっても神の力の制御はできぬぞ。自分の心を受け入れ手中に納めるとこがそのまま力の制御になるでな。投げ出したなら制御は当然できん」
「……」
果たして受け入れられるだろうか。天理を傷つけるのなんて耐えられないのに。
「そうさな。天理に聞いてみたらどうだ?自分がどんな存在なのか」
「えっ」
天理の言葉を思い出す『大好きだぞ?太陽みたいでキラキラだぞ?かっこいいぞ?』俺に抱かれながらふわふわと微笑し自分をまるで太陽の神かのように言ってくれた。俺を忌み嫌い棄てたはずの太陽の神にだ。太陽の様な存在になりたいとか特に目指した訳でも無いがかつては1つの存在だったから、そう思う事もできるのかもしれない。でも俺にはそうは思えないよ天理。あの時はまだ自分が闇の半身なんて知らなかった、だから純粋に嬉しかった。今、それがこんなに苦しい。
「でも、でも」
「でもじゃない。天理がお前さんを愛してくれてるのなら、お前さんも応えてやらんといかん。お前さんだって天理を愛しておるじゃろ?その気持ちに偽りはないじゃろ?」
「うん」
「じゃあそれをそのまま受け入れてやるのじゃ。大丈夫、天理はお前さんを受け止めてくれるじゃろ。ワシもお前さん達を見守っておるからの。何かあったら助けてやろうぞ」
「ありがとう土地神様」
「ふぉっほっほ。気にせんでいい。お前さん達が幸せになってくれればそれでいいんじゃ。さて、ワシはそろそろ帰ろうかの」
「うん、またね!」
俺が土地神の部屋の扉を抜ける寸前、土地神から声がかかった。
「ワシが呼んだ訳じゃないからの!」
「え?」

「お、何か掴めたか?」
扉が閉まると今一番声が聞きたいけど、会うのが怖い、愛する人の声がすぐ斜め下から聞こえてきた。
声をする方に目を向けると天理が地べたに座り大地の精霊をまるで犬か猫をあやすかのように撫でていた。さっき土地神が呼んでいた狐の様な大地の精霊が撫でられて気持ち良さそうにしている。驚き固まる俺を尻目に天理が大地の精に暇潰しに付き合ってくれた礼と今度はお前にもアブラアゲ?持ってくるなと言いながら土産の酒を手渡すと大地の精は嬉しそうに酒と共に消えた。
「天理!なんでここに?」
仕事は?!やっと動く事を慌てて思い出した俺に天理はゆっくりと立ち上がるとのんびりと答えた。
「んー?お前前回ここに着たあの日から…まあもうちょい前からもだけど様子おかしかったからな。前回の帰り際に土地神にまた会えるか聞いてたからまた行くんだろなと思ったんだよ。でスケジュール確認してこっそり行きそうな日に監視つけて追いかけてきた」
あの日なんてお前、少し雑に抱きやがってと愚痴もいいつつ、[[rb:風の精霊 > シア]]を監視につけていた事を話す。
「黙っててごめん…え、でも一人で?」
比較的安全な道程だとは思うし精霊魔法が使えるとは言え、護衛も無しで天理一人で来るのは危険だ。
「謝らなくていい。大事な事なんだろ?ここへは護衛雇った。他の奴雇うとお前怒るだろうけど、それで俺が怪我したらもっと怒るだろうしな。だからちゃんと雇ってここまで護衛して貰った。先に帰って貰ったよ。とんだ出費だ」
天理は苦笑しながら俺に言う。
「天理……でもだからって追って来なくても」
家で待っていても良かったのに。
「俺な、お前が悩み、話してくれるまで待ってるつもりだったんだよ。年上らしくさ、ドーンと」天理はそう言って笑う。「でもお前が一人でずっと苦しそうにしてるの耐えられなかった。で、堪え性の無かった俺はいい歳して仕事も放ってお前を追っかけてきた揚げ句、お前が話すまで帰らないとここでダダをこねるつもりだった。護衛は返しちまったから俺一人じゃ帰れないし?こんな所に俺一人置いて帰ってしまう様な薄情な男じゃないだろうから無理やり話させられるだろうという打算もあった。酷い奴だよな」自嘲気味に呟くと、「待ってなくてごめんな」と言い切る前に抱き締めた。そっと抱きしめ返してくれる。天理の全てが愛おしかった。今まで待っててくれた、俺の為になりふり構わず来てくれた、その事が嬉しくて涙が出た。
「ほら、そんな顔すんな。土地神からお前の悩みが解決しそうな何かが得られたんじゃないのか?やっぱりまだ…話せないか?」
