4.And I will always love you.
都の安全な街中に入り俺はがウキウキ気分で恋人繋ぎを要求すると、天理は戸惑いを見せつつも快く応じてくれた。もうデート気分でいると意外な事に天理はあれこれ話しかけているのに上の空、固まった表情で生返事しか返して来ない。俺も浮かれていて他愛のない話しかしていなかったけど、どんな話でもきちんと聞いてくれる天理にしては珍しい事だった。
「天理?天理!」
「あっ!ああなんだ侯輝!聞いてるぞ!」
気付けば手汗も凄かった。必死で隠している様子だったけれど、まさか今更緊張してるの?!と驚くのと同時に本当に恋人として認識してくれる様になったのだと思えば慌てる天理も可愛く見え、俺はもうずっと浮かれるばかりだった。
天理は遺跡で魔力切れをおこしていた事を思いだし、俺も気分を落ち着かせようとと露店近くのベンチで休憩がてらお茶をする。死ぬまで俺への気持ちに蓋をしようと決意していたらしい天理は今日突然俺と恋仲になった事にまだ戸惑っているらしかった。だから夜のお誘いももう少し段階を踏もう?と提案してみれば、約束はちゃんと果たす!と生真面目に返されてしまった。天理らしい返しに嬉しく思うも無理してないかと心配になって大丈夫?と尋ねる。
「お前でそういう事をするのを想像した事が無かった訳じゃない……」
恥ずかしそうにしつつ返されてしまえば、これまでの天理の思いの深さが知れてまた嬉しくなると同時に期待されているのだと思えば俄然やる気になった。正直爆発しそうだった。もう何もかも可愛くて可愛くて抱きしめたい!と思った瞬間には抱きしめていてまた天理を困らせた。
ただ俺が幼少の頃より天理一筋であったが故に俺が未だ童貞であった事を伝えると、後ろははじめてだという天理は不安そうな雰囲気を漂わせ始めた。その気持ちは分かる。俺だってはじめての相手が童貞だったら不安になるから。想いが通じただけでも十分だったから急ぐつもりはなかったのに折角その気になってくれていた天理と早く一つになりたいという気持ちに嘘もつけず、俺はとても大人でスマートとは言えない調子で必死になって説得していた。
「大丈夫、大丈夫!ちゃんと知識はあるから、安心して!俺頑張るからね!」
「お、おう……」
「優しくするよ!絶対に痛くしないから!多分……ダメだったらすぐにやめるし、それにっ……」
「……」
俺を慮ってか、押され気味に辛うじて頷いてくれている天理を前に、これならまだ未経験者では無い天理に俺が抱いて貰った方がいいじゃ?と頭をよぎる。そうして不安になっていれば頭にぽんと手を置かれていた。え?と思い天理を見れば小さく苦笑しつつも笑っていて、俺はその優しい笑顔に勇気づけられたんだ。
「ふふっ、じゃあ一緒に頑張るか」
「!うんっ!そろそろ行こっか?」
こうして天理をまた好きになる。手を伸ばせば今度は微笑みながら自然に握り返してくれて、恋人としてまた一つ進めた事を実感しながら俺は手をしっかりと繋ぎ直し街の中を歩いていった。
ギルドにたどり着くとパメラに完了報告をし、今回の天理のォウベイ遺跡探索護衛報酬を貰って今回の仕事は終了だ。いつもなら、天理の都合が良ければ天理と食事して解散だったけれど今日は違うのだと思えばまた嬉しさが込み上げた。ォウベイ遺跡の謎の遺物部屋については天理からまだ外部に秘密にして欲しいから一定期間守秘義務契約を結んで欲しいとお願いされた。ただでいいよ!と返事をすれば生真面目な天理に却下され、じゃあと毎週天理に食事を奢って貰うで天理を納得させた。ちなみに毎週お食事デートの約束を取り付けたって事なんだけど天理はきっと分かっていないんだろな。
「えへへ……」
「ちょっと天理、侯輝のやつ何があったんだい?」
「え、ええと……」
俺のあまりの浮かれっぷりにパルマから突っ込まれ返事を戸惑う天理の代わりに俺は長年の念願が遂に叶ったのだと宣言する。からかい半分呆れ半分でも温かく見守っていてくれていたギルドの皆は盛大に祝福してくれた。俺は天理の肩を抱き寄せ、その祝福に「ありがとー!!」と全力で応える。そして一斉に冷やかされ、おそらく自分達の恋路がギルドの全員に周知されていたという事実をたった今知り、一見平然としている様でショックと羞恥で固まる天理を庇いつつギルドを後にした。
「皆に祝って貰えて良かったね!」
「っ、そうだな!」
できるだけ気を病ませない様に笑顔で話しかけるも涙目で半ば自棄糞気味に返す天理に思っていた以上に照れ屋だったのだと認識を改にした。
それから夕暮れの商店街で仲良く食材を買って天理の家へ。疲れているであろう天理に夕御飯の支度は買って出て、今夜♡の為に精の付くもの作ってご馳走する。俺の作った料理はいつも美味しそうに食べてくれる天理だけれど、今日はいつもより頬を緩ませ嬉しそうにしてくれるのを見ていると天理も恋仲になってはじめての食事を楽しく思ってくれていると分かってそれがとても嬉しかった。
「侯輝、先風呂に入ってくれ」
「天理、先お風呂入っていい?」
