7.心に欲しいもの

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(それにしても人にロマンティックどうこういう癖に今のお誘いはどうなんだ。照れ隠しか?)
侯輝が去って行った後、まだ事の顛末に思考が追い付かずにいた天理はそうどうしようもない突っ込みを入れていたが実際は自室で一人苦悩していた。
そういえば、女は抱いた事があっても、男を抱くのは初めてだった。初めては自分も大変だった事を思い出す。更に言うと最近前だけで達する自信が微妙にない事もあり、侯輝が来る時間まで時間があるのでシミュレーションする事にした。今少し抜いておけば、本番も余裕が出よう。
(普段あいつが俺を抱いてくれてる様にすればいい…よな?)
天理はシャワーを浴びベッドの上に胡座をかき想像する。侯輝でも最初は多分緊張するだろうから、まずはキスから始めて…等、侯輝の最中の顔や呼ぶ声、興奮している体を思い出し、それに対し普段自分がされている様に抱いてみる事を想像すると、自身が興奮してくるのを感じた。下半身から中心を取り出し、ちゃんと勃ち上がる事にひとまず安堵する。
「…ん」
中心に触れてみるとそれは既に硬くなり、先からは透明な液が出ていた。挿入する事を想像する。
(今日初めてのあいつはきついはずだ。最初で苦しむ俺にあいつは丁寧にしてくれたっけな。童貞だったのにがんばって。俺もあいつを大事に抱いて、せめて悪い思い出にはしてやりたくない)
天理は侯輝に挿れるのを想像しながら、きつくゆっくり挿入する事を想定してみる。しばし止めた後、先走りを利用し、竿をこすり始めた。
「ぁ…」
(あいつ俺を抱いてる時は男らしいけど時々可愛いんだよな。抱かれる時はどんな顔すんのかな)
徐々にスピードを上げ手を動かしていく。
「ん……ふっ……、ん…は」
だが確かに興奮は高まっていくのに後ろに物足りなさを感じ始めていた。
(クソ、やっぱり後ろ弄らないと難しいのか。だがしたくない、今日は)
天理は後ろを弄るとどうにも余裕無くぐずぐずになってしまうのを知っていた。今日は抱く側なのだから、この状態でいけるようにしておきたかった。自らを奮い立たせると行為に集中した。
(いっぱい甘やかしてやりたい。あいつの弱いところも全部知りたい。…あぁ……気持ち良い)
侯輝の最中の興奮した様、自分を愛しく呼ぶ声を思い出しながら必死で前だけで達しようとする。抱かれている時の自分はもっと酷い顔をしてるかも知れないが、最中の侯輝の必死な顔は時折可愛いとすら思っていたのだった。
「っ、っぁ!んっ、っ!侯っ!」
無意識に胸に手が伸びる。想像の中の侯輝にする様に弄っていたらなんとか達することができた。
「はぁっはぁっはぁっ……」
天理は荒く息を吐きながら、どうにも疼いて仕方の無い後孔に不安が募ったがひとまずは達せられた事に安堵していた。
なんとか息を整え身支度とベッドを整えると辺りは夕暮れに差し掛かろうとしていた。食事を済ませると少し落ち着かない気分になってきていた。

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