出てきた瞬間の顔振りからすると少しは何かあったんだろ?と言いつつも微笑しながらも俺の返事を待っている。
「……天理、俺…怖いんだ」
「うん」
話そうとすると震える体を天理は抱きしめた腕で背中を擦ってくれる。温かい手が俺の心も温めてくれると少しずつ力が沸いてきた。
「あのね……」
俺は今までの事を全て話した。俺が太陽の神から忌み嫌われ切り離された闇の半身の魂を継いで生まれてきて、記憶が断片的にある事。闇の半身である事で天理を傷つけてしまうのではないか、嫌われてしまうかもしれないという不安。そして天理がもし太陽の神だったら天理と破滅的な別れが待っているのではないかという恐怖。暴走しないように力を制御するには闇の半身としての心と向き合う必要があると土地神に言われた事を話した。
天理は時折相槌を打ちながら黙って俺の話を聞いていた。
「…途方もない話だな、辛かったな侯輝、話してくれてありがとうな」
天理はまるで自分の事のように辛そうにしながらも少しだけ嬉しそうに笑うと俺の頭を撫でながら優しく言った。撫でながら言われた事を整理しようとしているのか少し考えている。
「あの、天理、俺の事怖く、ない?嫌わない?俺が、闇の半身で…」
「ん?お前、俺の嫌なとことかダメなとこ言ってみろ怒らないから」
天理はそう言うと俺の顔を覗き込む。
「えっと、すぐ怒るとこ、あと、時々意地悪、天然で危なっかしいとこ、遺物見ると俺の事放って構ってくれない、あと隠してるけど怖がり、あと…」指折り数えていると「覚悟してたよりゾロゾロ出てくるなおい!」「ほら怒るー」でも天理が口調の割に全然怒ってない事はもう知ってる。というか天理滅多に本気で怒らない。
「だから怒ってないって、やっぱり嫌なとこ言われると落ち着かないもんだ。でもお前はもっと不安なもん抱えさせられてるんだよな…なあ侯輝、お前はこんな俺でも好きでいてくれるか?」
俺の頬を両手で包んで目を合わせてくる。その瞳には俺が映っていた。
「うん、好き、大好きだよ」
俺は泣きじゃくりながらも答えた。
「ありがとな。お前が好きだって言ってくれるならそれで良いって思えるんだ。まぁそれじゃダメだろってのも分かるけどな。俺も同じだよ、お前のダメなとこもいいとこも引っくるめてお前を愛してる。それじゃダメか?」
「ううっでも天理俺の事全部知らないだけかもしれないし。俺、天理の太陽じゃないよ…俺闇の半身の魂捨てちゃいたい」
天理はぐずる俺を困った様にあやし撫でながらいう。
「ああ、お前に何度か言ったっけな。素じゃなかなか言えないけど。お前の魂が何だろうがお前は俺の太陽だよ」やはり恥ずかしいのか照れながらそれでも真剣に伝えてくる。「それに…それを覚えてるなら他にも言ったろ…その」言いにくそうに口ごもる。沢山愛してるって言ってくれてるけどどれだろうと思い出していると「だから…お前になら食われてもいいとか何されてもいい的なその…お前が俺に対してやらかしてると多分思っている部分も…結構…好き…というか、お前がお前自身を嫌がってても俺はそうじゃないんだよ。だから嫌わないでやってくれよ」と耳まで真っ赤にして俯いている。俺は思わず抱きついた。
「天理、俺、俺も天理にだったらいつ食べられても良いって思ってるからね!?」
ああ俺を受け入れてくれる天理がこの心のまま太陽の神なら良いのに。そうすれば名実ともに1つになれるかな、なんて。
「お、おう」
自分が先に言ったのに言われたら恥ずかしかったのか更にこれ以上無いくらい赤くなりながら続けた。
「お前が今まで心が不安定な感じになってたのって俺絡みだったと思うけど他にはあったか?」
「無い、と思う、俺の中心は天理だったから」
重いと言われたって構わない。土護兄や姉達の前ではちょっとやんちゃしてたと思うけど他は明るくそれこそ太陽の様なキャラでいてたはずだ。特段演技していたつもりもなく。天理の前だけ心が揺れた。
「力の暴走は心の暴走だって土地神は言っていたんだろ?いくら記憶が無かったからって今まで大丈夫だったならお前は大丈夫なんじゃないかって思ったんだよ。だから…俺さえお前の側を離れたらお前の力の制御も安定するんじゃないかって…」