そして楽しい食事が終わり、これからはじめての甘い夜をできるだけ緊張しない様にスマートに始めるのだとさりげなく言った言葉は天理とまるかぶりで、思わず二人で顔を見合わせ笑いあった。
先にお風呂を貰って浴室に入る。これから天理と愛し合うんだと考えると今からドキドキしながら身体を念入りに洗う。風呂から出ると天理はノートと真剣ににらめっこしていた。出た事を告げると漸く気づき、慌ててノートを閉じると風呂上がりの俺を見て照れた様に視線を反らす。
「その、長いからな。準備で」
「うん、待ってるね♡」
これから俺を受け入れてくれる事を言外に宣言してくれた天理に、返事のついでに頬へキスすれば足早に浴室に逃げていく天理が可愛くて堪らない。
待っている間どうしようかと、先程天理が見ていたノートを見る。今日の遺跡のレポートでも纏めていたのだろうか?しかし表紙にはマニュアルとしか書かれておらず、何についての記述なのかはわからなかった。几帳面な天理にしては曖昧な題字に疑問を持ちペラリと捲るとそこには男同士の交愛について、その心得、準備、実際の手順が事細かに記されていた。魔術学園の図書館にはこういった手合いの蔵書もあるらしく丁寧に引用元まで記載されている。
「こっこれはっ……!天理っ天理っ……!♡」
ゲイセックスハウツー本の写本とも言えるそのノートには、天理の几帳面な文字で学術的な単語を用いた手順が丁寧に記載されていた。例え結ばれなくとも俺との交愛を本気で考えてくれていた事が分かる。そして受け入れる側の箇所にマーカーや書き込みが多く存在している事にまた天理の愛の深さを知り愛おしさが増した。それはとても天理らしく真摯で真面目で卑猥さなどどこにも無い。けれど俺を想って記してくれたのだと思うとどんな卑猥な本よりもエロシズムに溢れ、込み上げた萌えを抑えきれずにノートを抱き締めてベッドの上で悶えた。このままでは、雰囲気台無しで天理に呆れられてしまうだろう。俺は天理の気持ちに応えないとならないのだ!そう思った俺はなんとか思考を切り替え、これからの事へ集中する事にした。
「またせたな」
ベッドに座り、心の中で心頭滅却心頭滅却と唱えながらソワソワと待つと、いつもよりいくらか堅い声の声が聞こえた。視線を上げれば薄手のシャツとスウェットを着て水差しとコップを手にした天理が照れと緊張を滲ませた表情を浮かべ、お前も飲むか?とばかりに構えて立っていた。喉の乾きは風呂上がり故か緊張故か、天理も同じ気持ちになっていたのだろうと思うと俺は嬉しくなり自然と微笑んでいた。
「んーん。ふふっ、なんか照れるね♡俺にもちょーだい♪」
「ん」
水を要求すると天理は強張らせていた表情を少し緩め、コップに水を注いでくれた。コップ受けとり一気に飲み干しながら、どう始めようかと思考する。
「……俺にももう一口くれ」
そんな俺をじっと見ていた天理が何か思う様に一拍置いた後、俺の持つコップを指差す。それは何気ない仕草だったけれど、それはほのかに色香を漂わせているように感じた。そんな天理にピンとひらめいた俺はダメ元で言ってみた。
「口移ししよっか?♡」
「……くれ」
ふざけるなとか言われちゃうかな?と構えていれば了承の回答に内心驚く。俺のコップに水を注ぎながら一見素っ気なく返事を返しつつも、ほんのり照れを滲ませて隣に座る天理に俺は盛大に悶えた。
「!いいの?」
「その、つもりで言ってるしな……」
驚きのあまり再確認してしまう俺に天理は水差しを置くと横に座り目線を彷徨わせほんのり恥じらいながら俺の方に体を傾けた。天理も雰囲気を作ろうとしてくれている!俺はそんな天理が愛しくて堪らなくなった。一口水を含むとると肩を抱き寄せ、唇を重ねると水を与えた。
「んっ……ふっ……」
俺の口移しを素直に受けとり、コクリと喉を動かす天理にゾクリとした感覚を覚える。そのまま深く口付け、重ねた手に力が籠ると、想いも重なる様な感覚を永遠に感じていたいと思った。唇を離せば天理は愛おしそうに俺を見上げ、瞳を薄く潤ませる。飲み損ねた水が口の端から零れ、湯上がりの肌はほんのり上気し艶かしい色気が漂っていた。
そんな天理にゴクリと喉を鳴らせば、天理は艶かしい雰囲気のまま小さく微笑んでいて、恥ずかしそうな空気を纏っている癖に誘蛾灯のように俺を惹き付けてやまない。誘われる様にその体をそっと押せば抵抗無くベッドに沈んだ。
「天理……」
「……ん」
物欲しそうに見つめる天理に俺は誘われるように覆い被さり、柔らかな唇に再びキスをする。ちゅと重ねては離れを繰り返しながらベッドの上をにじり動き中心へとたどり着くと深く舌を絡めた。天理の腕が俺の肩に絡まると、求められている事が嬉しくて呼吸するのも忘れてその唇を貪ってしまった。
「ん……っ、はっ……はっ……」
「はぁ……♡」
背中を叩かれて我に返り唇を離せば、顔を朱く染め呼吸を乱し涎まみれになった天理が瞳を潤ませながら俺を見上げていて、その姿に思わずうっとりと吐息を溢す。
「あ、ごめんねっ」
「いい……嬉しい、ぞ」
