7.心に欲しいもの
一方侯輝は宿屋に戻りシャワーを浴びていつもより念入りに体を洗った。そして借りた器具でわーわー言いながら後孔を丁寧に洗い清める。
(ひぇぇ…これ思ってたより恥ずかしい。天理はこれ毎回やっててくれてるんだよね?ありがと天理……)
侯輝は教えて貰った通りに綺麗にして、鏡に映る自分の体を見てみる。
(天理、俺で勃つって言ってたけど大丈夫かなぁ)
鍛錬を怠らず自画自賛できる程の締まった肉体を持っていると思うが、やはり男である。天理が自分に抱かれる時はこの躰を愛しむ様に撫でてくれるのは知っている。けれど抱く時は?天理は元々ノーマルだったはずなのだ。勢いで抱いて欲しいと言ってしまった事が急に心配になってきた。
(俺が女だったらいつもみたいに撫でてくれるのかな……ええい!やめやめ!俺は天理を信じれればそれでいいんだから!)
ぱしぱしと頬を叩き、余計な思考を振り払う。思ったより手間取った事もあり気づけば約束の時間が近づいていた。侯輝は身支度を整えると少しだけ早かったが天理の家に向かった。
「天理、いる?」
侯輝はいつもより緊張した声になってしまう。天理の家の呼び鈴を鳴らすと慌てた風の音がした。
(うわ、俺、少し早かったかな?)
緊張のあまり早く来てしまった事が恥ずかしくなり、顔が赤くなるのを感じる。ほどなくして扉が開いた。
「お待たせ…いらっしゃい」
落ち着いた雰囲気で迎えようと構えていた天理は侯輝を見ると緊張が少し移ったのかの様に出迎えた。
「お邪魔します」
侯輝がやはりいつもと違う丁寧口調になっていると天理は少し懐かしい顔をしながら「ふふっ」と笑った。
(やっぱり俺おかしいかな?!)
微笑する天理にえっ!と戸惑っていると天理は笑いながら言う。
「俺を一番最初に抱きに来た時もこんなだったろ」
立場は逆だったがあの時も緊張する侯輝に天理は笑い、つられて安心していたなと思い出していた。
「そだね、えへへ、今日はお風呂ちゃんと入って念入りに洗ってきたからね!」
侯輝はもう勝手知ったる天理の部屋に挨拶して入り、ベッドの端にちょこんと座った。天理は侯輝がいつも通り元気になりつつもやっぱり挙動が可愛らしいなと思いつつ隣にそっと座ると優しく話しかけた。
「分かった。準備は大丈夫だったか?」
「うん」
「無理して無いな?侯輝」
「二言はないよ!」
侯輝はまだ少し緊張していたが決意の強い瞳で天理を見つめる。天理は期待に沿える様、自らも改めて決意を固めると、やさしく抱き寄せると髪を撫でた。
「よし。じゃあ横になってくれるか?」
「うん」
素直に仰向きに寝転ぶ侯輝。
(うう、凄い緊張するよ。天理もこんな気持ちだったのかな)
天理は侯輝のいつもの賑やかさがほぼ鳴りを潜めている様子を見ると、この所はもう自分を越してすっかり逞しくなってしまったと感じていたが、久々に庇護欲が掻き立てられるのを感じていた。
天理が覆いかぶさりやさしくキスを落とすと唇を合わせるだけの軽いキスを繰り返す。
(なんか天理余裕だな…いつもより大人っぽい)
侯輝は余裕のある天理に少し悔しくなって、自分から舌を差し入れてみる。
「ん……」
しかしそれは直ぐに天理に絡め取られてしまい、されるがままになってしまう。
(あ……これ気持ちい……)
しばらくそのまま口内を弄ばれると舌を吸われた。
「!?ふっ!むぅっ!」
驚いて反射的に離れようとするが天理に頭を抑えられさらに深く貪ぼられた。
(何これ!?いつもと同じキスのはずなのに。なんか頭がぼーっとしてきた)
侯輝はいつもとのギャップに戸惑いながら、必死に応えようと舌を動かした。
「はぁっはぁっ」
長い口付けが終わると侯輝は顔を真っ赤にして荒い息を吐いていた。
「ふぅ…ふふ、可愛いな侯輝。大丈夫か?」
天理は侯輝の様子に微笑ましく思いながらやさしく髪を撫でた。
「うん、平気だよ」
「良かった」
天理は微笑すると、侯輝の上着の裾から手を差し入れゆっくり脱がし始める。侯輝は手の温もりを感じながら上着を脱がされ、ドキドキしながら見つめると、視線に気づいた天理の顔が迫ってきた。また、キスをするのだろうと思っていると今度は耳を食まれる。
「わ…」(ひゃー)
「気持ち悪いとか無いか?」
見守る様な視線でどこまでも気遣わしげに聞いてくる。そこまで優しくなくていいのにと思っていると、ガキの頃看病してくれた事を思い出した。撫でられていると、なんだか子供扱いされている様でちょっと悔しい。
「全然、ない。くすぐったかっただけ、だよ」
「そうか。くすぐったいのはもうちょっとガマンしてな」
微笑すると天理の指が腹の上辺りをなぞり胸の飾りを指の腹で弾く。
「あっ」(なんか変な声でた!)