「ヤダ!絶対離れたくない!」
天理から離れたらよく分からないけどきっと爆発しちゃうよ俺。
「だよな。俺も嫌だ。だからそれは無し。これは自惚れだけど…お前が不安になった時俺それなりにお前を安心させてやれてたんだと思うんだよ。だから、お前は俺と一緒にいさえすれば闇の半身だろうが何だろうがずっと大丈夫って思うようにしないか?」
単に俺が側にいたいだけってのが本音でもあるけどなと照れくさそうに笑う。
「うん!うん、そうする一緒に居よ」
俺は泣きながら答えていた。天理と一緒になら闇の半身の心と向き合える気がする。俺にはもうこれ以上ない味方がいるのだから。俺が泣き止むまで天理は撫でてくれていた。
「天理が俺を受け入れてくれるなら、俺、好きになれるかも」
「そうか、ありがとよ」
天理は嬉しげに微笑んでくれた。
「俺、天理の太陽になりたい」
「お前はもう俺にとって太陽だよ」
天理は少し笑って愛おしいものを慈しむような目で俺を見つめながらそう言った。
闇の半身を受け入れたら、そしたら俺はもっと強くなれるかな?そうすれば、俺は本当に天理の太陽の様な存在になれるのだろうか。

俺の心の整理がついたので俺達は日が暮れない内に都の俺達の家へと帰る事にした。急げば夕方前には都に戻れるだろう。道すがら結局天理は何の神の魂を継いでいるのか話ながら帰る。今まで知らなかったし記憶無いし生活に支障は無いけど何も知らないのは目覚めが悪い!と、自分が何者なのか不安と言うよりは、どちらかと言うと天理のいつもの探究心の方が強そうだ。が、いかんせん手がかりが無さ過ぎて考える手はすぐ尽きた。後日魔術学院の図書館や、大地の神の神殿に天理が訪れてみる事になった。
「俺が何の神の魂を継いでるのか知らないが、どうせならお前の悩みとかさっさっと解決できる神様だったら良かったのにな。そしたらお前が苦しまずにすんだかもしれないのに」
ため息をつきながら天理はすまなそうにそう言った。
「ありがと、天理。俺の事心配してくれて。もう大丈夫だから。でも天理が太陽の神だったらいいな。そしたら何も怖くないって今なら思えるのに」
だって天理ならかつての太陽の神の様に俺を拒絶しないって思えるから。そしたら怯える事はなくなる。
「俺が太陽の神なぁ……お前ならまだしも俺は無くないか。キャラ的に。こう…太っ陽っ!て感じじゃないだろ。俺」
夏の太陽とか俺苦手だしと天理は苦笑しながらそう言った。
「うーん。そだね残念」
天理、基本インドアだし、探索行っても大体遺跡の中だから日に当たらなくて肌真っ白だし。好きだけど。
「何の神様だろね」
「神官に祈って貰えてない様な忘れられた小神あたりじゃないか?そういう意味だと半身とは言えお前のはメジャーだな」
「そうとは言えるけど…メジャーでもみんなに好かれる神様がいいなぁ」
「なんだよ俺に好かれてれば良いんじゃなかったか?」
クスクス笑いながら意地悪な事を言ってる癖に少し照れくさそうに言う天理が可愛い。
「そうだけど!天理にだけ好かれてればいいけど!もう、天理のは絶対意地悪な神様だ!」
俺が拗ねる様にいい放つと「はいはいそーだな」と頭を撫でてくれる。
「意地悪だけど…きっと照れ屋で優しい神様だよ」
にこと笑いながら言うと天理はやっばり少し顔を紅くしてそうかぁ?といいながらそっぽを向いていた。
日が傾き夕日が空と天理を紅く染める。俺が天理を照れされて紅くしたのになんだか夕日が天理を染めてるみたいで少し悔しかった。こう思うのは俺が闇の半身で太陽の神の光の部分に嫉妬してるからかな?む。
「天理は俺のだからね!」
天理を紅くしていいのは俺だけなんだから。そう夕日を指差し叫んでいるとさすがに唐突すぎて「な、なんか見えてんのか?!」天理にぎょっとされた。
「あ、ごめんね。ちょっと太陽に宣戦布告したい気分になっちゃって」
「えぇ……」
なんだよそれとか、てっきりいつもの調子で突っ込まれるのかと思っていたら「まぁそういう時もあるよな」と優しく笑って頭をぽんと叩かれた。やっぱり俺の神様は優しいや。

都に辿り着き家に帰り着く頃にはすっかり暗くなっていた。