夢中になってしまっていた事を慌てて謝れば、天理は照れて視線を反らすも嬉しそうに小さく笑っていて俺はもうそれだけで天にも昇る心地になった。
そしてもう一度触れるだけのキスをすると唇を下へとずらしていく。無防備に差し出された白い首筋を唇で辿ればドクドクと脈打つ様がダイレクトに伝わると天理の緊張と期待が伝わってくる様で、俺の緊張も高まっていった。同時に服の裾から脇腹に手を這わすと、元々擽りに弱い天理は容易に体を跳ねさせた。
「っ……!」
「えへへ、やっぱり敏感だね」
「う……っ、るさい……」
擽ったそうに体を捩らせる天理にクスクスとからかう様に笑うと拗ねた様な視線と目が合った。小さな頃から戯れで交わされていたそのスキンシップは俺が天理に恋心を覚えてからは別の意味合いを秘めて触れていて、曖昧な関係の間天理を困らせていた。しかしもう隠す必要は無いのだ。
「でも、俺で感じてくれて嬉しいな」
「……っ」
これまで困らせていた謝罪と、受け入れてくれた感謝と、愛おしくその全てが欲しいのだという気持ちを込めて触れれば、天理は恥ずかしそうに顔を逸らし頰を染め息を詰めた。
シャツを捲し上げそのまま脱がせて半身を露にさせる。日に焼けにくい真白の肌は程よく鍛えられたしなやかな筋肉の曲線を描き、その肌触りは手に吸い付く様に滑らかでそれだけで興奮に心臓が高鳴った。
「はっ……ん……」
確かめるように手でなぞれば、天理はその度に甘い吐息を漏らす。微かに震えて鳥肌を立て、困惑の表情で視線をさ迷わせているが不快では無さそうな事に安堵する。
俺の一挙手一投足に翻弄されている天理が可愛くて仕方ない。もっともっとその姿を見たくて堪らなくなり手が勝手に動く。腰から脇へと撫で上げてそのまま胸にたどり着くと、胸の小さな先端がピンと立ち上がっていた。その慎ましやかでありながら確かにその存在を主張する姿がまるで天理の想いそのものの様で愛おしく、俺はその誘惑に逆らう術など持ち得なかった。
「んっ!?……っ」
「天理、ココ感じるんだね♡」
「これは、っ……?」
そっとひと撫ですれば天理は驚いた様な声を発し、目を瞑り身体を硬直させた。その反応が嬉しくて声をかければ、慌てて目を開けて俺を見るとその瞳には強い動揺が映り耳まで赤くなっている。かつて俺が触れるまで自分が擽りに弱い事も知らなかった天理だから、これも未知の感覚なのかもしれない。天理自身も知らない俺だけが知るその反応に、俺の興奮はどんどん高まっていった。
欲望のまま目の前の突起にむしゃぶりつき指で摘まみながら先端を舌で愛撫する。時折歯をたて甘噛みすると天理の体が大きく跳ねた。
「ん……♡は……、くっ……、んっ……♡」
困惑し堪える様な声に徐々に含まれていく甘い声音は俺の髄を麻薬の様に刺激する。俺の興奮は高まり、その手と舌を止める事はできなかった。
「はぁ……♡ん……天理かわいい♡」
「~~っ、も、そこばっか、すんなっ!」
時折快楽を逃がす様に首を振り身を捩りながらも懸命に堪える姿をもっと見たくて夢中になってしゃぶり愛でていたら、泣きそうな顔の天理に必死に頭を押さえられ引き剥がされてしまった。
「えー?気持ちよさそうだよ?俺天理にいっぱい気持ち良くなって欲しいよ」
「~~~っ!」
天理は小刻みに震え、涙目で俺をキッと睨み付ける。俺はそのかわいらしい仕草に愛しさがこみ上げ顔を緩ませながら甘える様にダメ?とお願いすると天理は怯んだ様な表情を見せたあと俺のシャツをグイと引っ張った。
「っ、俺ばっか恥ず……お前も脱げっ」
「いいよ!♡」
状況を変える為の天理なりの提案だったのだろうと瞬時に理解した俺はシャツを脱ぎ捨て、ついでに下も何もかも脱ぎ捨てて一糸纏わぬ自慢の体を晒す。
「ぇ、なっ……」
天理の痴態ですっかり興奮しきっていた俺の剛直は既に腹に付くほど直下立っていた。もうこんなだよ♡とばかりに見せつければ、天理は恥ずかしそうに目を反らし、戸惑うその顔にはそこまでしろとは言ってないと書いてあるかのようだった。しかしそれが更に羞恥心を煽ったのか天理の雄がズボンの下からでも分かる程張り詰めているのが見えた。
「天理も脱がしちゃうね♡」
「ぅ……」
ズボンに手をかけると天理は顔をカッと赤らめ一瞬その手を止めようとしたが、すぐに気が変わったのか覚悟を決めた様に目を瞑り両手をベッドにつくと腰を少し浮かして脱がせやすい体勢を取ってくれた。
「えへへ♡わぁ……♡天理のもこんなになってるね♡」
そんな姿がいじらしくて思わず笑みが溢れる。そしてそのまま下着ごとズボンを剥ぎ取ると、既に張り詰めていた雄がぶるんと飛び出した。その雄は俺のものとはまた違った逞しさに造形の美しさを備えていて思わず見惚れてしまう。
「あんまり、見るな……」
「だって天理、体もココも全部綺麗なんだもん」
「ぐ……おま、よくそんなこっ恥ずかしい……」