天理はその様子を確認すると首筋や鎖骨などに軽く口付けていく。胸の飾りを口に含むと舌先で転がすように舐めた。
「んっ!あっ!」
もう片方の突起も空いた手で摘み、押し潰したり弾いたりする度に身体が震え、声が上がる。
「うぁ!あん、それダメ!だめだってば、天理っ!」
「痛いか?」
「いた、くは無いけど、へんっ、なる。から」
はふはふと浅い息を繰り返し、頬がほんのりと赤くなる。天理はやりすぎたかと不安にもなったが自分の下で感じ入っている侯輝が可愛くて仕方なくなっていった。もっとこの表情を見たいと欲求が駆り立てられる。
「段々気持ちよくなってくるから大丈夫だからな?続けてもいいか?」
その問いに小さく首を縦に振る侯輝に、天理はほっとすると一旦起き上がり自身の上着を脱ぐ。侯輝の下腹部へ手を這わせると、服を下着ごとずらし、既に張り詰めた侯輝の中心を取り出して優しく握りんだ。普段挿入される天理にしてみれば雄々しいばかりのソレも今日は可愛いく見え、愛おしさが込み上げる。
「侯輝、もうこんなになってるぞ?可愛い」
「う、うん」(俺の可愛いかなっ?)
そのまま擦り上げるように上下させると先走りが溢れてきた。滑りが良くなったことでより強い刺激が加わり快感が大きくなる。
「んっ!! ああぁ、ぅ……はっ」
その快感に耐え切れずに背筋を伸ばし腰が浮く。目を瞑り枕にしがみつくようにしながら耐える侯輝に天理が腰に片手を添えてやると敏感な部分に触れたのかビクリと跳ね、快楽が増したらしく天理の手の中のものが一段と大きさを増す。先端が赤く膨らんでおり射精が近い事が見て取れた。天理は一度イカせてやろうと、手の動きはそのままに親指で尿道付近をぐいと押してみる。
「ひあっ!?あっああ!」
急な強烈な刺激に驚いたのか、大きく身体が仰け反り、同時に手のひらの中で熱く脈打つとどくんと精が吐き出された。
「ぁ…ぁ…」(気持ち良すぎて頭おかしくなりそう……)
天理はそれを最後まで絞り取ると目を細めながら丁寧に舐め取る。達したばかりの身体はそれを見てまた硬さを取り戻し始めた。
(うわぁ今の天理凄いエロい…)
「ふふ、まだまだ元気だな。後ろ…いいか?」
「うん」
「じゃあ横向いてな」
侯輝が素直に態勢を横向きに変えると天理が横に添う。天理は侯輝の後孔にそっと指を添えるとそっとマッサージをするように丹念に揉んだ。少しだけ中に入って、円を描くようにして内壁を刺激すると指がきゅうきゅうと締め付けられる。
「息を吐いてリラックスだぞ」
天理の優しい声に緊張が解けていくのを感じる。
天理が中心を刺激してやりながら指を進めてみると中でぴくぴくと痙攣している箇所を見つけた。ゆっくりと押すと「んっ」と侯輝が身を捩る。
「ここか?」
(うわ…そこが俺のイイとこなんだ…)
マッサージする様にくりかえし押していくと明らかに侯輝の身体に変化が現れる。
「俺、なんか変、だよ天理」
侯輝が今まで感じたことの無い感覚に不安そうに訴えると天理が口づけてあやす。そして耳元で「大丈夫、それも段々気持ちよくなってくるからな?でも怖かったら言うんだぞ?」と囁くと侯輝はこくこくと頷き安心して身を任せた。
(これも天理がいつも感じてる事なのかな。なんだか共有できたみたいで嬉しいかも)