夕食やら風呂やら各々明日の支度やらを済ませベッドに潜り込み天理を抱きしめながら俺は天理の匂いを嗅ぐ。小さく笑いながらくすぐったそうにしていた天理が俺の頭を撫でてくれるのが嬉しい。
「この間、丁寧にしなくてごめんね」
昼間天理がポロっと漏らしていた『雑に抱きやがって』発言に謝罪する。天理は一瞬何の事だと首を傾げたがすぐに思い出して顔を赤くした。
「いいって、お前もあの日いっぱいいっぱいだったんだろ?」
「怒ってない?」
「……まぁ何があったか知らんが俺が黙ってりゃ多少強引に抱いても平気だと思ってんのか馬鹿。とは思ったな」
「やっぱり怒ってたー!ごめんね。天理激しく抱かれるのも好きだからって甘えちゃったね」
俺の言葉に天理は顔を赤くして「ばっ!か!お前なぁ……!同じ激しさでも、どっか上の空で雑にやられるのと、俺が欲しくて堪らないって眼ぇしながらがっついてくんのとじゃ違うんだよ!」
それくらい分かるわと言いながら更に赤くなった天理が可愛くて思わずキスしてしまう。この雪のように白い肌を赤くできるのはやっぱり俺なんだからとまた強く思う。
「じゃあ今日は挽回させて?優しくするね?」
ちょっとだけ天理の天の邪鬼に期待した言葉をかけ優しく天理の頬に触れる。
「……馬鹿。そこはちゃんと俺が欲しくて堪らないって眼ぇしながらがっついてくるのが挽回だろよ…」
やった。期待通り。顔が赤いまま手で口を覆いながら目線をそらしている天理を見ていると意地悪したくなっちゃう。
「えへへ、じゃあ、遠慮無くがっついちゃうね♡」
今度はちゃんと天理の事しか考えないから安心して俺に翻弄されて?
「お前!今、誘導したろ!」
ハッとして抗議してももう遅い。
「がっついて♡滅茶苦茶にして♡って今言ったじゃん」
天理の夜着を剥がしながら言うと「そこまで言ってねぇ!!ちょっ!待っ!」と慌てていたけどもう待たない。
「ほら俺、闇の半身だからさ、天理に意地悪しちゃうの。イテっ」
上着のボタンを外し終わり天理の胸を露にして手を這わせているとゲンコツを貰った。
「こら!そういうのを魂のせいとか誰かのせいにすんな。自分が悪いもんだと思ってんなら、だからこそ自分を律すんだよ」
いい本があるから今度読ませてやる、とこの状況で説教が始まった。冗談半分で言った事だけど、そういうトコロからだ!と譲らない。俺の愛しい人は俺の闇の半身とトコトン付き合ってくれるらしい。
「うん、闇の半身の魂が宿ってるからって俺が悪い事していい理由にはならないよね」
そんな事してたら自分が嫌になっちゃうし向き合うってこういう事からかな。
「分かってくれるならいいんだ……で、その、お前が…”侯輝”が俺をどうこうその、意地悪したいなら、好きにすればというか」
中断させてスマンと律儀に謝りながら、恥ずかしい事を言って居心地が悪そうな顔で天理が呟いている。ああ、本当に愛おしい。
「うん、ありがとお詫びに滅茶苦茶に気持ちよくするね♡」
「滅茶…っん!」
抗議の声が上がる前に口を塞ぐ。舌を絡め、口内を蹂躙して、息を荒げながら何度も角度を変えて貪る。キスだけですっかり息が上がる頃には天理の瞳は蕩けていて、俺はそのまま首筋や鎖骨に唇を落としては痕を残していく。
「はっ、あ、もう馬鹿、ったく、跡つけて…明日仕事だっての」
文句を言いながらも俺の頭を抱き寄せてくれてるのが嬉しい。
「大丈夫だよ、俺がちゃんと隠せるように付けてあげるから」
そう言いながら服を脱がせて、俺も脱いで、素肌を合わせて抱きしめると、俺の心臓の音と天理の鼓動が同じリズムで鳴っているのが分かった。ただこうしてるだけでも気持ちいい。
「ふっ、はは、なんか、凄いな俺達、何度も重ねてるのに、まだドキドキする」
俺の腕の中で小さく笑いながら言う天理に俺も笑う。
「そうだね。俺もずっと、ドキドキしてるよ」
俺の言葉にまた小さく笑いながら
「じゃあもっとドキドキさせてくれ」
少し目を細め赤くなりながら腕を首に回してきた。
「うん、いっぱいいっぱい、ドキドキしてね」
そう言って俺はキスをした。
「んっ…はっ…あ…ん…」
俺が天理の弱いところに触れる度にピクっと反応して小さく声を上げる。白い肌が俺が与える刺激でどんどん赤くなっていく身体が綺麗で、愛おしくて、もっともっと感じさせたくなる。胸元に赤い花びらを散らす。