恥ずかしそうに顔を反らす天理の腰を引き寄せ、まじまじと裸体を見下ろす。天理は自身の美しさに自覚が薄い。自身の夢と仕事の為とは言え、きちんと努力してバランス良く整えられた体は美しいとしか言いようがないのに。その体に見惚れていると天理は恥ずかしそうに顔を反らしシーツを握りしめていた。健気に堪える体の中心では天理の欲望が期待をはらんで反り返り、その先端からは透明な蜜が滲んでいた。あの日、触れさせて貰えなかった天理の芯の部分。
「だって本当なんだもん。……ね、触っていいよね?」
「……好きで、いてくれるんだろう……?」
最終確認の様に首を捻って訪ねると、天理は照れながらも小さく頷くと微笑んで承諾してくれた。
「うん!大好き!」
恐る恐るその美しい雄に触れると、天理はピクリと震え息を飲んだ。滲む蜜を掬いそのままゆっくりと手を動かすと段々と質量を増していく。快感に堪える様に形のいい眉を潜め、漏らす吐息が甘くなり始めた天理に嬉しくなって、もっともっと感じて欲しいと思う。
「っ、は、俺も、やる……」
「うん♡やってやって♡」
天理は半身を起こすと俺の剛直に優しく触れてくれた。先端をゆるりと撫でながら遠慮がちに剛直を扱いていく。俺は堪らなくなって思わず吐息を漏らすと、天理は安心したかの様な顔を見せた。
「あっ!天理、気持ちいいよ♡」
「ん……俺も、だ……」
素直な気持ちを伝えれば天理は嬉しそうに微笑むとその手を早めた。慈しむ様に優しく、それでいて気持ちよい反応を示した箇所を重点的に責める丁寧な愛撫は天理の実直さと繊細さが現れていて、俺を更に昂ぶらせた。負けじと手を動かせば、天理も甘い吐息を溢す。
「っ、く……んっ……ふっ……」
「はぁ……♡気持ちいい♡天理、声我慢しないで?ね?♡」
堪えるような天理の吐息もぞくりと腰に響いて良いけれど、もっと聞きたい、もっと知りたい。恥ずかしそうに困った様な表情を浮かべる天理に、ならばと腰を寄せて耳元に近づくとこちらの喘ぎ声を聞かせてみた。
「あ♡気持ちい♡天理♡」
「っあ……♡ぐ……、っく……」
その瞬間触れていた天理の雄がビクっと震え、一段高く甘い声を漏らした。内心ガッツポーズしながら握る手を強くし耳元で声を聞かせ続ける。
「可愛い声♡今ココもビクッってしたね♡もっと聞かせて♡」
「可愛ぃっ、く……!んっ……♡ぁっ……」
声を聴かせる度に震え、上げようとした抗議の声も甘い声に変わってしまう天理が可愛くて仕方ない。天理は俺の声も好きなんだ!そう実感した途端、俺も興奮でゾクゾクとした快感が背中を駆け抜けていた。もっと気持ちよくしてあげたい。そしてもっと色香にまみれた可愛い声が聞きたい。そんな欲が膨れ上がって止まらない。真っ赤に染まった耳が美味しそうに見えて、気づけばペロリと嘗めていた。
「ぃぁっ!?ば……!それやめっあっ……♡ん"んっ……!」
すると天理は大きく体を跳ねさせ、甘い悲鳴を溢した。それまで懸命に俺の剛直をすいていた手から力が抜け、逃げる様に背を仰け反らせる。俺は仰け反る天理を追いかける様に迫り押し倒すとそのまま覆い被さっていた。
「ぅわっ!」
「えへへ♡天理可愛い♡可愛いよう♡」
「っ!!」
俺はもう興奮が収まらず思わず本能のまま天理の雄に自分の剛直を押し付けていた。
俺は互いの熱い雄が直接触れ合う感覚にビクりと震え息を飲む。もっと深く触れ合いたくて、そのまま天理の膝裏を掴み割り開かせれば、天理は真っ赤になって抵抗しようとした。
「なっ!?待てっ……!」
俺はもう最高潮に興奮してしまっていて天理の抵抗も構わず腰を深く押し付け剛直を天理の雄に滑らせた。互いの鬼頭から裏筋を前走りで滑らせると、快感が稲妻の様に背筋から脳天まで駆け抜け、理性が焼き切れる様な気がした。
「っ……!?あっ……♡くぅっ……!」
「気持ちぃっ!あぁっ♡ぅん……♡」
天理の手を剛直へと導き互いの雄を束ねさせる。そしてそのまま腰を動かし続けると、グチュグチュと卑猥な音を鳴らしながら互いの裏筋が擦れ合い、その快感は想像を越えていた。その強い快楽に俺はもう夢中で腰を振り、剛直から伝わる強烈な快感に酔いしれる。ぎゅうと眼を瞑り快楽に堪える天理に近づいて喘ぎまじりに「可愛い♡」と囁けば、天理の雄がビクリと震え更に蜜を溢れさせた。その反応が嬉しくて俺はまた耳をしゃぶり「かわいい♡」と繰り返しながら腰を動かす。
「っ!♡それ、やめっ……!あっ♡ん"んっ……♡」
「ぅあ"っ♡はぁ、っ♡天理も、イキそ?♡」
「んっんっ、はっ、ぁっ……♡」
コクコクと頷き、それでもその手を離さずに必死に剛直を扱いてくれる天理が健気で愛しくてたまらない。興奮し腰を強く打ちけるとその動きに目を見開いた天理と目が合う。快楽に染まりつつも切なそうに堪える表情は大人の男の色香を纏い、甘い吐息を漏らす唇は熟れた果実の様だった。薄く開いた唇に吸い込まれる様に口付け舌を絡めた瞬間、愛撫された様な痺れが脊髄から剛直への駆け抜ける。共に雄がずくりと跳ねるのを感じた直後俺達は欲望を解き放っていた。
「んっ!♡く、ぁぁ……っ!♡♡」
「あっ!あっ♡あ"あっ!♡♡」
天理の腹とその手に混ざりあった白濁が散らばる。片手で支えていた天理の足を解放すれば、だらりとその体はシーツに沈んだ。
「はぁ……はぁ……」