天理は自身の経験談を語る様で少し恥ずかしかったが侯輝を安心させる事を優先した事が功を奏したと一安心する。頷く侯輝を確認すると「いい子だ」と髪を撫でながらさらに奥へと指を進めた。指を進めるたびに反応が強くなる。
「あ、ふぁ……」
天理はだいぶ慣れてきた事を確認すると2本目も挿れて前立腺を挟み込みぐりぐりと押し潰した。侯輝の口から堪え切れない喘ぎ声が漏れる。その様子に安心するとそのまま3本、4本の指を使って丁寧に丁寧に広げ十分に解す。
(凄い…気持ちイイ……けど…)
侯輝はそのあまりの丁寧さに焦れてくるのと共に、天理が真剣ではあるもののその態度が余裕過ぎて見えて自分に魅力が無くて欲しがってくれないのだろうか、やっぱり女体の方がいいのだろうかと不安にすらなってきた。
(天理優しいから俺を抱いてくれてるだけだったらどうしよ…俺、速水みたいに普通の女の人だったら良かったのかな…)
「ねぇ天理、もう、いいんじゃないかなぁ…」
天理は侯輝が焦れたようにそう請う割になんだか不安そうにしているしているのに違和感を覚えた。怖がっている訳では無さそうなのになぜ?と困惑する。
「ああ、そろそろいいかな…」
天理はひとまず侯輝から指を傷つけないようゆっくりと引き抜くと、不甲斐ないが不安にさせたままよりはと素直に聞く事にした。赤くなりながらも少しだけ陰る顔の侯輝の頬を片手で撫でて尋ねた。
「すまん、教えてくれ侯輝、何がお前を不安にさせてる?」
天理の言葉を聞いた瞬間ビクリと一瞬固まったかと思うとくしゃりと表情を歪ませ涙目になる。侯輝の心の奥底で渦巻いていた想いが滅茶苦茶になりながら涙と共に溢れ出た。
「天、理。速水にもこうだったの?俺、知らない。俺、いつもいっぱいいっぱいでがっついて、天理をこんなにやさしく抱いてない……」
言葉が尻すぼみになっていく、言い切る頃にはポロポロと泣いてしまった。
「侯輝…」
(どうしよう俺天理を困らせてる、嫌われたくない!でも止められないどうしよう)
侯輝の言葉と涙に天理は大事な事を失念している事に気付きはじめていた。天理が言葉に迷う間にも侯輝は続ける。
「ご、ごめっんね…天理がこんな風に速水を愛してたのかって思っちゃたらまた嫉妬しちゃった。やっぱり女の子の方が良かったのかなって。認めたつもりだったのに俺、凄くカッコ悪い」
悔しさで涙が零れた。
天理は己の愚かさを思い知った。それは侯輝自身が最初から言っていた事だった。侯輝の独占欲と速水への嫉妬。勢いで始まってしまったこの交わりは、肝心な所をおざなりにしてしまっていた。侯輝から抱いてくれと言われたから抱いた。だが自分の意思は示したか?これは愛の営みなのだから。侯輝が欲しがっているモノ、伝えなければならないコト。天理は普段これでもかと愛情を注いでくれる侯輝に甘えて、返してるつもりでろくに自分も求めている事を伝えていなかった。ただ満足に交わる事ばかりを考えて侯輝を不安にさせてしまった。自分だって侯輝に抱かれた時はただ好きだと言ってくれた事が嬉しくて侯輝と繋がれる事しか考えてなかったじゃないか。
天理は自分の過ちを正すべく侯輝を強く抱き締めた。
「ごめん、ごめんな侯輝。不安にさせて。俺は何一つ大事な事をしてなかった。仕切り直させてくれ侯輝」