「あっ!」
ドキドキ鳴る心臓に吸い付くと高い声で嬉しそうに鳴いた。
「は…あ、んっ!そこ、だめ、だ」
胸の突起を指先で転がすと漏れる声に艶が増す。
「駄目じゃないよね?ここ、好きだもんね?」
「っあ!んっ、も、そう、じゃ、なっ」
弄る度に脚がひっきりなしに動き時折腰が揺れる。俺の頭に手を添えていた天理が震える手でソロリと俺の項を撫で上げた。
「…っ」
ゾクゾクと震えを感じていると天理が挑発する様に薄っすらと笑っているのが見える。
「なぁに?そんなに煽って。どうなっても、しらないよ?」
俺は天理の胸の突起を甘噛みし、もう片方は強く摘まんだ。
「んああっ!!」
強い快楽に悲鳴の様な声で鳴く。そのまま胸に舌を這わせて舐める。
「んっ!く!あ!」
俺の頭を抱きしめて喘ぐ姿はとても可愛い。瞳には薄く涙を浮かべて、頬は紅潮していて、とても扇情的だった。
「も、さっきから、そこばっか、しつこいぞ!」
「だって、美味しいし」
「んな訳あるかっ!あっ!」
ご要望に応えてすっかり立ち上がっていた中心に手を添えるとビクンと跳ねて甘い吐息が零れる。
「んっ!あ!そこ、じゃな!あっ」
上下に手を動かすと、その度に大きく体を震わせた。
「ねぇ、じゃあ、どこを虐めて欲しいの?」
「っ」
耳元で囁いてあげるとそれだけで少し震えているのを見ていると可愛くてもっと意地悪したくなってしまう。
「ねぇ、教えて」
わざと音を立てて耳にキスをして息を吹きかけると首をすくめて「っぅ」と恥ずかしそうにする。もっともっと見せて天理。
「ほら、言わないとこのままだよ」
そう言いながら先端を強く擦り上げる。
「ああ!!や、言うから……早く後ろを……おまえので…虐めてくれ…」
真っ赤にしながら途切れがちに告げられた言葉に俺の中心が熱くなった。
「うん、いっぱい虐めてあげる。天理、入れるよ?力抜いてね」
「ん。」
ゆっくりと挿入していく。
「あ……あ…」
中は狭く、そして熱い。俺のモノを離さないとばかりに強く締め付けてくる。
「っつ」
あまりの快感に思わず声が漏れてしまう。それを聞いた天理がフッと笑って、俺の首に両腕を巻きつけて引き寄せてきた。そのまま導かれた様にキスをする。天理の熱い中が俺で馴染むのを待つ間、舌を絡ませ合う。天理の喉が鳴り俺の唾液が飲み込まれているのを感じ取ると俺の中心がドクリと跳ねた。また天理がクスリと笑う。
「侯輝、も、いいぞ。お前が思うがままにその大きくなったやつで俺を虐めてくれ」
赤くなりながらそう微笑する様が凄く色っぽくて、俺の理性は簡単に焼き切れてしまった。
「っ、もう、滅茶苦茶にしちゃうからね!」
そう宣言すると天理の腰を持ち上げると大きく脚を開かせ上から一度ギリギリまで引き抜くと突き刺すように激しく打ち付けた。
「ああ!あ!あ!っあ!」
パンパンという音が響く程の激しい抽送に合わせて天理があられもなく声を上げる。その姿があまりにも扇情的で、俺の欲望は止まらない。
「あっ!侯輝!っ!侯!」
激しく翻弄されながら俺の名を呼ぶ。まるで振りほどかれまいと必死で肩を掴む腕に力が込められる。動きに合わせて揺れる天理の中心から前走りが天理の腹を濡らしていた。
「はぁっ、天理、愛してる」
そう言ってキスをすると、天理の中が強く締まった。
「っ、あ、こ、あ、あ、あ、あぁぁぁぁっ!!!」
一際大きな声を上げて達すると白濁が更に天理の腹を濡らした。
「っ、くっ」
俺も達してしまいそうになるがまだだ。まだ足りない。
「ああっ!あっ!うあ、あ、っあ!も、やぁ、あ!ああっ!」
達したばかりの敏感になった身体に容赦なく攻め立てられ、全身真っ赤になりながら過ぎた快楽に涙を流し、開けっ放しになった口の端からはだ液が流れ落ちる様が酷く淫靡だ。組み敷かれ与えられる快楽をどうにか逃がしたいのか動かせる足先が跳ね、首を左右に振り乱すと汗に濡れた黒髪がバサパサと揺れる。まるで真っ赤に熟れた果実が汁を滴らせ俺に食べられるその時を待ってるようだと思うと、知らず口から笑みが溢れ涎を垂らしていた。ああ、なんて美味しそうなんだろう、食らいつくしたい!