「あ……はっ……んっ……」
天理は呼吸を整えながら、もうどちらの物とも分からないほど混じり合った白濁がどろりと手から溢れていくのをやや気だるい表情で呆然と眺めていた。天理の腹の上に散らばる白濁が美しいものを汚した様でゾクゾクとした背徳感が沸き上がる。同時に少しだけ冷静になっていると興奮して無理やり進めてしまっていないか心配になった。快楽に流されているだけで心の中ではこの先は嫌がられていたらどうしよう。タオルでそっとその白濁を拭っていると天理がジト目で俺を見上げる。
「優しくするって言ってたよな……?」
「ご、ごめんねっ」
やっぱり怒ってた?!その反応に俺は慌ててタオルで手を拭いながら、もうこれ以上ないくらいに優しくするよと必死に訴えた。すると天理は気まずそうに困った様子で慌てて身を起こす。
「いや、すまんそこまで謝らせるつもりは無かった。その、お前があんなに欲しがってくれるとは思ってなくてだな、驚いて、その……ちょっと拗ねてみたというか……」
段々小さくなる声に照れが滲み出す。もしかして恥ずかしかったのを誤魔化してたの?と気づいて嫌われていた訳じゃなかった!と俺はだらしなく顔がにやける。そんな俺を見た天理は、またも呆れた様な表情を見せた。
「えへへ…♡」
「お前な……」
「だって嬉しいんだもん。……ね、天理……後ろ、解せばいい、のかな?」
俺は今度こそ優しくするんだと決意してドキドキしながら天理を見つめる。
天理は呆れつつも、少し恥ずかしそうにしている様だった。俺はその反応にますますドキドキして思わず笑顔になる。
「おう、頼む……少し、解しては、あるから」
「うん、ありがとっ。俺頑張るねっ」
そういえば風呂に入る前に準備をすると言っていた事を思い出す。俺と交わる為に準備してくれたのだと思うと、もうそれだけで嬉しくて舞い上がってしまう。
天理はそう告げると、また体を後ろに倒し恥ずかしそうにしながら脚をそろりと開いてくれた。放ったばかりの雄はゆるりと立ち上がり、その欲が途絶えていない事を示していた。そしてその奥にはまだ誰も受け入れた事が無いという後孔がヒクりと動き、卑猥でありながらも慎ましやかに俺の興奮を誘っていた。
俺はローションを手に取りたっぷりと手を濡らす。それを見た天理がふーと息を吐いて力を抜いた事を確認するとドキドキしながらその秘所にそっと触れた。
「入れる、ね」
「ん…………。っ……」
「あっ痛かった?」
「いや、少し冷たかっただけだ」
「ごめんねっ温めなきゃだよね」
「あ、あぁ……気にするな」
焦って謝ると、天理は安心させる様に微笑んでくれた。俺はホッとしつつ落ち着けと自分に言い聞かせながら、ゆっくりと人差し指を秘所に埋め込む。準備していてくれていたというそこは柔らかくすんなりと進める事ができた。天理は痛がる様子もなく恥ずかしそうにしながらも力を抜く事に集中してくれていたので、俺はそのまま指を根本まで埋め込む。
「は……ん……ぅ……」
「……痛い?」
「いや、大丈夫、だ」
「良かったぁ。いいとこ探してみるね」
中は柔らかくて温かくてとても心地良い。ここに俺のモノを埋め込んだらどんなに気持ちが良いのだろうと想像するだけで興奮で息が荒くなりつつ指を動かすと、天理は小さく吐息を漏らした。その反応に嬉しくなりながら更にローションを足し指を増やす。そして聞き知った知識を動員して前立腺を探してみる。確かお腹側に胡桃大のしこりがあるとか言うけどどれだろう。
「っ……、は……」
探る様に指を曲げたり伸ばしたりして指を動かしてみるもそれらしいものが有るようで無いようで中々確証が得られない。天理はもぞもぞと耐える様にシーツを掴んでいた。その様子に俺は徐々に心配になってきてしまう。
「ごめんね、辛かったら言ってね」
「ん、ああ……大丈、夫っ!?」
気遣ってそう言うと、天理が嬉しそうに少し微笑もうとした瞬間、中がきゅんと締まった気がした。天理は慌ただしく自身の反応に自分で驚いている様で、俺はその顔を見つめながら確信する。
「!……ココ?」
もう一度確かめる様に指を動かしてみると中がまたキュッと締まった。
「ん"っ!……ふ、ぅ……」
「気持ちいい?天理」
「わから……んんっ!♡」
天理は顔を真っ赤に染めながら慌てて口を手で押さえる。やっと見つけた!その反応が可愛くて、もっと気持ちよくしてあげたいと指を曲げてしこりを優しく撫で押すと、今度はビクンっと体が跳ね上がった。
「う"……!♡んん"……!ふぅぅ……!♡」
「凄い、凄いよ♡天理♡」
それからそのしこりを繰り返し優しく押して刺激すると天理の体はビクビクと跳ねて震えた。萎えていた雄は再びはっきりと持ち上がり、跳ねる体に合わせてふるふると揺れている。指を増やしまた繰り返せば、天理の押さえた口からは快楽に染まった甘い声が漏れ続ける。瞳は涙で滲み、火照った体からしっとりとした汗が滲み出れば、それはまるで媚薬の様に俺の興奮を掻き立てた。俺の剛直は痛い程張り詰めて、早く天理の中に入りたくて切なくて仕方ない。俺は天理に優しくしたい一心でマッサージを続けていたけれども我慢しきれずに手を止めて聞いてしまっていた。