「えっ?仕切り直し?」
泣き顔のまま侯輝はキョトンとする。天理は侯輝の目尻に唇を寄せて、ちゅっと音を立てて涙を吸い取る。一つ深呼吸し、真剣な眼差しで侯輝を正面から見据えると、まとまりきらない想いを吐き出した。
「…侯輝、少し聞いてくれ。俺はな、お前の笑顔が好きだ。俺に勇気をくれるんだ、お前が側にいてくれるだけでどんな事でも出来そうな気がするんだ。年下なのに俺を甘やかしてきて、ちょっと強引だけど落ち込んでても引っ張り上げてくれて、優しいお前にどれだけ救われてきたか分からない。影で努力している時だっていつだってお前の事が眩しいよ。そんなお前が…がむしゃらに嫉妬するくらい俺を…好きだって、愛してくれるって沢山言ってくれるの本当に嬉しいんだ。カッコ悪くなんてない。…愛してるよ。侯輝、どうかお前を愛させてくれ」
「天、理、あの、えっ」(天理顔真っ赤。可愛い。それにいっぱい褒められちゃった)
侯輝は嬉しさと天理につられるように顔を赤くしながらもまだ少し残った不安を呟く。
「でも、俺女の子みたいじゃないよ…」
「すまんっ言葉足らずだった、性別とかどうでもいい。俺はお前を可愛いと思ってる。子供扱いじゃないぞ?ちゃんと大人としてだ。その……雄っぱいとか、割れた腹筋とかもエロいしだな……その、」
先ほどまで余裕に見えた天理はどこへやら、顔を赤くし目をさ迷わせ始め、しどろもどろに自分を好きだと語る天理に侯輝は胸がいっぱいになり思わず抱きついた。
(天理大好き!)
「おわっ…その…普段自信過剰なお前がそんなになるの俺の愛情表現が足らんからだろ…?こんな時ばっかりですまん…」
侯輝は天理が真っ赤になりながら言ってくれた言葉を一つ一つ思い返し、嬉しさがじわっと胸に広がった所で自分が何を言っていたか思い出し顔から湯気を出しそうなほど更に顔が熱くなる。不安はもうどこにもなかった。
「だ、大丈夫か?侯輝」
天理は黙ったまま返事を返してこない侯輝が心配になり視線を戻すと真っ赤になっている恋人を慌てて気遣う。その様子にまた可愛らしいと思い微笑みそうになるのを抑えつつ、口を開いた。
「ああうん、ごめん。俺、幸せで死にそう。天理が前言ってた気持ち分かったかも。うん、仕切り直し、だね。俺も言い方悪くてごめんね。改めて。俺を愛してよ天理」
天理は侯輝が微笑し赤くなりながらそう求めてくれる事に心の底から愛情が沸き上がるのを感じると心のままに侯輝を抱き締め口付けた。嬉しそうに応える侯輝が堪らず舌を差し入れると侯輝もそれに応えて舌を絡め、夢中でキスをした。一旦消えかかった温かくも熱い炎が互いの体に灯るのを感じる。
「ありがとう、侯輝、愛してる。続き…いいか?」
「うん!」
侯輝がついに…と思っていると、天理は一度慣らした侯輝の後孔に念のためと指を差し込み確認し始める。
「んっ、ねぇ…天理、もういいんじゃないかなぁ?」(こういうとこ、結局天理は天理なんだよね)
丁寧にする天理にもう不安は無かったがやっぱり焦れったさを感じてしまう。
「それでも辛くないに越したことはないんだよ。俺はな…お前のしんどい所より俺であんあん喘いでるとこだけ見たいんだよ!」
(うわぁ。さっきの大人な天理どこ行っちゃったの?)