「天理!天理!天理ぃ!」
獣の様に吠えながら愛する人の名を呼ぶとうっすらと開けた瞳と目があった。食えと言わんばかりのその目に俺は迷わず肩口に噛みついた。
「あああ!!!」
俺の牙が食い込んだ瞬間、天理が悲鳴にも似た叫びを上げながら、俺の精を搾り取るように強く収縮すると天理の中心から透明な液体が勢いよく吹き出す。
「ぐっあああ!!」
その衝撃で俺も中に吐き出した。
「あ……あ……あ……ああ……っ」
俺が出した精を受け止めた天理がビクビクと痙攣しながらまた軽くイッている。真っ赤な顔も腹も天理の体液でぐちゃぐちゃで、また鏡に映して見せたら天理はきっと卒倒するだろう。その壮絶な色気で自分の中心がまたピクリと反応してしまったので少し目線をずらしながら震える天理を刺激しないよう腹の体液を拭い、顔の体液を吸い取って綺麗にしてあげた。
「は……んっ……はっ」
少しずつ呼吸を整えつつもまだ焦点の合わない瞳でぼんやりと宙を見つめる姿は普段の毅然とした天理からかけ離れてとても可愛い。こんな時天理はとても素直になるから本音を聞くチャンスだ。
「ねぇ天理、激しくしちゃったけど気持ちよかった?痛くなかった?」
「ちょっと痛いけど…気持ちよかった…」
俺に噛まれた肩口にそっと触れながら恥ずかしそうにコクンと小さくうなずく。うぅ可愛い…
「そっか、良かった」そう言いながら頭を撫でると「侯輝」と掠れた声で呟いて抱きついて来た。
「うん、なーに?」
「もう1回…」
そう言うと俺の唇にキスをして舌を差し入れて来る。
「ん、ぁ…いいの?」
「ん。いい、侯輝のまた大きくなってるし…」
そう言うと俺の背中に手を回し、足を絡めて俺の腰に回すと、緩く動かし始めた。
「ちょ、待って、俺今イッタばっかりだからさっきより感じやすくてヤバイんだけど……」
慌てて離れようとするが、俺の腰に回った足の力は強い。
「…ヤバく、なればいいだろ…もっとくれよ、俺を滅茶苦茶にしてくれるんじゃないのか?」
涙を薄っすらたたえた目でほんの少しだけむくれる天理が可愛いすぎて困る。
「あ、明日仕事でしょ?困るの天理でしょ?」
むーと不機嫌になったと思ったら体の上下を反転されると騎乗位になった。
「あぁっ!」
「っ!」
自重で深い所に当たったのか一声鳴くと見下ろしてきた
「何…気づかってんだよ、俺でまたこんなに硬くしてんだろ?ならさっきの獣みたいにがっついてこいよ…欲しく…無いのか?」
挑発的に見下ろしてる癖に恥ずかしそうに顔を赤く染めながら言ってるのが可愛くて仕方がない。
「欲しい、めちゃくちゃにしたい」
「だったら来いよ、全部……受け止めるから」
な?と微笑まれ、俺の理性が弾け飛んだ。
翌朝、俺達は仲良く寝坊する事になった。

novelnovel