「はっ……はっ……あの、天理、そろそろ、いい、かな……?」
呼吸を乱しながら問う。天理は顔を上げて俺を見ると真っ赤にして乱れた顔で瞬時、驚いた様に目を開いた後、愛おしそうに微笑んだ。
「いい、ぞ。ありがとな、侯輝。お前の……好きにしていい」
その笑みは慈愛に溢れ、俺を受け入れようとしてくれている意志が嬉しくて愛しくて仕方なかった。
「っ!!天理っ!」
俺は歓喜で打ち震えキスをしようと身を乗り出すと髪を撫でながら唇を迎えてくれる。髪をすく天理の手はいつだって心地好くて欲と興奮だけに満ちていた俺の心も体も優しく解していく。俺はその優しいキスに酔いしれながら天理から慎重に指を引き抜く。少しだけ落ち着いた頭で枕を天理の腰の下に敷き、ローションを直下立つ剛直にたっぷりと塗りつけた。
姿勢を整え改めて天理と向き合う。今から始まる事にドキドキとして動きが鈍くなりながらも何とか体勢を整え、いよいよ天理の後孔へ俺の剛直をあてがう。それはまるでキスするみたいにぷちゅりと可愛い音を立てて触れた瞬間、割り開いた腰がピクリと動き、俺はその感触に思わず腰を引いてしまいそうだった。
「ん、行くね……?」
「あぁ……来てくれ、侯輝」
「うん♡」
緊張の色を見せつつも微笑んでくれた天理に、俺は満面の笑みで頷くとゆっくりと腰を押し進めた。ソコは熱く狭く、俺の剛直に強く絡み付き、その感触と何より天理と一つになっていくという感動に俺の心臓はバクバクと鳴る。天理は眉を潜め目を閉じて短く息を吸って吐くを繰り返し、懸命に俺の剛直を受け入れようとしてくれていた。慎ましやかなソコに決して控えめとは言えない剛直が埋め込まれていく様はとても淫らで、ついに天理と一つになれるのだと俺は興奮と感動に目が離せない。
「……っ!……!……!」
「っ!天、理?!」
俺が恍惚とした気分になっていると、必死で呼吸を整え受け入れようとしてくれていた天理が、不意にパニックを起こしたように呼吸が儘ならない様子を見せ始めた。強ばる天理の体からは汗が吹き出し、中が激しく蠢き俺の剛直をギチギチと締め上げてくる。その締め付けに堪えていると苦しそうな天理が助けを求める様に手を伸ばそうとしていた。俺は安心させたい一心でその手を取ると指を絡めてしっかりと握った。そしてもう片方の手でどうか俺を信じて、と抱き締める。
「大丈夫、大丈夫だからね天理」
そうしていると天理の全身からフッと強ばっていた力が和らぐと呼吸を取り戻し俺にその身を預けてきた。俺の剛直をきつく締め付けていた後孔からも力が抜け、そのまま最奥まで俺の剛直がピタリと埋め込まれた。
「全部、入ったよ、天理……!」
「はーっ……はーっ……ありがと……な……侯輝……」
天理は辛そうな顔で額に汗を流し、まだ息を乱しながらも嬉しそうに微笑んでくれた。俺は一つになれた喜びと天理の微笑みに感極まりながら思わず涙が溢れてしまう。
「ううん、大丈夫だよ。俺の方こそありがと、ありがとね」
そしてその汗の滲む額に感謝の想いを込めてキスを落とす。天理は震える手で俺の頭を引き寄せると指で涙を拭いながら口付けをくれた。俺はまた感極まって泣きそうになりながらそのキスに応える。感動と、剛直を天理の体に慣れさせるまで我慢だという欲求の狭間で貪るように舌を絡ませていると、天理は余裕が出てきたのか微笑しながらキスをしていた。その笑みがとても綺麗で、俺はまた胸が高鳴る。
俺達はしばし言葉もなく微笑み合い、ただ深く絡めた口付けだけで想いを交わしていた。
大好きだよ。愛してる。と。
やがて名残惜しく唇が離れる頃にはすっかりお互いの息が上がっていた。天理の雄は俺達の腹の間で再び直下立ち、俺の剛直は暴れだしたい鼓動を天理のナカに響かせて伝えていた。交差する互いの瞳は同じ欲を灯していて、俺達は同時に小さく笑い合う。
「動く、ね」
「おぅ」
俺の言葉に天理は俺の首に腕を回し照れを滲ませながら小さく笑って答えた。俺はその体をしっかり支え、優しく腰を動かすと天理は堪える様に眉を潜めつつも、ほんのり甘い息を吐く。天理のナカは熱く絡み付き、その一振だけでもっていかれそうな程気持ち良くて俺は自然と喘いでいた。
「ぁぁ……♡天理、大丈夫?」
「は……ん……大丈夫だ、好きに動いていいんだぞ?」
天理は頬を染め俺を気遣う様に微笑んでくれているけどまだ強い快楽には遠いらしい。天理にも気持ち良くなって欲しいのに。剛直には慣れ痛みは無さそうなので先程見つけたいいところを探る様な腰の動きに変えてみる。すると天理の堪え忍ぶ吐息に色香が滲み初め、ある一点を付くと腰がビクリと跳ねて声を上げた。
「ぁっ……!」
「!ここ?」
確かめる様に再度動かせばその度に堪え忍ぶ吐息に小さな嬌声が混じる。声を上げるのが恥ずかしいのか、歯を食い縛っていたが漏れる音はどんどん甘さを帯びた。その声はやはり俺の芯を痺れさせまたも俺の興奮を煽り出す。天理の甘い声は麻薬の様でもっと聞きたいと俺を狂わせた。やがて腰の動きを強くしていくと天理は堪えきれない声を塞ごうとした。もっと聞きたい!と俺はその手を絡め取ってシーツに縫い付けた。