だが天理の顔が赤いのを確認すると言葉とは裏腹にいつも通り、照れているだけで自分を大事にしてくれる天理だと侯輝は気づく。
「えへへ」
「何ニヤケてんだよ、すっかり元気になりやがって。まぁ良かった、そのままリラックスしてるんだぞ?」
まだ少し悪態をつきながら天理は侯輝から指を引き抜くと、やっぱり見守るような優しい眼で侯輝を見つめた。天理が下を脱ぎ去り中心が晒されると、侯輝は無意識にごくりと喉を鳴らす。
(俺でちゃんと勃つんだなぁ)「…それ俺に入るのかなぁ?」
「お前だっていつも似たようなのを俺に入れてるだろ?息ちゃんとしてな?…いくぞ?」
天理は少し茶化しながら侯輝がコクりと頷くのを確認すると侯輝の後ろに宛てがいゆっくり腰を沈めていった。圧迫感はあったが丁寧に解されリラックスできていたお陰もあり痛みは無かった。侯輝は少しずつ少しずつ入ってくる質量に思わず眉間に力が入る。
「はっ……っあ……あ!」(天理のが俺の中に入ってきてる…)
「っ…く…は…」
目を瞑って深呼吸を繰り返す。その度に腹の奥に天理のものが存在感を主張しているのを感じて意識してしまう。ゆっくりではあるが確実に深くなる挿入に息が詰まるような感覚を覚えながらもなんとか受け入れた。
「っ…は、全部、入ったぞ。頑張ったな」
「はっ…ふ…う、ん」(熱い…ああ、やっと…天理と一つになれた…!)
天理は侯輝の苦しげな表情を見ているだけで心拍数が上がった。全部が入ったところで一旦止め、髪を撫でる。
「痛むか?辛くないか?」
「ちょっと、だけ。でも嬉しい。一つになれてる、って思うから」
そう素直に言葉にされると天理は愛おしさが溢れかえってつい動き出しそうになるのをぐっとこらえ、 じっとしてしばらく待った。優しく侯輝を抱き寄せると侯輝は頬を擦り寄せ、その仕草が可愛くて、ますます愛おしさが募っていく。
(嬉しい、ずっとこうしていたいな)
侯輝の髪の手触りと鼻腔をくすぐる汗ばんで濃密になった芳香に陶然としていた天理だったが徐々に我慢できなくなってきていた。
「……動いていいか?」
「もちろん、あんあん言わせて♡」
侯輝は包まれている事も嬉しかったが天理に求められる事も嬉しくて調子に乗って答える。
「っ!お、まえ、言ったな?ちょっとは覚悟しろよ?」
天理は侯輝の答えに一瞬固まりつつも少し笑いながら返すとゆっくりと動き出す。最初はその動きに吐息を漏らし反応していただけの侯輝は徐々に快感を拾い始め、声が漏れ始める。
「あっ……んぅっ……ふぁっ、や、そこ、変、だよ」
「ここ、だな。気持ちいいぞ…侯輝」
天理が侯輝の反応を逃さないようじっと見つめながら熱っぽく囁くと侯輝の中がキュッとしまる。その反応がまた可愛いくて、もっと見たくて天理は反応が強い所を狙いながら速度を上げた。
「あっ、あっ!ダメ!なんか来る、来るよぉ天理!」
侯輝は天理の熱さに意識が全て持っていかれそうになり、頭までぼぅっとして何も考えられなくなる。ただただ、天理を感じようとするばかりになった。いつも優しく撫でてくれる手が今は侯輝の体を愛おしそうに浸食し、支配していく。
「はっ…はっ、大丈夫だ、そのまま感じてろ、一緒だから、侯輝」
「うんっ、うんっ!あっ!」
侯輝はその心地好さと幸福感に涙を流した。天理が自分で感じている吐息を、呼ぶ声を、触れる手を、熱い視線を、全身で感じる。天理を抱いている時とはまた違う、翻弄される様なこんな感覚は初めてだ。どんどん自分が自分じゃなくなって行くような気がする。もっと欲しい、ずっとこのままでいたい。そんな事を考えながらも身体中が痺れる程の快楽が駆け巡り限界が近いことを感じる。
「っく、侯輝、愛してるっ、侯輝」
「俺も、俺も!天理!天理!あっ、ああー!!!」
「くっ、ぁぁっ……」
天理の先端が侯輝のいい所を抉るように貫くと侯輝ははひときわ大きな悲鳴を上げ、同時に果てた。