「離っ……」
「お願い天理、声、聞かせて?」
頬を染め涙目で抵抗する天理に更に興奮を覚えながら、甘くねだり懇願する。天理はきゅんと俺の剛直を締め付けるとすぐに諦めた様に抵抗をやめた。
「ぅぅ……」
「えへへ……♡」
せめてもの抵抗なのか卑怯だぞと言わんばかりの拗ねた瞳で睨まれたが、俺はそんな天理が可愛いばかりで思わず笑顔になってしまう。天理は今度もまた呆れた態度を取りつつも瞳の奥には愛しそうな感情が見え隠れしていて、その反応も俺への愛を実感してまた俺は幸せの笑みを深めた。天理は観念した様な素振りを見せながらも愛おしそうに俺の肩に手を回してキスをするとそれが再開の合図となった。
「ん"っ……♡あ……♡ぐ……!ぁぁっ……♡」
「はぁっ……♡可愛い♡ああ……♡きもちいよ♡天理♡」
いいところを抉るように注挿を繰り返す。天理は中々堪え癖は抜けないのか歯を食い縛り中々嬌声を上げられない様だったがそれでもその甘く漏れる声は俺の剛直を更に張り詰めさせる。俺が堪らなくてあられもなく雄の声を上げているとナカが一段ときゅんと締まって天理の声も一段上がり、徐々に心地好いテノールの声が雌の様な色を帯びると興奮は留まる事を知らなかった。
やがて締め付けが強まりこれまで感じたことの無い絶頂が近づいているのを直感していると、天理が身体を揺すられ嬌声を上げ、快楽に浸かりながらもどこか恐れを帯びた瞳で片手をさ迷わせていた。
「ぁあ♡ぁあ♡侯っ……♡」
俺がその手を捕まえて大丈夫一緒だよとしっかりと絡めると天理は快楽に浸かりながらも安心した様に微かに微笑んだ。そして剛直の締め付けは極まっていく。心も体も満たされて俺は初めての欲を加減もできずにその愛おしい人へぶつけていた。
「っ、ぁぁ♡侯輝♡侯輝♡侯ぅっ♡ああっ…………!!♡♡」
「天理っ♡天理っ♡天理っ♡あ!あ"ああっっ……!!♡♡」
天理は俺の名を呼び剛直を強く強く締め付けた後、ビクリと大きく体を跳ねさせると腹の間の雄から白濁を散らせた。俺も導かれる様に天理の名を呼び叫ぶ様に喘ぐとびくびくと痙攣するその後孔へ剛直をズンと押し付けて精を放つ。
「ぁっ……♡ぁ……♡」
放つ度にナカは俺の精を絞り出す様に蠢き、天理はまた小さく達していた。そして涙を流しながら震え、握りしめた手をきつく握りしめてその快楽に耐えている。その姿は艶かしくも愛しくてまた恋情を焦がし、俺はその体を引き寄せて起こすと汗ばむ肌を合わせる様に抱き締めた。
やっと手に入れたその心と体は震え息をまだ乱しながらもほんのり甘える様にすり寄ってくれた。
「天理……大丈夫?」
「……ん、平気だ……」
「良かったぁ♡……えへへ♡」
体に熱は残しつつも呼吸は落ち着いた天理の頬を嬉しい気持ち全開で頬擦りし、伝う涙を啜り、キスを降らせる。天理は少し冷静さを取り戻したらしく苦笑しやや恥ずかしそうにしながらも、されるがままになっていた。そして背に腕を回すときゅっと俺を抱き締める。もう遠慮無く好きだとアピールしても否定される事は無く、返しても貰えるのだと思えば嬉しさはひとしおだった。
「……侯輝、俺、幸せだ」
「俺もだよ、天理」
「はは……そうか……」
泣きそうな顔の天理に俺も泣きそうになりつつ笑って応える。幸せそうに微笑む天理に触れるだけのキスをした。幸せで幸せで天理も同じ気持ちなのが嬉しくて俺達はそれから少しの間お互い抱き締め合った。
「あ!」
「ん、ぅわ、どうした?」
しばらくはふわふわと幸せ気分に浸っていたけれど天理の中に埋め込んだままの剛直が再び力を持ち初め、俺は慌てて体をまた倒すと腰を引き天理の中から抜こうとした。
だが天理の脚が俺の腰を絡めて俺を引き止める。まるで行かないでとばかりの行為に俺は鼓動が早くなった。
「天理?ごめんねっ中に出しちゃったから早く綺麗にしないと……」
「あ……?そう、だな……っ……」
「ぅ……!」
天理自身無意識の行動だったらしく天理は顔を背け真っ赤にさせながら脚をそろそろと開いた。その愛らしい姿に俺は剛直が完全に復活してしまうのを自覚していた。天理のナカは気持ち良くて永遠に繋がっていたいくらいだった。しかし羞恥に震えながら脚を開いて待ってくれている天理の為にも名残しいが出ていかないとならない……のに。
「ど、どうした?侯輝。あ、ほら、まだ足りないなら口で頑張るぞ?」
「え、へへ……そう、だよね。お願いしようかな……」
俺が未練たらしくまごついていると俺の剛直がすっかり復活している事をその身でしっかり感じ取っているのか、天理はこちらを向いて茶化す様に笑った。そうだ、初夜だと言うのに頑張ってくれた天理の為にもこの体から出ていかないとならない。恥ずかしがりの天理が口でやってくれるなんて魅力的な提案だってしてくれてるんだから。
俺は未練残る自分に言い聞かせると天理の体からゆっくりと抜け出していった。
「……っ」
天理の中はまだ敏感らしく微かに反応し、天理が無言で声を堪えているのを見て取りながらもう少しでカリ首が後孔を抜けようとした時だった。
「ぁっ……♡」
「!」
いいところに当たり堪えきれなかったのか天理は小さく甘い声を上げ、そのまま体をピクリと跳ねさせると俺の腕を強く握った。その反応につい先程までの天理の痴態が様々と甦り欲は完全復活を遂げる。
だめだ!俺の中で警鐘が鳴る。だが俺の中の強欲は警鐘を無視して再び最奥へと貫いてしまっていた。
「あっ!!♡」
「ごめんっ天理っあのっあのっ……!」
天理はその衝動に嬌声を上げ体を跳ねさせると驚きに目を見開く。
俺はやってしまったと、その反応で我に返り辛うじて動きを止めたが、荒い呼吸と興奮が収まらなかった。
どうしよう天理に優しくしたいのに。ずっとずっと天理を困らせて我が儘言ってやっと結ばれたのに。どんなに優しい天理でもこのままじゃ嫌われちゃう。そんなの嫌なのに……!俺が己の衝動を抑えられず泣きたくなっていたその時。
「わっ……!あっ……♡」
「っ……」
開いていたと思っていた天理の脚が俺の腰をグッと引き寄せた。それは行くなと言わんばかりに力強く、俺の腰をホールドし、その刺激に俺は思わず声を漏らす。
天理はそんな俺を熱の籠った瞳で俺を見上げると、俺の体を確かめ慈しむ様に両手を這わせた。腹から胸へ、そして肩へと辿る。その慈愛と情欲が混ざりあった様な手付きに俺はもう興奮を抑えることができず、堪らない気持ちで震えていると天理は両手を首に回して俺を抱き寄せる様にして顔を近づけた。天理の甘い吐息が掛かる至近距離に俺は息を呑みその瞳を捉えて魅入られる。
「天理っ、いいのっ?」
もっとかっこよくスマートにエスコートして優しく天理を抱きたかった。けれど欲望は全然止められなくて。
情けなく思っていると天理は俺の項に手をかけ頭を引き寄せると触れるだけのキスをしてから俺を見つめる。その美しいヘーゼルの瞳は天理の全てが詰まっている気がした。兄の様な優しくて頼れる天理、理知的で誠実で研究に情熱を傾ける天理、照れ屋でぶっきらぼうでちょっと怖がりで子供みたいに笑う可愛い天理、そして今恋人となり愛と情欲を俺一人に向けている天理。
「大切にしてくれてありがとな。大好きだよ、侯輝。お前の我儘も全部、愛してるぞ」
そして天理は頬を染め微笑すると羞恥を滲ませながらもおいでと誘うように腰をゆるりと揺らした。
「っ天理!」
嗚呼、好きだ、大好き天理!俺はありのままの自分全てを愛してくれる人と繋がれたのだと歓喜に打ち震え、愛おしさのあまり堪らず口付けると腰をがっちりと掴み想いのまま腰を叩きつけた。
「んぁっ!!♡ぐっ♡ああっ♡」
先程放たれた白濁が卑猥な音を立て、パンッ!パンッ!と肌のぶつかり合う音が部屋に響き渡る。その淫靡な伴奏の中で天理は背をしならせ真っ赤になりながら嬌声を奏でた。俺は恍惚としながら想いと衝動をその情欲の旋律に載せる。
「はぁっ……♡あ"ぁっ……♡俺も、愛してるよ♡天理っ♡」
「あぁっ♡く、あっ♡ゃああっ♡」
好きだ好きだ好きだと幾度も激しく穿てば逃げをうとうとする腰を離すものかと遠慮無く掴み引き寄せてまた穿つ。だって俺を掴む腕が離すまいと掴まれたままで、唇を重ねれば天理も欲しがる様に舌を絡めて応え、その瞳には俺の全てを受け入れ愛してくれる想いで満ちていたから。俺はただ愛しているのだと全身全霊で伝える事ができたのだ。
「大好きだよ、ずっと一緒にいてね、天理……」
天理は精根尽きるまで俺を受け止めてくれて、やがて意識を手放そうとしていた。そんな天理に最後の愛を囁くと、もう声も出ないのかぱくぱくと何か呟いて微笑むと気を失う様に眠りについた。もう幾度も聞かせてくれた愛の言葉と、幾万と俺の名を放つその口の動きは、その声が聞こえずとも俺にその想いを届けてくれていた。
あらゆる液でぐちゃぐちゃにまみれている天理だったけれど今の俺にはどんな神聖なものよりも清らかに見えた。体を冷やさないよう丁寧に拭う。天理のベッドはマットまで何らかの液を吸ってしまっていて、天理は次に起きた時さぞかし卒倒するだろう。普段ならこんな後先考えない様な行為するはずがない天理がこの一時を俺の為だけに注いでくれたのだ。そう思うとまた心が愛おしさでいっぱいになる。
一通り清めらて俺も天理の隣へ寝転ぶ。くったりと眠る天理を抱き締めると眠っている筈なのに抱き締め返してくれた。こうやって抱き締めて貰って眠るのは10年前のあの日以来かな。あの時俺は小さくて天理の腕の中にすっぽりと納まっていて、天理は震えていたのに俺を安心させようと髪を撫でてくれたのだ。それが今はこうして俺の腕の中で安心した様に眠っている。
これからは俺が天理を護るよ。そう誓いながら微睡みにつこうとすれば腕の中で天理はモゾモゾと動いて寝ぼけながらやっぱり俺を撫でてくれるのだ。変わらない愛おしい人の心地よい感触を感じながら俺は今度こそ眠りについた。
想いの蓋が外された天理の想いは、俺が想像していたよりずっと甘く愛に満ちていた。
笑顔も包容も全て、誰にも、渡したくない。